概要
回収の際にPMDAのウェブサイトへ掲載する資料に、「GTIN及び該当するロット番号」の記載が加わりました。令和8年1月28日、厚生労働省医薬局監視指導・麻薬対策課長が、都道府県と関係団体に宛てて通知しています。
対象は、回収に着手する製造販売業者です。医療機器の製造販売業者もそのまま含まれます。令和8年4月1日以降に都道府県へ提出するインターネット掲載用資料は、更新後のテンプレートで作成し、GTINとロット番号を入力する必要があります。 3月31日までの省略可の期間はすでに終わっており、いまは回収に着手するたびに記載が求められます。
回収の要否の判断や回収着手報告そのものは変わりません。変わったのは、公開用資料の様式と記載項目です。

1. 背景と目的
1.1 回収情報の公開の仕組み
回収情報の公開の流れは、「医薬品・医療機器等の回収について」(平成26年11月21日付け薬食発1121第10号、平成30年2月8日一部改正。以下「回収通知」)が定めています。
製造販売業者は、回収着手報告にあわせて、インターネット掲載用資料を速やかに提出します。提出先は都道府県薬務主管課等です。資料はPMDA(独立行政法人医薬品医療機器総合機構)のウェブサイトにあるテンプレートを使い、テキスト形式で作ります。原則は1品目につき1資料です。都道府県は受け取った資料を厚生労働省に転送し、PMDAのウェブサイトに「回収の概要」として載ります。
1.2 医療機関のシステムで使える形にする
今回の改修の目的は、医療機関等の情報システムで回収情報を使いやすくすることです。PMDAは回収情報のウェブサイトと関連システムを改修しました。
改修で、GTIN(Global Trade Item Number。国際標準の商品コード)が掲載内容に加わりました。GTINと対応するロット番号等は、CSV形式で出力できます。この機能は令和8年1月28日からPMDAのウェブサイトに実装されています。
CSVで取り出せれば、医療機関は自院のシステムに取り込み、在庫や使用記録との突き合わせに使えます。販売名とロット番号を目で追う作業を、コードの照合に置き換えられるわけです。
2. 主要要件と事例
2.1 掲載用資料に10番目の項目が加わった
通知の別紙に、更新後の資料例が示されています。項目は次の10個です。
- 一般的名称及び販売名
- 対象ロット、数量及び出荷時期
- 製造販売業者等名称
- 回収理由
- 危惧される具体的な健康被害
- 回収開始年月日
- 効能・効果又は用途等
- その他
- 担当者及び連絡先
- GTIN及び該当ロット
冒頭には従来どおり、資料作成年月日、製品の種別、クラスI〜IIIの別が入ります。新設は10番だけです。通知は、この項目を回収通知でいう「その他」の事項として記載を要するものと位置づけています。任意の補足欄ではありません。
2.2 テンプレートは製造販売業者向けサイトで更新済み
PMDAは「回収情報テキストファイル作成テンプレート」を更新しました。医療機器の製造販売業者が使うのはIKWサイト(医療機器等製造販売業者向けサイト)の版です。医薬品はSKWサイトで提供されています。
注意したいのは、欄が空でもエラーにならない点です。「GTIN及び該当するロット番号」欄が未入力だと、テキスト出力時にその項目が表示されません。 出力したテキストを見ても、入れ忘れに気づきにくい作りです。提出前に、出力テキストに10番の項目があるかを確かめる手順を入れておくと安全です。
2.3 公開側ではどう見えるか
PMDAの回収情報ページの案内では、「回収の概要」ページに表示されるGTINと該当ロットは15行までです。全件はCSVファイルに出力されます。
医療機器では、ロット番号ではなくシリアル番号で管理する製品も多くあります。PMDAの案内も、ロット番号とシリアル番号の両方を前提に書かれています。入力できる記号には制限があり、入力できない記号は他の文字に置き換えられている可能性があるとされています。
PMDAは利用者に対し、該当ロットは概要ページでも確認するよう案内しています。記号を置き換えて入力したときは、2番の「対象ロット、数量及び出荷時期」欄の記載を正確にしておくことが、医療機関での取り違え防止につながります。
3. 実務対応
3.1 スケジュール
- 令和8年1月28日に通知が発出され、CSV出力機能がPMDAウェブサイトに実装されました。更新後テンプレートもこの日から使えます
- 令和8年3月31日までは、GTINと該当ロット番号を省略しても差し支えないとされていました
- 令和8年4月1日以降は、都道府県への提出時に入力が必要です
関係団体宛ての通知では、4月1日以降に新たに掲載される回収情報には、GTINと該当ロット番号が必ず記載されるとしています。宛先には医師会や病院薬剤師会のほか、保健医療福祉情報システム工業会も含まれています。
3.2 回収に着手したときの手順
手順の骨格は回収通知のままで、変わるのは資料の中身です。
- 提出するのは、IKWサイトの最新テンプレートで作成したテキスト形式の掲載用資料です。10番の「GTIN及び該当ロット」まで入力します
- 提出先は都道府県薬務主管課等で、電子メール等の適切な手段で送ります
- 時期は、回収着手報告にあわせて速やかにです
古いテンプレートを社内の共有フォルダに保存して使い回していると、10番の欄がありません。回収のたびにIKWサイトから最新版を取得する運用にするか、保存版を差し替えておく必要があります。
3.3 社内で準備しておくこと
掲載用資料は回収着手報告にあわせて速やかに出すものです。GTINとロット番号の対応を、その場で調べるのでは間に合いません。
まず、回収対象のロットやシリアル番号から、対応するGTINを出荷記録などからすぐ引けるかを確認しておきます。包装単位ごとにGTINが異なる製品では、どのGTINを載せるかを社内で決めておくと迷いません。
回収の社内手順書も見直し対象です。掲載用資料の作成手順やチェックリストに、GTIN欄の入力と出力テキストの確認を加えておきます。
本通知は資料の記載事項と様式を変えるもので、罰則を新設するものではありません。それでも、医療機関が対象製品を早く特定できるかは、掲載用資料の正確さにかかっています。
まとめ
2026年(令和8年)4月1日以降、医薬品・医療機器等の回収情報をPMDAのウェブサイトに掲載する際には、「GTIN及び該当するロット番号」の記載が必須となりました。医療機器の製造販売業者は、最新の回収情報テキストファイル作成テンプレートへの切り替えに加え、GTINとロット番号・シリアル番号の照合体制を整備し、回収時に正確な情報を速やかに提出できるよう準備する必要があります。
今回の変更に対応するためには、回収手順書の見直し、GTIN・ロット番号の管理方法の確認、回収情報の作成・提出フローの整備が重要です。特に、古いテンプレートの使用やGTINの入力漏れは、回収情報の正確な提供に支障をきたす可能性があります。医療機器メーカーは、回収発生時に迅速かつ適切な対応ができるよう、QMS(品質マネジメントシステム)における回収管理体制をあらためて確認しておくことが求められます。
弊社(一般社団法人薬事支援機構)では、医療機器の薬事規制対応をはじめ、QMS体制の構築・運用支援、回収手順書の整備、製造販売業者の品質管理に関するコンサルティングを行っています。 「GTIN・ロット番号の記載方法がわからない」「回収手順書を最新の通知に対応させたい」「医療機器の回収対応やQMS管理体制を見直したい」といったお悩みがございましたら、ぜひ弊社までお気軽にお問い合わせください。 医療機器メーカーの状況に応じた薬事・品質管理対応をサポートいたします。