概要
亜硫酸塩類を含む製品の電子添文に、亜硫酸塩による過敏症の注意喚起を統一して載せることになりました。令和8年2月10日、厚生労働省医薬局医薬安全対策課長が、各都道府県の衛生主管部(局)長に宛てて通知しています。
通知の中心は医療用医薬品ですが、医療機器も対象に含まれます。血液、体液、粘膜等に接触する部分の原材料に亜硫酸塩類を含む医療機器が該当します。接触は直接・間接を問いません。該当品目の製造販売業者は、電子添文の「使用上の注意」を改訂し、PMDAへ報告する必要があります。
改訂の期限は日付で示されていません。通知は「できるだけ速やかに」改訂し、医薬関係者への情報提供等を行うよう求めています。亜硫酸塩類を含まない医療機器には、対応は発生しません。

1. 背景と目的
1.1 品目ごとにばらついていた注意喚起
亜硫酸塩類は、医療用医薬品の有効成分や添加剤として使われています。ところが電子添文(電子化された添付文書)での注意喚起は、品目によって記載状況が異なっていました。成分に過敏症の既往歴がある患者への注意が、ある品目には書かれ、別の品目には書かれていない状態です。
通知は、この注意喚起を徹底するために出されました。医療用医薬品の記載を定めたうえで、亜硫酸塩類を含む医療機器と再生医療等製品も同様に扱うとしています。
1.2 参考とされたFDAの注意喚起
通知は参考として、米国FDA(食品医薬品局)のウェブサイトを挙げています。亜硫酸塩を含む調剤薬(compounded drugs)の潜在的な安全性リスクについて、医療従事者や患者へ注意を促すものです。
2. 主要要件と事例
2.1 対象となる医療機器の範囲
医療機器の対象は、血液、体液、粘膜等に接触する部分の原材料に亜硫酸塩類を含む製品です。範囲を決めるのは、製品全体ではなく接触部分の原材料です。
接触は「直接、間接を問わない」とされています。患者に直接触れる部分に限らず、血液や薬液が流れる経路を介して患者に届く部分も含めて確認が必要です。
亜硫酸塩類の具体名として、通知は医療用医薬品で使われているものを挙げています。
- 亜硫酸リジン
- 亜硫酸ナトリウム
- 亜硫酸水素ナトリウム
- 乾燥亜硫酸ナトリウム
- ピロ亜硫酸カリウム
- ピロ亜硫酸ナトリウム
列挙の末尾は「等」です。これに限らず、亜硫酸塩類に当たる成分があれば対象になります。
2.2 「その他の注意」に入れる文言
医療機器では、医療用医薬品の記載事項を読み替えて適用します。電子添文の「使用上の注意」の「その他の注意」に、次の文を記載します。
本品は有効成分又は添加剤として亜硫酸塩を含有している。喘息患者では非喘息患者よりも亜硫酸塩に対する過敏症が多く認められるとの報告がある。
通知が示す読み替えは、記載項目の名称と「本剤」→「本品」などに限られます。文中の「有効成分又は添加剤として」は、医療機器向けの別の表現が示されていません。自社製品の実態に照らして書き方に迷う場合は、後述の問い合わせ先に確認するのが確実です。
2.3 過敏症既往歴の「使用注意」
もう一つの要件は、過敏症の既往歴がある患者への注意です。電子添文の「使用上の注意」にこの注意喚起がない品目に限り、追記が求められます。
記載先は「使用上の注意」の「使用注意(次の患者には慎重に適用すること)」です。記載する文言は「本品の成分に対し過敏症の既往歴のある患者」です。すでに同趣旨の注意がある品目では、この追記は不要です。
2.4 医療用医薬品・再生医療等製品との違い
医療用医薬品では、亜硫酸塩の注意は「15.1 臨床使用に基づく情報」に入ります。既往歴の注意は「9.1 合併症・既往歴等のある患者」です。医療機器は電子添文の項目構成が異なるため、前述の項目に読み替えています。
再生医療等製品は、亜硫酸塩類を添加剤として含む製品が対象です。項目名の読み替えはなく、「本剤」を「本品」とするだけです。
3. 実務対応と報告手続
3.1 該当品目の洗い出し
最初の作業は、自社品目が対象かどうかの確認です。血液、体液、粘膜等に接触する部分を特定し、その原材料に亜硫酸塩類が含まれるかを調べます。部材の配合を自社で把握していない場合は、原材料の供給元への確認が必要になります。
3.2 PMDAへの事前相談は不要
この通知に基づく電子添文の改訂では、PMDA(独立行政法人医薬品医療機器総合機構)への事前相談は不要です。そのかわり、医療機器には次の報告が求められます。
3.3 別紙様式による報告
改訂する品目は、通知の別紙様式「医薬安発0210第2号に係る改訂品目報告書」で報告します。送付先はPMDA医療機器安全対策・基準部医療機器安全対策課です。電子メール(md-chousakekka@pmda.go.jp)で送ります。
様式の記入項目は次のとおりです。
- 報告日、企業名、連絡先(部署名・担当者氏名・TEL・E-mail)
- 品目一覧(No、企業名、販売名、一般的名称、承認等番号、改訂(予定)日、備考)
品目一覧の各行にも企業名を記載するよう注記があります。日付欄は「改訂(予定)日」とされており、予定日での記入も想定された様式です。
3.4 届出が必要な品目は相談整理番号を記載
電子添文の改訂にPMDAへの届出が必要な品目では、届出の際に相談整理番号「25_K_000246」を記載します。前項の報告は、届出の有無にかかわらず改訂する品目すべてが対象です。
通知内容の問い合わせ先は、厚生労働省医薬局医薬安全対策課です。
3.5 医療機関への情報提供
通知は電子添文の改訂とあわせて、医薬関係者等への情報提供等の必要な措置を求めています。改訂内容を医療機関へどう伝えるかも、改訂作業と一緒に計画しておきましょう。
まとめ
令和8年2月10日付の厚生労働省通知により、血液、体液、粘膜等に直接または間接的に接触する部分の原材料に亜硫酸塩類を含む医療機器は、電子添文の「使用上の注意」の改訂が必要となりました。 対象となる医療機器の製造販売業者は、亜硫酸塩による過敏症に関する注意喚起を適切に記載するとともに、PMDAへの改訂品目報告や医療関係者への情報提供など、必要な対応を速やかに進めることが求められます。
今回の改訂では、自社製品が対象となるかの判断、電子添文への適切な記載、PMDAへの報告手続きが重要なポイントです。 特に、医療機器の原材料に亜硫酸塩類が含まれているかの確認や、直接・間接的な接触範囲の判断、既存の注意喚起との整合性の確認など、薬事担当者が検討すべき事項は多岐にわたります。対応に不明点がある場合は、通知内容を正確に把握し、製品の特性に応じた対応方針を整理することが重要です。
弊社(一般社団法人薬事支援機構)では、医療機器の電子添文改訂、薬機法に基づく規制対応、PMDAへの報告手続きなど、医療機器メーカーの薬事業務を幅広く支援しています。 「自社製品が今回の改訂対象に該当するかわからない」「電子添文の記載内容を確認したい」「PMDAへの報告方法について相談したい」といったお悩みがございましたら、ぜひ弊社までお気軽にお問い合わせください。専門的な薬事知識をもとに、製品の特性や規制要件に応じた適切な対応をサポートいたします。