概要
令和8年5月1日から、使用成績評価の対象品目に外国症例の一覧表提出が新たに求められます。根拠は医薬機審発0424第1号・医薬安発0424第1号(令和8年4月24日)です。改正対象は平成26年11月21日付け薬食機参発1121第44号(参事官通知)です。
改正の中心は「別紙様式4の2 不具合・感染症の発現状況一覧表(外国症例)」の新設です。従来の別紙様式4は「別紙様式4の1(国内症例)」へ改称されました。
対象は使用成績評価の対象として指定された医療機器等を持つ製造販売業者です。すでに使用成績評価期間中の品目にも経過措置つきで適用されます。令和8年6月24日・7月24日という具体的な提出期限が設定されているため、該当品目を持つ企業は早急な確認が必要です。

1. 背景と目的
1.1 30日報告の見直しとセットの改正
今回の改正は、薬機法等の一部を改正する法律(令和7年法律第37号)と関係省令の整備等に関する省令(令和7年厚生労働省令第117号)の施行に伴うものです。この施行により、外国医療機器における既知の死亡又は重篤症例について、30日以内の不具合報告が不要になりました。
報告の一部が不要になれば、外国での安全性情報が行政に届きにくくなります。そこで代替として、使用成績評価の関連情報という形で外国の不具合発生状況を把握する仕組みが設けられました。個別の迅速報告を減らす代わりに、定期的な一覧表で補う構造です。
1.2 適用日
改正後の参事官通知は、改正法および改正省令の施行日である令和8年5月1日から適用されます。
2. 改正の内容
2.1 別紙様式4の2(外国症例)の新設
最大の変更は別紙様式4の2の新設です。国内症例用の別紙様式4の1と外国症例用の別紙様式4の2に、様式が分離されました。
別紙様式4の2に記載するのは次の2区分です。
- 施行規則第228条の20第2項に基づいて機構に報告した外国症例
- 使用上の注意等から予測することができる外国の死亡又は重篤症例
ここでいう死亡又は重篤症例とは、死亡または施行規則第228条の20第1項第1号ハ(1)~(5)に掲げる症例等(重篤な健康被害)のうち、不具合による影響が疑われるものを指します。不具合により死亡または重篤な健康被害が発生するおそれがあるものも含まれます。
記載上の注意も定められました。同一症例で複数の不具合・感染症が発現した場合は、それぞれ1件として数えます。期間満了時に使用上の注意から予測できない不具合・感染症には、種類の頭に*印を付けます。使用数量(出荷数量)欄には、外国医療機器の使用数量または出荷数量を記載します。
2.2 定期報告での取扱い
第2「使用の成績等に関する調査の報告について」の「不具合等の発現状況」欄の記載方法が改められました。製造販売後調査等またはそれ以外で発生した外国不具合・感染症症例のうち、2.1の2区分について別紙様式4の2を作成します。
外国で販売していない場合は、その旨を別紙様式2に記載すれば足ります。海外展開していない品目まで無理に一覧表を作る必要はありません。
これに合わせ、別紙様式1(製造販売後調査等報告書)の「不具合等の発現状況」欄の参照先も「別紙様式3の1~別紙様式3の4及び別紙様式4の2のとおり」へ改められました。
2.3 使用成績評価申請での取扱い
第3の添付資料「②不具合・感染症症例の発現状況一覧表」も大きく変わりました。改正前は、施行規則第228条の20第1項および第2項に基づいて報告された症例のうち外国症例を除いたものを、別紙様式4で作成する扱いでした。
改正後は対象が広がります。第228条の20第2項に基づいて報告された国内および外国症例に加え、使用上の必要な注意等から予測することができる外国の死亡又は重篤症例が対象です。作成様式は国内症例が別紙様式4の1、外国症例が別紙様式4の2に分かれます。外国で販売していない場合はその旨を記載します。
別添の添付資料一覧も「別紙様式4」から「別紙様式4の1及び別紙様式4の2」へ更新されました。
2.4 報告書の名称整理
第2の4の見出しと本文で、「使用成績等調査報告書」が「製造販売後調査等報告書」へ統一されました。提出時期(期間満了後2か月以内)や提出先(機構審査業務部業務第二課)に変更はありません。
3. 実務対応
3.1 適用日以降に指定される品目
本通知の適用日以降に使用成績評価の対象として指定された品目は、定期報告と使用成績評価申請の両方で別紙様式4の2を提出します。指定を受けた時点から外国症例の集計体制を組み込む必要があります。
3.2 適用日時点で使用成績評価期間中の品目
すでに使用成績評価期間中の品目は扱いが異なります。定期報告や使用成績評価申請の資料として別紙様式4の2を提出することは求められません。ただし、それぞれの期限を迎えた際に、当該様式を別途PMDA(独立行政法人医薬品医療機器総合機構)医療機器安全対策・基準部へ提出します。
負担軽減も明記されました。適用日以前の調査単位期間の情報については、記載を要しません。集計の起点は令和8年5月1日以降と考えて差し支えありません。
3.3 経過措置の期限
期限が間近な品目には猶予が設けられています。
- 定期報告の報告期限が令和8年6月24日までに到来する場合、別紙様式4の2の提出は令和8年6月24日まで
- 使用成績評価申請の報告期限が令和8年7月24日までに到来する場合、別紙様式4の2の提出は令和8年7月24日まで
いずれも3.2の別途提出に係る期限です。該当する品目があるかを、まず報告スケジュールから洗い出してください。
3.4 社内で準備すべきこと
外国症例の情報は、海外関連会社や販売代理店から集めるケースが大半です。安全管理部門と海外部門の連携ルート、症例の重篤度判定基準、集計フォーマットを施行日までに整えておく必要があります。製造販売後調査等の標準業務手順書に「別紙様式4」表記が残っている場合は、様式4の1・4の2への分離に合わせて改訂します。
まとめ
今回の改正により、医療機器の使用成績評価における外国症例の取扱いが大きく変わりました。 外国症例用の「別紙様式4の2」が新設され、従来の別紙様式4は国内症例用の「別紙様式4の1」へ変更されています。使用成績評価の対象品目を持つ製造販売業者は、外国症例の収集・評価・集計からPMDAへの提出まで、社内の運用体制を見直すことが重要です。
特に、すでに使用成績評価期間中の品目については経過措置が設けられており、対象品目や報告時期によって対応方法が異なります。また、海外関連会社や販売代理店からの外国症例の収集方法、重篤性の判断、別紙様式4の2の作成、SOPの改訂など、安全管理と薬事の両面から実務対応を整理する必要があります。 「自社品目が対象になるのか」「どの外国症例を記載すべきか」「既存の手順書をどこまで変更すべきか」など、判断に迷う場合は早めの確認をおすすめします。
弊社(一般社団法人薬事支援機構)では、医療機器の使用成績評価、製造販売後調査、PMDAへの申請・報告、薬機法改正への対応など、医療機器薬事に関するご相談を承っています。 使用成績評価に伴う外国症例への対応や別紙様式4の2の作成、社内体制・SOPの見直しなどでお困りの場合は、ぜひ弊社までお問い合わせください。