概要
生物由来製品の感染症評価報告について、PMDA(独立行政法人医薬品医療機器総合機構)への提出資料の作り方と出し方が新しくなりました。令和8年5月1日からは、この通知に沿ってエクセル様式を埋め、決められたファイル名で提出することになりました。
対象は、再生医療等製品と生物由来製品の製造販売業者です。生物由来製品には医療機器も含まれます。生物に由来する成分を組成・構造に含む医療機器や、製造工程で使う医療機器のメーカーは当事者です。生物由来成分を使っていない医療機器には関係しません。
通知は令和8年2月27日付けで、日本医療機器産業連合会あてに出されました。発出者はPMDAの安全性情報・企画管理部長、医薬品安全対策第一部長、医薬品安全対策第二部長の連名です。施行日の令和8年5月1日に、令和6年3月29日付けの旧機構通知は廃止されました。
報告の対象や期限そのものを定めた通知ではありません。様式の入手先と入力のルール、PDFの分け方、電子ファイル名と提出媒体の仕様をまとめています。

1. 背景と目的
1.1 局長通知・課長通知を受けた見直し
感染症評価報告の制度は、令和7年12月26日付けの局長通知で見直されました。報告様式の変更や電子媒体での提出が定められています。同日付けの課長通知では、調査内容と記載方法が示されました。同日付けでQ&Aの事務連絡も出ています。
本通知は、これらを受けてPMDA側の実務ルールを改めたものです。令和6年3月29日付けの旧機構通知「再生医療等製品及び生物由来製品の感染症定期報告に係る留意点について」の別添1から3を見直しました。
1.2 通知の構成
本文は短く、中身は3つの別添にあります。
- 別添1 提出資料の作成について(エクセル様式の入力規則、PDFの作り方)
- 別添2 申請電子データシステムによる報告の提出方法について
- 別添3 CD等報告の提出方法について
制度の全体像や調査の考え方は局長通知・課長通知の守備範囲です。本通知は「どう書いて、どう出すか」に絞られています。
2. 主要要件と事例
2.1 エクセル様式はPMDAから入手する
局長通知の別紙様式と別添1から7は、入力用エクセルファイルをダウンロードして入力します。医療機器の場合の入手先は、PMDAのウェブサイトか、IKWサイト(医療機器/体外診断用医薬品/再生医療等製品製造販売業者向けサイト)です。
入力の共通ルールは次のとおりです。
- 別添1・2・4・5は上から順に入力し、途中に空行を作らない
- 別添3から7で複数の様式が要るときは、シートをコピーして入力する
- 別添2から7は、報告すべき情報がないシートを削除して提出する
2.2 医療機器の事業者が迷いやすい入力項目
別紙様式(感染症評価報告書)の「区分1」には、選択肢に「医療機器」があります。生物由来製品である医療機器は、ここで「医療機器」を選びます。「区分2」では血液製剤か非血液製剤かを選びます。
「原産国」は、生物由来原料基準で原産国の記録を要しないものでも、原則として入力が必要です。複数の可能性があれば網羅して書きます。不明なら「不明」と入力し、理由は備考欄に書くことが望ましいとされています。
別添1(製品の名称等)では、医療機器ならではの指定があります。
- 製品コードは8桁のJMDNコードを入力する
- 承認番号の欄には、認証番号を保有する場合は認証番号を入力する
- 生物由来成分含有区分は、組成・構造に含む場合「組成・構造」を選ぶ(製造工程でも使えば「組成・構造・製造工程」)
- 生物由来成分の含量を把握していれば入力し、1日当たりの曝露量が推定できればその数値も書く
2.3 報告の種類で書き方が変わる項目
局長通知記の1(1)による報告と、記の1(2)による報告で、入力が変わる項目があります。備考欄には、前者なら「30日報告」、後者なら「6か月報告」と入力します。追加報告の場合は「追加報告」です。
- 調査期間は、記の1(1)の報告なら開始日・終了日とも報告事項の入手日を入れる。記の1(2)の報告なら調査対象期間を入れる
- 記の1(1)の報告では、別添1の1行目の販売名と一般的名称に「XXXXXXXX」と書く。製品コードや承認番号などは「(空欄)」とし、2行目から通常どおり書く
- 別添4(感染症の種類別発生状況)と別添5(感染症発生症例一覧)は、記の1(2)の報告の場合に提出する
記の1(1)の報告であれば、別添4・5は付けません。別添2から7のうち報告事項のないものはシートごと削除するため、提出するシートは報告の種類と内容で変わります。
2.4 調査報告書番号と文献の書き方
