概要

令和8年2月10日付けの厚生労働省医政局医薬産業振興・医療情報企画課と医薬局医薬安全対策課の連名事務連絡により、特定用符号の容器表示に関する質疑応答集(Q&A)が取りまとめ直されました。特定用符号は、医療機器や体外診断用医薬品を特定するための符号で、法第68条の2の5に基づき容器等への表示が求められます。今回の改訂は薬機法等の一部を改正する法律(令和7年法律第37号)等に対応し、令和8年5月1日以降の運用が対象です。同日をもって旧事務連絡は廃止されます。トレーサビリティや製品回収に直結する内容のため、製造販売業者は表示方法の再確認が必要です。

医療機器の申請・QMS構築に無料相談|初回30分の無料相談を承ります

1. 背景と目的

1.1 特定用符号とは

特定用符号は、医療機器や体外診断用医薬品を特定するための符号です。商品コードと製造識別子から構成され、回収(改修)時の対象機器の特定にも利用されます(A33)。注意事項等情報を入手するための符号とは目的が異なる別の符号です。両者は兼用できない場合があります(A31)。

1.2 改訂の理由

今回のQ&Aは、薬機法改正と関係省令の施行日(令和8年5月1日)以降の運用に合わせて新たに取りまとめられました。制定は令和4年9月13日、最終改正が令和8年2月10日です。旧事務連絡(令和4年9月13日連名事務連絡)は施行日をもって廃止されます。

2. 主要な質疑と事例

2.1 個装・販売包装・元梱包装の定義

包装の単位ごとに表示の考え方が整理されています(A6)。個装は、包装されている荷姿の中で一番小さい単位です。販売包装は、販売業者から医療機関等に販売される最小の包装単位です。個装が最小販売単位なら個装かつ販売包装となります。元梱包装は、販売包装を複数梱包した包装で、最小販売単位でない外箱に相当します。

2.2 容器等に収められない医療機器の表示

その構造や性状により容器等に収められない医療機器としては、設置管理医療機器等の大型医療機器が想定されています(A13)。表示方法は次の3つから選びます(A14)。添付する文書に特定用符号を記載する方法、機器本体に直接表示する方法、符号を記載したラベルやタグ等を取り付ける方法です。添付位置に指定はありませんが、設置後に移動しない機器では、設置時に読み取り可能性を確認します(A15)。

2.3 注意事項等情報用符号との兼用

容器等に収められない医療機器では、特定用符号を本体に直接表示またはラベルで取り付けることが可能です。この特定用符号を注意事項等情報用の符号と兼用し、注意事項等情報用符号を記載した文書の添付を省略することができます(A17)。今回の改訂で新設された取扱いです。

2.4 対象となる雑品の範囲

医療機器や体外診断用医薬品以外でも、専ら医療機関で医療用に繰り返し使われる雑品は対象になり得ます(A11)。滅菌バッグ、滅菌インジケータ、専用滅菌剤、内視鏡用オプション、超音波検査用ゼリー、専用洗剤などです。感染防護具では、サージカルマスクやN95、アイソレーションガウン、サージカルテープ、ストーマ装具などが挙げられています。要指導医薬品や一般用医薬品、医薬部外品、化粧品は想定されていません。

2.5 セット化・レンタルの取扱い

整形手術器械セットなど、複数の医療機器をセット化してレンタルする場合の表示方法が示されています(A20)。各医療機器に特定用符号を表示する方法と、専用ケースに新たな特定用符号を表示する方法があります。いずれも製造識別子の表示は任意です。後者では、各医療機器と符号の情報を紐付けてトレーサビリティを確保します。

2.6 輸入品の貼り替え

海外から輸入した医療機器の特定用符号を貼り替える場合、変更できる製造識別子はロット番号、シリアル番号、バージョン番号に限られます(A36)。貼り替え前後のトレーサビリティを確保します。海外製造元の符号を法第68条の2の5に基づく表示とするには、特定用符号通知で指定された符号によらなければなりません。

2.7 医療機器プログラムの特定用符号

電気通信回線を通じて提供される医療機器プログラムでは、特定用符号を記録した電磁的記録をダウンロード画面等に掲載する方法、目視可能文字(HRI)をスタートアップ画面やプロパティ情報から表示させる方法、符号を記載した文書や記録媒体を使用者に提供する方法から選びます(A18)。記録媒体で提供する場合は、当該媒体の容器等に特定用符号を表示します。

2.8 製造銘板・物流管理コードとの関係

製造銘板に文字や数字で表示した販売名やシリアル番号を、特定用符号の代わりとすることはできません(A28)。特定用符号も別途記載します。個装や販売包装に社内物流管理用のQRコード等を表示している場合は、その旨を記載し、販売業者や医薬関係者が混乱しないよう説明を付せば、特定用符号のほかに併記して差し支えありません(A27)。

2.9 承継・事業者変更時の対応

承継した場合は、医療機器データベースの登録内容を確認します(A35)。承継元と承継先で十分な情報共有を行い、情報提供等の必要な対応を講じます。合併、分割、買収、廃業、社名変更等が生じた場合は、現在の事業者コードの継続使用についてGS1 Japan(流通システム開発センター)へ確認し、必要な対応を行います。

3. 実務対応

3.1 包装単位ごとの表示確認

自社製品の個装、販売包装、元梱包装を整理し、それぞれに必要な特定用符号を確認します。個装が最小販売単位の場合は、個装が販売包装を兼ねる点に注意します。

3.2 回収を意識した符号管理

特定用符号は回収時の対象機器の特定に使われます。製造識別子のロット番号やシリアル番号は、法定表示の製造記号または製造番号に対応します(A33)。回収の実効性を保つため、符号と法定表示を一致させます。

3.3 データベース登録の推奨

医療機器データベースへの登録は法的義務ではありませんが、トレーサビリティ確保、物流の効率化、医療事務の効率化の観点から推奨されています(A41)。承継や事業者の合併等が生じた場合は、登録内容の確認とGS1 Japanへの照会を行います(A35)。

まとめ

今回のQ&A改訂により、令和8年5月1日以降の医療機器・体外診断用医薬品における特定用符号(UDI)表示の運用が明確化されました。特に、大型医療機器の表示方法、注意事項等情報用符号との兼用、包装単位ごとの表示ルール、医療機器プログラムへの表示方法は、製造販売業者の実務に大きく影響する重要なポイントです。今一度、自社製品の表示方法や運用が最新のQ&Aに適合しているか確認することをおすすめします。

また、特定用符号(UDI)の対応は、単にラベルを変更するだけではなく、包装形態の整理、GS1コードの運用、医療機器データベースとの整合性、トレーサビリティの確保など、薬機法や関連通知を踏まえた総合的な判断が求められます。判断を誤ると、回収対応や流通現場での運用にも影響を及ぼす可能性があるため、実務面まで見据えた対応が重要です。

特定用符号(UDI)の表示方法や包装単位の考え方、GS1コードの運用、医療機器データベースへの登録、通知・Q&Aの解釈などでお困りの際は、ぜひ弊社(一般社団法人薬事支援機構)へご相談ください。 医療機器薬事に精通した専門家が、貴社の製品や運用に合わせて、実務に即した最適な対応をご支援いたします。

    お問い合わせはこちらから

    一般社団法人薬事支援機構は医療機器専門の薬事コンサルティング会社です。
    医療機器の薬事申請やQMSでお困りの際にはこちらからお問い合わせください。

    ご相談内容
    必須

    お名前
    必須

    メールアドレス
    必須

    お電話番号

    御社名
    必須

    メッセージ本文
    必須