概要

2026年(令和8年)2月4日、薬機法第42条第2項に基づく「視力補正用コンタクトレンズ基準」が廃止されました。これに伴い、厚生労働省は、既に承認を取得している医療機器の取扱いや、承認書の記載変更に関する通知を発出しました。

今回の基準廃止により、視力補正用コンタクトレンズの製造販売業者は、一部変更承認申請(一変)の取扱いや、承認書に記載された規格の見直しについて確認することが重要です。 特に、旧基準への適合を承認事項としている製品では、今後の申請手続きにおける対応がポイントとなります。

本記事では、視力補正用コンタクトレンズ基準の廃止による影響、一変申請の必要性、承認書の変更方法、医療機器メーカーが確認すべき実務対応について、厚生労働省の通知に基づきわかりやすく解説します。

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1. 背景と目的

1.1 42条基準とは何か

薬機法第42条第2項は、保健衛生上の危害を防止するため必要があるとき、厚生労働大臣が医療機器などの性状・品質・性能等に関する基準を設けられると定めています。これに基づく告示を、実務では「42条基準」と呼びます。

42条基準は、承認審査のための承認基準や、登録認証機関が用いる認証基準とは別物です。基準に適合しない医療機器は、法第65条第3号により販売・貸与・製造・輸入などが禁止されます。承認の有無を問わず製品そのものにかかる、強い拘束力を持つ基準です。

1.2 視力補正用コンタクトレンズ基準の位置づけ

今回廃止されたのは、平成13年厚生労働省告示第349号の基準です。昭和45年の旧基準を全部改正したもので、平成14年10月1日から適用されていました。

平成13年10月5日付けの医薬局長通知(医薬発第1097号)が、当時の考え方を示しています。国際規格に整合したハード・ソフト(ハイドロゲル)の承認基準を作り、その中から品質確保上とくに重要な項目を42条基準にしました。対象は最終製品の物理的要求事項です。直径・厚さ・ベースカーブ・頂点屈折力といった項目が並んでいました。

1.3 今回の告示

令和8年厚生労働省告示第25号「人工血管基準及び医療用接着剤基準の一部を改正する告示並びに視力補正用コンタクトレンズ基準を廃止する告示」により、当該基準は廃止されました。告示の附則は「告示の日から適用する」としており、廃止日は令和8年2月4日です。

同じ告示で、人工血管基準と医療用接着剤基準は廃止ではなく一部改正されています。本通知は廃止の理由を述べていません。

2. 主要要件と事例

2.1 求められていること

通知の「記」は1項目だけです。基準への適合を規定して承認を受けている医療機器について、次の2点を示しています。

  • 基準の廃止を理由に、直ちに一変申請をする必要はない
  • 何らかの一変申請を行う場合は、適合すべき事項の具体的な内容を記載する形で承認事項を改める

つまり、書き換えは「次に一変するとき」に合わせて行えば足ります。期限は設けられていません。

2.2 承認書のどこが対象になるか

代表例は「性能及び安全性に関する規格」欄です。通知は「欄等」としているため、ほかの欄で基準を引用していれば同じ扱いになります。

たとえば規格欄に「視力補正用コンタクトレンズ基準に適合する」とだけ書いている承認書が該当します。この場合、廃止された告示を参照しても中身が分からなくなります。そこで、次の一変の機会に、直径や頂点屈折力などの許容差を自社の規格として明記する必要があります。

2.3 対象にならないもの

本通知の対象は、承認を取得している医療機器です。告示を引用していない承認書は、書き換えの必要がありません。

承認審査で用いる「コンタクトレンズ承認基準」は、42条基準とは別の通知で定められています。本通知はこの承認基準には触れていません。

3. 実務対応

3.1 自社承認書の棚卸し

まず、保有する承認書の規格欄などで、視力補正用コンタクトレンズ基準を引用している箇所を洗い出します。品目数が多い会社ほど、一覧にしておくと後の一変で漏れを防げます。

3.2 次の一変での書き換え

一変を予定している品目では、申請内容にこの書き換えを含めます。旧基準のうち自社製品に当てはまる項目と数値を、具体的な規格として記載します。

本通知は一変申請を行う場合の扱いを定めたもので、軽微変更届での扱いには触れていません。一変の予定がない品目について、書き換えを急ぐ必要はありません。

3.3 品質管理での扱い

42条基準の廃止で、法第65条第3号に基づく販売等の禁止の根拠となる基準はなくなりました。一方で、承認書に記載された規格は承認事項としてそのまま残ります。

まとめ

2026年(令和8年)2月4日、薬機法第42条第2項に基づく「視力補正用コンタクトレンズ基準」が廃止されました。今回の基準廃止だけを理由に直ちに一部変更承認申請(一変)を行う必要はありませんが、今後、一変申請を行う際には、承認書に記載された旧基準への適合に関する記載を、具体的な規格内容に変更する必要があります。 医療機器の製造販売業者は、既存の承認書を確認し、対象品目や変更が必要となる記載事項を整理しておくことが重要です。

特に、視力補正用コンタクトレンズの承認書の変更、一部変更承認申請の要否判断、性能及び安全性に関する規格の見直しについては、既存の承認内容や製品の特性を踏まえた適切な対応が求められます。申請時の記載内容に不備があると、追加の確認や資料の修正が必要となる可能性があるため、事前に薬事上の対応方針を検討しておくことが大切です。

弊社(一般社団法人薬事支援機構)では、医療機器の一部変更承認申請、承認書の記載内容の確認、規格の見直し、PMDAへの相談、薬事申請資料の作成など、医療機器メーカーの薬事対応を幅広く支援しています。 「今回の基準廃止によって自社製品にどのような対応が必要なのか」「承認書の変更をどのように進めればよいのか」「一変申請の手続きに不安がある」といったお悩みがございましたら、ぜひ弊社までお気軽にお問い合わせください。

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