概要

令和8年2月10日付けの厚生労働省医薬局医薬安全対策課事務連絡により、注意事項等情報の提供に関する質疑応答集(Q&A)が全面的に取りまとめ直されました。薬機法等の一部を改正する法律(令和7年法律第37号)と関係省令の施行に対応するもので、令和8年5月1日以降の運用が対象です。同日をもって従来のQ&A(旧事務連絡等)は廃止されます。医療機器の製造販売業者にとっての最大の関心事は、容器等に収められない大型医療機器の符号表示の選択肢が明確に示された点です。

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1. 背景と目的

1.1 電子添文への移行と符号

医薬品、医療機器、再生医療等製品の注意事項等情報は、PMDA(独立行政法人医薬品医療機器総合機構)のホームページで公表されます。容器等には、その情報へアクセスするための符号(バーコードまたは二次元コード)を記載します。この運用の細部を補うのが課長通知(薬生安発0219第1号)と本Q&Aです。

1.2 全面改訂の理由

今回のQ&Aは、薬機法改正と関係省令の施行日(令和8年5月1日)以降の運用に合わせて新設されました。制定は令和3年2月19日、最終改正が令和8年2月10日です。旧Q&A(令和3年2月19日、令和3年7月14日、令和4年9月13日の各事務連絡)は施行日をもって廃止されます。実務担当者は最新版へ差し替える必要があります。

2. 主要な質疑と事例

2.1 符号を記載する単位

符号を記載しなければならない容器等は、販売包装単位です。卸売販売業者等から医療機関や薬局に販売される最小の包装単位を指します(A1)。容器面積が狭い場合に添付する文書とは、符号を付した用紙を意味します。符号は医薬関係者が読み取れる大きさと明瞭さで付します(A2)。

2.2 容器等に収められない医療機器の選択肢

今回のQ&Aで新設された要点です。その構造や性状により容器等に収められない医療機器としては、設置管理医療機器等の大型医療機器が想定されています(A5)。符号の表示は、次の3つから適切な方法を選びます(A6)。第一に医療機器に添付する文書に符号を記載する方法、第二に機器本体に符号を直接表示する方法、第三に符号を記載したラベルやタグ等を機器本体に取り付ける方法です。

2.3 添付位置と設置時の確認

符号の添付位置に指定はありません(A7)。ただし、設置後に移動が想定されない医療機器では、使用者が容易に読み取れる場所に符号が表示または添付されていることを、設置時に確認します。大型据置機器の据付け作業に、この確認を組み込むことが求められます。

2.4 特定用符号との関係

容器等に収められない医療機器では、注意事項等情報用の符号と、医薬品等を特定するための符号(特定用符号、法第68条の2の5)の表示方法が異なっても差し支えありません(A9)。ただし、それぞれの表示目的を達成する必要があります。

2.5 医療機器プログラムの提供方法

電気通信回線を通じて提供される医療機器プログラムでは、ダウンロード画面へのURLや符号の掲載、電子化された添付文書のPDF掲載、プログラム内での閲覧などから選びます(A45)。記録媒体で提供する場合は、当該媒体の容器等に符号を表示します。

2.6 提供体制とGVPの関係

注意事項等情報の提供体制は、法第68条の2の2に基づき求められるもので、GVP省令に基づく体制の一部ではありません(A31)。ただし、施行規則や課長通知の要件を満たせば、現行のGVP体制の中で併せて提供体制を取ることは差し支えありません。ジェネリック医薬品や長期収載品を含む全ての医薬品等で、提供体制の整備が必要です(A34)。

2.7 外箱を廃棄する場合の対応

製品を納入後に外箱を廃棄する場合、医療機関等で符号が活用できないおそれがあります。このような製品では、容器等に符号を記載した上で、別途符号を記載した文書を提供して差し支えありません(A8)。符号を記載する文書は専用のものである必要はなく、取扱説明書等の既存文書に符号を追加してもかまいません。

2.8 承認整理と電子添文の掲載

機構のホームページでの電子化された添付文書の公表が必要な製品は、製造販売されている製品です。承認整理を行っていない製品は、電子化された添付文書を掲載する必要があります(A35)。ただし、法の施行日以降に出荷を行わない製品は、承認整理が未了でも掲載は不要です。体内植込み型や能動型など、医薬関係者や患者に引き続き使用される医療機器は、承認整理後も掲載することが望ましいとされています(A37)。

2.9 中古医療機器の取扱い

経過措置期間中に製造販売され、符号が記載されていない中古医療機器を販売業者が再販売する場合は、対応した注意事項等情報を製造販売業者から入手して医薬関係者に提供するか、符号を記載した文書を別途提供します(A46)。

3. 実務対応

3.1 大型医療機器の表示方法の決定

容器等に収められない大型医療機器を扱う場合は、A6の3つの選択肢から自社製品に合う方法を決めます。据置型であれば本体への直接表示やラベル添付が現実的です。設置時の読み取り確認を作業手順に加えます。

3.2 初めて購入する者への情報提供

初めて購入等する者には、電子化された添付文書を印刷した文書を提供する方法が基本です(A20)。医薬関係者と共通認識がある場合は、納入前の提供や電子データ送付も認められます(A19、A22)。取扱説明書等に最新の注意事項等情報を記載する場合は、電子化された添付文書をそのまま引用します(A21)。

3.3 旧Q&Aからの切替え

令和8年5月1日をもって旧事務連絡等は廃止されます。社内で参照しているQ&Aや手順書を新版に差し替えます。特に大型医療機器の符号表示に関する記述は、新設されたA5からA9を反映する必要があります。

まとめ

今回の電子添文Q&A改訂により、医療機器の製造販売業者は令和8年5月以降の運用に合わせ、符号表示方法や注意事項等情報の提供体制を見直す必要があります。 特に、容器等に収められない大型医療機器では、本体表示・ラベル貼付・添付文書への記載など、自社製品に適した対応方法を判断し、社内手順へ反映することが重要です。

電子添文対応は、単に符号を表示すればよいものではなく、PMDAへの電子添文掲載状況、設置時の確認手順、取扱説明書との整合性、GVP体制との関係など、薬機法上の要求事項を踏まえた確認が求められます。 旧Q&A廃止後に対応漏れが発生しないよう、早期に既存製品・手順書の確認を進めることが推奨されます。

弊社(一般社団法人薬事支援機構)では、医療機器の電子添文対応、符号表示ルールの確認、薬機法改正に伴う社内手順書の見直し、製造販売業者向けの薬事対応支援を行っています。 電子添文Q&A改訂への対応や、大型医療機器の表示方法でお困りの場合は、お気軽にご相談ください。

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