概要

プログラム医療機器(SaMD)を評価療養・選定療養の対象とするための手続を定めた通知です(令和8年2月13日 産情発0213第7号、保発0213第10号)。製造販売業者が希望書を提出してから中央社会保険医療協議会(中医協)の了承を得るまでの流れ、審査期間、対象開始時期、取下げ手続を規定します。具体的な提出方法は医政産情企発0213第5号が、保険適用等は産情発0213第4号(保発0213第6号)が定めており、あわせて参照する必要があります。

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1. 背景と目的

1.1 二つの制度

本通知は二つの制度の手続を定めます。一つは第1段階承認を取得したプログラム医療機器等の評価療養、もう一つは主として患者が操作するプログラム医療機器の選定療養です。評価療養は将来の保険適用に向けたデータ収集を目的とし、選定療養は保険適用期間終了後に患者の希望で使用を続ける場面を対象とします。評価療養には、第1段階承認の品目と、保険適用外の使用成績を踏まえた再評価を目指すチャレンジ申請の品目の二種類があります。

1.2 制度の狙い

プログラム医療機器は改良や適応拡大が速く、通常の保険適用の枠組みだけでは実態に追いつきにくい面があります。評価療養・選定療養を組み合わせることで、有効性の使用成績を集めながら保険外併用療養として使用できる道を確保する狙いがあります。医薬品医療機器等法に基づく段階的承認と、保険上の取扱いを橋渡しする制度と位置づけられます。

2. 主要要件と事例

2.1 評価療養の対象と申請

評価療養の対象は、第1段階承認を取得したプログラム医療機器に関する評価療養と、保険適用外の使用に係るチャレンジ申請を行うプログラム医療機器に関する評価療養の二つです。実施期間の延長を希望する場合も含みます。いずれも製造販売業者が別紙1の評価療養希望書を提出します。希望書の審査にあたっては、必要に応じて製造販売業者から意見を聴取します。臨床試験に関与した者が業者に同行して意見を述べることも認められています。

2.2 審査期間と決定手続

審査の標準的な事務処理期間は、次のとおりです。

提出期限   各月末日まで
審査期間   提出日の属する月の翌月1日から起算して4月
           (標準的事務処理期間80日以上を確保したものに限る)
除外期間   ①不備補正 ②追加資料要求 ③休日等
対象開始   決定された翌月1日から評価療養の対象

審査では保険医療材料等専門組織が専門的見地から検討し、決定案を策定します。対象とすることの妥当性、使用目的・使用方法、実施を認めるべき期間が検討対象です。希望する業者は1回に限り専門組織に出席して意見表明できます。決定案は中医協総会での審議前に理由を付して製造販売業者へ通知され、不服がある場合は希望書を取り下げられます。製造販売業者の不服がないことを確認した決定案が中医協総会で審議・了承されます。対象となった後は、少なくとも2年に1回以上の定期報告が求められます。

2.3 選定療養の手続

選定療養は、主として患者が操作し、保険適用期間終了後に患者の希望で使用するプログラム医療機器が対象です。製造販売業者が別紙2の選定療養希望書を提出します。各月10日までに受理(不備補正が終了)されたものは、原則として翌々月1日から選定療養の対象となり、中医協総会に報告されます。チャレンジ申請の妥当性判断中の医療機器や、今後チャレンジ申請を行う予定の医療機器の再評価対象となる使用は、選定療養の対象になりません。

3. 実務対応

3.1 提出タイミングの設計

評価療養は各月末日、選定療養は各月10日が提出の区切りです。この締めを逃すと対象開始が1か月ずれます。評価療養は決定まで最短でも数か月かかるため、開発・上市計画と照らして提出時期を逆算しておくことが実務上重要です。審査期間には不備補正や追加資料要求の期間は含まれないため、資料の完成度を高めて出すほど決定が早まります。

3.2 定期報告と取下げ

評価療養の対象品目は2年に1回以上の定期報告が必要です。データ集積や臨床試験の進捗を継続的に管理する体制を整えます。対象からの取下げを希望する場合は、別紙3の評価療養及び選定療養希望取下げ書を提出します。各月10日までに受理されたものは、原則として翌々月1日から対象外となり、地方厚生局長等と都道府県知事に通知されます。選定療養の取下げも同じ手続です。

3.3 関連通知との整合

本通知は手続の大枠を定めるもので、提出方法は医政産情企発0213第5号、保険適用等は産情発0213第4号(保発0213第6号)が定めます。氏名記載欄には旧氏の単記または併記も可能です。三つの通知を横断的に確認し、抜け漏れのない申請書類を整えることが求められます。既に選定療養の対象となっている医療機器の使用に係る再評価は、チャレンジ申請の対象とならない点にも留意します。制度が重ならないよう、選定療養とチャレンジ申請のどちらを選ぶかは上市戦略の段階で整理しておきます。

まとめ

プログラム医療機器(SaMD)の評価療養・選定療養制度は、保険適用を見据えた重要な制度であり、申請時期や審査期間、提出書類、関連通知との整合性を正しく理解しておくことが円滑な手続につながります。提出期限を逃すと対象開始時期が遅れる可能性もあるため、開発・承認・保険戦略を一体的に計画することが重要です。

特に、評価療養・選定療養の制度選択、チャレンジ申請との関係整理、提出資料の作成、PMDA対応、保険適用戦略は、製品ごとに判断が異なるケースも少なくありません。制度の解釈や実務対応を誤ると、開発スケジュールや事業計画へ影響を及ぼす可能性があります。

弊社(一般社団法人薬事支援機構)では、プログラム医療機器(SaMD)の薬事戦略立案から評価療養・選定療養に関するご相談、承認申請、PMDA対応、保険適用に向けた各種支援まで幅広くサポートしています。SaMDの評価療養・選定療養手続や保険適用、チャレンジ申請でお困りの際は、お気軽に弊社へお問い合わせください。

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