概要
令和8年2月5日、厚生労働省医薬局医療機器審査管理課長から「X線骨密度測定装置承認基準の廃止について」が発出されました。平成17年から続いてきたX線骨密度測定装置の承認基準が、通知の発出日をもって廃止されました。
この装置は平成23年から認証基準の対象になっており、承認基準が引用する日本産業規格(JIS)4本も廃止が予定されています。通知はこの2点を廃止の理由に挙げています。
関係するのは、X線骨密度測定装置を製造販売する事業者や、これから参入を考える事業者です。新しく求められる手続きは、通知には書かれていません。今後の申請では、承認基準ではなく認証基準を前提に計画を立てることになります。
なお、同時期には「視力補正用コンタクトレンズ基準を廃止する告示の施行等について」(令和8年2月4日)も発出されています。

1. 背景と目的
1.1 平成17年に定められた承認基準
承認基準とは、承認審査で使う品目ごとの基準です。適用範囲、技術基準、使用目的、基本要件への適合の説明方法などを定めています。
X線骨密度測定装置の承認基準は、「X線骨密度測定装置承認基準の制定について」(平成17年4月1日付け薬食発第0401050号)で定められました。本通知はこの局長通知を「局長通知」と呼び、廃止の対象としています。
PMDA(独立行政法人医薬品医療機器総合機構)の医療機器基準等情報提供ホームページによると、承認基準の対象は次の4つの一般的名称です。いずれもクラスⅡです。
- 単一エネルギー骨X線吸収測定装置
- 単一エネルギー骨X線吸収測定一体型装置
- 二重エネルギー骨X線吸収測定装置
- 二重エネルギー骨X線吸収測定一体型装置
使用目的は「患者に対してX線を照射し、その透過度をコンピュータ処理して得られた骨密度を診療のために提供すること」とされています。
1.2 平成23年に認証基準の対象へ
本通知によると、X線骨密度測定装置は平成23年厚生労働省告示第264号により、認証基準の適用範囲に入りました。認証基準とは、登録認証機関が認証審査に使う基準です。
PMDAのホームページでは、この認証基準は「単一エネルギー骨X線吸収測定装置等基準」(別表3-756)として掲載されています。対象の一般的名称は、承認基準と同じ4つです。使用目的の文言も承認基準と同じです。
つまり、同じ機器について承認基準と認証基準が並んで存在する状態が続いていました。
1.3 引用JISの廃止予定
廃止の直接のきっかけは、承認基準が引用するJISの廃止予定です。本通知が挙げているのはJIS Z 4701、JIS Z 4702、JIS Z 4703、JIS Z 4704の4本です。
承認基準の別紙チェックリストを見ると、これらは医用X線装置通則や医用X線高電圧装置通則などとして引用されています。引用元の規格がなくなれば、基準として維持しにくくなります。
2. 通知の要点
2.1 廃止されるもの
廃止されるのは、平成17年の局長通知です。廃止日は本通知の発出日である令和8年2月5日です。経過措置についての記載はありません。
2.2 通知に書かれていないこと
本通知は1ページの短い通知です。既に承認を受けている品目の扱いや、今後の申請方法には触れていません。
廃止されるのは承認審査で用いる基準です。既承認品の承認そのものが取り消されるとは書かれていません。
2.3 周知先
本通知の写しは、PMDA理事長、日本医療機器産業連合会会長などの業界団体に送付されています。医薬品医療機器等法登録認証機関協議会の代表幹事も送付先に含まれています。
3. 実務対応
3.1 新規品目は認証基準を前提にする
X線骨密度測定装置を新たに市場に出すときは、認証基準への適合を軸に計画します。PMDAのホームページで、認証基準の最新の引用規格を確認してください。2026年10月3日時点の掲載では、引用規格としてJIS T 0601-1が挙がっています。
3.2 既承認品を持つ事業者の確認事項
既承認品について、本通知が求める手続きはありません。ただし、今後一部変更承認申請を行う場面では、承認基準を根拠にした説明が使えなくなります。
申請資料で旧承認基準やJIS Z 4701〜4704を引用している場合は、次の改訂時に見直しが必要です。変更の内容によって、どの手続きを選ぶかは個別に検討してください。
まとめ
2026年(令和8年)2月5日、X線骨密度測定装置の承認基準が廃止されました。今回の廃止は、既に認証基準が整備されていることや、旧承認基準で引用されていたJIS規格の廃止予定を背景としています。医療機器メーカーは、最新の認証基準や引用規格を確認し、新規申請や既承認品の変更に適切に対応することが重要です。
特に、X線骨密度測定装置の製造販売認証申請や一部変更承認申請を検討している企業は、認証基準への適合性、旧承認基準・旧JISの引用状況、変更内容に応じた申請手続きの要否を確認する必要があります。 承認基準の廃止によって既承認品の承認が直ちに失効するわけではありませんが、今後の製品開発や薬事申請では、適用される基準と申請方針を個別に検討することが求められます。
弊社(一般社団法人薬事支援機構)では、X線骨密度測定装置をはじめとする医療機器の承認申請・認証申請、薬事戦略の立案、認証基準への適合性評価、一部変更承認申請の要否判断などを支援しています。 「承認基準の廃止によって自社製品にどのような影響があるのか」「認証申請に必要な資料や試験を確認したい」「既承認品の変更手続きを相談したい」といったお悩みがございましたら、ぜひ弊社までお気軽にお問い合わせください。