概要
令和8年3月31日付け医薬機審発0331第4号により、承認申請書の作成留意事項通知(いわゆる参事官通知、平成26年11月20日付け薬食機参発1120第1号)が一部改正されました。改正法(医薬品医療機器等法の一部改正)の施行に伴う整備省令(令和7年厚生労働省令第117号)により、施行規則第114条の19の添付資料規定が見直されたことを受けた対応です。適用は整備省令の施行日である令和8年5月1日以降の申請からです。医療機器メーカーの薬事担当者にとって、備考欄の記載事項と添付資料の様式に直接影響する改正です。

1. 背景と目的
1.1 改正の位置づけ
参事官通知は、承認申請書の各欄の記載方法を定めた実務上の基本通知です。今回の改正は、法改正で「添付文書」の位置づけが「注意事項等情報」に整理されたこと、また使用成績評価や登録製造所の制度が変わったことを、申請書の記載事項に反映するものです。
条文引用の技術的な更新も含まれます。たとえば一部変更承認申請の根拠条文が、法第23条の2の5第11項から第13項へ、施行規則の号番号も第114条の25第3号から同条第1項第3号へと繰り上がっています。
1.2 誰が・何を・いつまでに
対象は法第23条の2の5および第23条の2の17に基づき医療機器の製造販売承認申請を行う製造販売業者です。令和8年5月1日以降の申請から新様式・新記載事項が適用されます。それ以前の申請は従前の取扱いとなるため、申請予定日を境に整理が必要です。
2. 主要な改正内容
2.1 備考欄からの「添付文書(案)」の削除
改正前は備考欄(8)に「添付文書(案)を添付すること(添付文書届出対象品目を除く)」との規定がありました。今回この項目が削除され、以降の番号が繰り上がりました。改正後の備考欄は(1)から(15)までの15項目構成です。
添付文書に関する要件が消えたわけではありません。後述の審査用資料送付書の見直しにより、「注意事項等情報に関する資料」として整理されました。備考欄のチェックリストを使っている担当者は、番号のずれに注意してください。
2.2 審査用資料送付書(別紙様式)の項目変更
審査用資料送付書の「添付資料」欄が改正されました。主な変更点は次の3点です。
- 「へ.臨床試験の試験成績に関する資料」に、診療等により得られる個人の心身の状態に関する情報を分析して作成した資料(リアルワールドデータ由来資料)が含まれることを明記
- 「ト.製造販売後の調査及び試験の実施の基準に関する省令第2条第1項に規定する製造販売後調査等の計画に関する資料」への名称・条文の更新
- 「チ.法第63条の2第2項各号に掲げる事項又は法第68条の2第2項に規定する注意事項等情報に関する資料」への差し替え(改正前は「法第63条の2第1項の規定による届出に係る…添付文書等記載事項に関する資料」)
チの改正は、法改正で添付文書制度が注意事項等情報制度へ移行したことに対応するものです。申請書に添付する書類名を、新しい制度の名称に合わせる必要があります。
2.3 経過措置規定の削除
改正前の「第5 経過措置」が全文削除されました。旧規定は法施行前後の申請の取扱いを定めた過渡的なもので、役割を終えたための整理です。現時点の申請では、令和8年5月1日という施行日を基準に新旧を判断します。
2.4 参照通知の更新
一部変更承認申請・軽微変更届の取扱いについて、参照すべき通知が更新されました。改正後は「医療機器の一部変更に伴う軽微変更手続き等の取扱いについて」(平成29年7月31日付け薬生機発0731第5号)等を参考とするよう明記されています。従来引用されていた平成20年通知に代わる整理です。
また、審査資料の要請元が「厚生労働省医薬食品局医療機器・再生医療等製品審査管理室」から「厚生労働省医薬局医療機器審査管理課」へと、組織改編に合わせて更新されています。
3. 実務対応
3.1 申請区分と申請時期の確認
令和8年5月1日を境に様式が変わります。この前後で申請を予定している場合、どちらの様式で提出するかを早めに確定してください。特に添付文書関連の書類は、旧「添付文書(案)」ではなく新「注意事項等情報に関する資料」として整理する必要があります。
3.2 社内様式・チェックリストの更新
備考欄の番号ずれと審査用資料送付書の項目変更は、社内の申請書テンプレートやチェックリストに直接反映すべき事項です。旧番号のまま運用すると、記載漏れや誤記につながります。改正後の全文(別添の改正後全文)を入手し、様式を差し替えてください。
3.3 一部変更・軽微変更の判断
一部変更承認申請の根拠条文が第13項へ繰り上がった点、参照通知が更新された点を踏まえ、変更手続きの判断基準を見直してください。新規承認申請が必要な変更の範囲については、別紙2の製品群別事例(血液透析器、人工血管、人工関節など)が引き続き参考になります。
まとめ
今回の改正では、2026年5月1日以降の医療機器の製造販売承認申請について、「添付文書」から「注意事項等情報」への制度移行を踏まえ、承認申請書の記載事項や添付資料の取扱いが見直されました。備考欄からの「添付文書(案)」の削除、審査用資料送付書の変更、参照条文・通知の更新など、医療機器メーカーの薬事担当者が実務上確認すべきポイントが複数あります。
特に、申請書テンプレートや社内チェックリストを従来のまま使用すると、記載事項や添付資料の整理に誤りが生じる可能性があります。 2026年5月1日以降に新規承認申請や一部変更承認申請を予定している場合は、改正後の通知に基づいて申請資料を確認するとともに、「注意事項等情報に関する資料」の取扱いや一変・軽微変更の判断を含め、早い段階から申請方針を整理しておくことが重要です。
弊社(一般社団法人薬事支援機構)では、医療機器の製造販売承認申請をはじめ、一部変更承認申請・軽微変更届、申請資料の作成・レビュー、PMDA相談など、医療機器薬事に関する支援を行っています。 「改正後の申請書の作成方法が分からない」「必要な添付資料を確認したい」「一変と軽微変更の判断に迷っている」といったお悩みがございましたら、ぜひ弊社までお気軽にお問い合わせください。