別添2・3の調査報告書番号は「KK-送信者識別子-固有番号」の形で付けます(例 KK-abcpharma-20170401001)。別添6(外国における措置)は先頭が「ST」です。固有番号は調査報告書ごとに一意にします。
文献IDにはPubMed IDを入れます。研究報告の題目は和訳せず、原文のまま入力します。出典欄は、IKWサイト等の文献一覧に該当があればその形式で書きます。なければ「Cancer. 119(2013)825-831」の形式に合わせます。感染症名はICH MedDRA/Jの器官別大分類・基本語・PTコードで書き、バージョンも入れます。
2.5 PDFの分け方
エクセル以外の関連資料は、すべてPDFで提出します。分け方の単位が決められています。
- 別紙様式の参考資料は、項目ごとに1つのPDF
- 別添3の文献は、文献ごとに分ける
- 別添6の参考資料は、調査報告書ごとに分ける
- 添付文書は、添付文書ごとに分ける
- CCDS、CCSI等の安全性情報文書は、1つのPDFにまとめる
3. 実務対応と提出方法
3.1 電子ファイル名の命名規則
申請電子データシステムでもCD等でも、ファイル名の規則は共通です。医療機器は報告年度の西暦下2桁に「8」を付けます(再生医療等製品は「9」)。
- エクセルは k268-20260501-01.xlsx
- 文献PDFは b268-20260501-01-01.pdf
- 参考資料PDFは t268-20260501-01-その他.pdf
- 添付文書PDFは「添文-製品名」
参考資料の記号は「確保」「安全」「外国措置」「その他」「情報」の5種類です。別添6の参考資料だけ、末尾に枝番号を付けます。申請電子データシステムでは、報告書が1つだけでも末尾に枝番号「01」を付けます。
3.2 申請電子データシステムで出す場合
エクセルはxlsまたはxlsx、参考資料はPDF、文字コードはシフトJISです。提出方法の詳細は、令和5年8月20日付けのPMDA連名事務連絡を参照します。題名は「市販後安全性に係る報告書等の提出の取扱い(申請電子データシステムを利用したオンライン提出)の留意点について」です。別紙様式の報告日は、システム上の提出日を入れます。
3.3 CD等で出す場合
媒体はCD-R(ROM)かDVD-R(ROM)です。CD-Rは ISO 9660 レベル3及びJoliet・Romeo形式で、容量は650MBまたは700MBです。DVD-RはUDF 2.00形式で4.7GBです。1つの報告書につきエクセルは1ファイルです。複数の報告書を1枚にまとめてもよく、その場合は報告書ごとにフォルダを作り、フォルダ名をエクセルのファイル名と同じにします。記録前にウイルスチェックをします。
報告日は、郵送等なら発送日、それ以外は提出日です。受領印が要るときは、別紙様式の控えと、宛先を書いて切手を貼った返信用封筒を同封します。
3.4 施行までに準備すること
令和8年5月1日以降の報告は、この通知のルールに従います。PMDAから新しいエクセル様式を入手し、社内の報告手順書やファイル名のルールを差し替えておく必要があります。JMDNコードや承認・認証番号、生物由来成分の原産国と含有区分は、製品ごとに一覧化しておくと報告時に慌てません。
まとめ
2026年(令和8年)5月1日から、医療機器を含む生物由来製品の感染症評価報告について、PMDAへの提出資料の作成方法や提出ルールが変更されました。今回の変更では、新しいExcel様式への対応、JMDNコード・承認番号・認証番号の正確な記載、電子ファイル名の命名規則、オンライン提出やCD等による提出方法の確認が重要です。 対象となる医療機器の製造販売業者は、最新の通知に基づき、社内手順書や報告体制を見直す必要があります。
特に、生物由来成分を使用する医療機器では、感染症評価報告の対象となる製品の確認、原産国や生物由来成分含有区分の整理、30日報告・6か月報告に応じた提出資料の作成など、専門的な薬事対応が求められます。 報告様式の記載漏れや提出方法の誤りを防ぐためにも、PMDAの最新通知を正しく理解し、製品ごとの情報管理と報告手順を整備することが重要です。
弊社(一般社団法人薬事支援機構)では、医療機器の薬事規制に関する専門知識を活かし、感染症評価報告への対応、PMDA提出資料の作成、薬事申請、QMS・安全管理体制の整備などを幅広く支援しています。 「自社製品が感染症評価報告の対象になるかわからない」「新様式への対応や提出資料の作成に不安がある」「社内の薬事管理体制を見直したい」といったお悩みがございましたら、ぜひ弊社までお気軽にお問い合わせください。