概要
令和8年3月9日付けの事務連絡(医政局医薬産業振興・医療情報企画課医療機器政策室)が、医療機器の保険適用希望書について記載例と注意事項を示しました。対象は決定区分A1(包括)、A2(特定包括)、B1(既存機能区分)のうち、チャレンジ申請を希望しない案件です。承認や認証を取得した医療機器を保険適用へ乗せる薬事担当者が、様式のどこに何を書くかを確認するための実務資料です。提出方法はe-Gov電子申請が原則となり、受理日の扱いも整理されました。

1. 背景と目的
1.1 令和8年の保険適用関連通知の再編
令和8年は診療報酬改定の年です。これに合わせ、保険適用の取扱いを定める通知が相次いで発出されました。基礎となるのは「医療機器の保険適用等に関する取扱いについて」(令和8年2月13日 産情発0213第4号ほか)です。提出方法は「医療機器に係る保険適用希望書の提出方法等について」(令和8年2月13日 医政産情企発0213第2号ほか。以下「提出方法通知」)が定めます。今回の事務連絡は、これらを踏まえた記載例集という位置づけです。
1.2 記載例が用意された範囲
今回の記載例は3つの別添で構成されます。別添1は保険適用希望書と添付資料の記載例、別添2は決定区分A1を希望しない旨の申出書様式、別添3は安定供給に関連する各種様式の記載例です。対象はA1、A2、B1のうちチャレンジ申請を希望しない案件に限られます。新機能を主張するC1やC2などは対象外で、これらは担当者との事前相談が前提になります。
2. 主要要件と実務ポイント
2.1 保険適用希望書の提出が必要な場合・不要な場合
新たに保険適用を希望する医療機器は、原則として希望書の提出が必要です。既収載品でも、承認等に変更があった場合や、軽微変更届により新たな製品が生じた場合は提出します。一方で、提出が不要な例外もあります。平成12年9月30日以前に承認等を受け、その後一部変更承認等を受けていない場合が該当します。特定包括通知に定める包括別定医療機器に該当する場合も不要です。認証機関の変更で新たな認証番号が付くだけの変更も、提出は要りません。
2.2 提出単位の原則
希望書は1つの承認等に対して1つにまとめるのが原則です。ただし例外があります。1つの承認等に複数製品が含まれ、決定区分が製品ごとに異なる場合は、決定区分ごとに分けて提出します。保険適用は製品単位の収載が基本です。同一承認内の全製品がA1を希望する場合などは、承認等単位での手続もできます。
2.3 共通記載項目の注意点
平成17年4月1日以前の承認等で項目名が現在の様式と異なる場合は、相当する承認内容を記載します。「販売名」欄には承認等申請書の販売名を書きます。「製品コード」欄には全製品のJANコードを記載し、JANコードがない場合はGS1コードを使います。どちらもない場合は、大型機器であるためといった理由を備考欄に記します。一部変更承認等がある場合は「承認等年月日」欄の下段に直近の変更年月日を書き、当該承認書を添付します。
2.4 承継・選任製造販売業者変更の扱い
承継や選任製造販売業者の変更に伴い希望書が必要になる場合は、承継届等の提出後に希望書を出せます。ただし保険適用される日には承継が完了している必要があるため、提出日には注意します。希望書には承継届の写しや選任外国製造医療機器等製造販売業者変更届書の写しを添えます。
3. 実務対応
3.1 区分別の提出書類
決定区分によって必要書類が変わります。A1は保険適用希望書(別紙1)と製品名・製品コードリスト(別添資料1)です。A2は希望書(別紙2)に加え、保険適用希望資料(様式1-1)や区分選定の根拠(様式2-1)が要ります。B1(別紙3)ではさらにPMDA(独立行政法人医薬品医療機器総合機構)との簡易相談結果要旨の写しが必要になる場合があります。いずれも薬事承認書等の写しを添付します。
3.2 様式の入手と提出形式
様式は厚生労働省のホームページからダウンロードします。区分別に必要様式を1つのファイルへまとめてあり、入力チェック機能付きのマクロ有り(xlsm形式)とマクロ無し(xlsx形式)の2種類があります。セキュリティ上マクロ有りが使えない場合はマクロ無しを使います。希望書本体や様式1-1などはExcelまたはWordで提出し、加えてこれらを1つにまとめたPDFも提出します。
3.3 提出方法と受理日
提出はe-Gov電子申請が原則です。難しい場合は電子メール(kiki-kibousyo@mhlw.go.jp)またはCD-R等の郵送を使います。メール提出では容量が10MBを超える場合に分割し、件名に送信日・企業名・区分・部数を記載します。受理日には運用ルールがあります。A2とB1は各月10日までに受理可能な状態となれば、特段の連絡がない限り受理日が各月10日となります。A1の受理日を確認したい場合は医療機器政策室へ連絡します。
3.4 事前相談とチャレンジ申請
A1、A2、B1でチャレンジ申請を希望しない場合、事前相談は不要です。質問があれば医療機器政策室へ問い合わせます。チャレンジ申請やC1、C2などを希望する場合は、担当者と適宜相談しながら資料を作成します。この場合は「医療機器・体外診断用医薬品の保険適用に関するガイドブック」も参照します。
まとめ
医療機器の保険適用希望書は、決定区分ごとに必要書類や記載内容、提出方法が異なるため、事前の確認と正確な資料作成が保険適用手続きを円滑に進めるポイントです。特にA1・A2・B1では、提出要否の判断や受理日の運用、添付資料の準備など、実務上注意すべき事項が数多くあります。
また、記載内容の不備や決定区分の判断誤りは、保険適用スケジュールの遅延につながる可能性があります。保険適用希望書の作成にあたっては、最新通知や記載例を踏まえた対応が重要です。
弊社(一般社団法人薬事支援機構)では、医療機器の保険適用希望書の作成支援、決定区分の検討、保険適用戦略のご相談をはじめ、薬事承認・認証申請やPMDA対応まで幅広くサポートしています。医療機器の保険適用手続きや薬事対応でお困りの際は、お気軽にお問い合わせください。