概要

PMDA(独立行政法人医薬品医療機器総合機構)が、革新的医療機器等の相談手数料と承認申請手数料の5割を補助する事業を、令和8年度も実施します。対象は先駆的医療機器や希少疾病用医療機器などを開発する中小・ベンチャー企業です。

補助金の申請締切は令和9年1月31日(必着)。対象となるのは、令和8年2月1日から令和9年1月31日までに受け付けられた相談申込または承認申請です。手数料をPMDAへ全額納付したうえで、別紙様式1により補助金を申請します。

通知本体は薬機発第1016号(令和8年5月13日)。PMDA理事長から日本医療機器産業連合会など11団体宛てに発出されました。対面助言の手数料は区分によって高額になります。その半額が戻る制度のため、該当しそうな企業は相談申込の段階から準備を始めてください。

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1. 背景と目的

1.1 中小・ベンチャーを阻む初期投資の壁

革新的な医療機器や再生医療等製品のシーズは、中小・ベンチャー企業から生まれることが少なくありません。ところが、薬事承認までには相談・申請の手数料や臨床試験費用など、膨大な初期投資が必要になります。資金面の制約で実用化が遅れ、有望なシーズが上市しにくい状況が続いてきました。

本事業は、この財政負担を軽減して実用化の遅れを防ぐことを目的としています。

1.2 交付要綱の一部改正を受けた令和8年度版

本事業は単年度の臨時措置ではなく、毎年度実施されています。今回の通知は、令和8年4月10日付の厚生労働省発医薬0410第66号による交付要綱の一部改正を受けたものです。実施手順は、同日付の医薬発0410第30号「革新的医療機器等相談承認申請支援事業等実施要綱について」に基づきます。

2. 補助の対象と支援内容

2.1 対象品目は3類型

相談の申込時、または承認申請時に、次のいずれかに該当する品目が対象です。

  1. 先駆的医療機器・先駆的再生医療等製品・先駆的体外診断用医薬品(先駆け審査指定制度で指定されたものを含む)、または優先的な審査等の対象品目に指定されたプログラム医療機器
  2. 希少疾病用医療機器・希少疾病用再生医療等製品・希少疾病用体外診断用医薬品
  3. 「医療ニーズの高い医療機器等の早期導入に関する検討会」で選定された医療機器・体外診断用医薬品(開発要請を受けた企業に限る)

指定を受けていない品目は対象外です。先駆け審査指定やオーファン指定の取得が、そのまま手数料補助の入口になると理解してください。

2.2 対象企業は4要件をすべて満たす中小企業

品目要件を満たしても、企業側の要件を外すと補助を受けられません。補助金の申請時点で、次の4つをすべて満たす必要があります。

  • 日本に法人または事務所を有する中小企業であること(従業員数300人以下または資本金3億円以下
  • 他の1法人が、株式総数または出資総額の2分の1以上を保有していないこと
  • 複数の法人が、株式総数または出資総額の3分の2以上を保有していないこと
  • 前事業年度において、当期利益が計上されていない、または当期利益は計上されているが事業収益が2億円以下であること

資本関係の要件は見落としがちです。大手メーカーの子会社や、複数企業が出資するジョイントベンチャーは対象から外れる可能性があります。

なお、ベンチャーキャピタルなど投資事業組合等の扱いは、関連する法令・基準等の運用に準じて個別に判断されます。開発費を繰延資産として計上している場合は、費用処理したと仮定した場合の当期利益相当額が参考にされます。前事業年度の決算に特別な事情がある場合は、直近2期の決算状況で判断されることもあります。

2.3 対象手数料は相談と承認申請の2本立て

補助対象となる手数料は次の2種類です。

相談手数料 対象品目に係るすべての区分の相談手数料が対象です。ただし、レギュラトリーサイエンス戦略相談は除きます。取下げにより手数料の半額が還付された場合も対象外です。

承認申請に係る手数料 対象品目の承認申請にあたりPMDAへ納付した、審査手数料、信頼性調査(適合性書面調査/GCP調査)手数料、QMS/GCTP適合性調査手数料が対象です。

収入印紙で納めた国宛ての手数料は補助対象外となります。PMDAへ納付した分だけが対象という切り分けを、経理担当者と共有しておいてください。

2.4 補助率は手数料の5割

補助率は対象手数料の5割(千円未満切り捨て)です。納付した手数料が300万円なら150万円、500万円なら250万円が補助される計算になります。小児用医療機器の承認申請支援事業(補助率9割)とは水準が異なるため、混同しないよう注意してください。

補助はいったん全額を納付したうえでの事後精算です。キャッシュフロー上は、一時的に満額の手数料を負担する必要があります。

3. 実務対応と申請フロー

3.1 スケジュールは2つの日付で管理する

押さえるべき日付は2つです。

  • 補助金の申請受付期間: 令和8年4月1日から令和9年1月31日(必着)まで
  • 対象となる相談申込・承認申請の期間: 令和8年2月1日から令和9年1月31日まで

過去に交付決定を受けた相談または承認申請について、令和8年2月1日から令和9年1月31日までに追加で対象手数料(外国旅費を含む)を納付した場合も対象になります。前年度から継続している案件は、追加納付分の請求漏れがないか確認しましょう。

3.2 申請から支給までの4ステップ

手続きは次の流れで進みます。

  1. 対象品目の相談または承認申請に係る手数料をPMDAへ全額納付し、相談申込または承認申請を行う
  2. 別紙様式1により、相談申込・承認申請と同時または後日(令和9年1月31日必着)に補助金を申請する
  3. PMDAが交付・不交付を審査し、別紙様式2により決定を通知する
  4. 交付決定を受けたら、期限内に別紙様式3で補助金を請求する

補助金は当該年度末までに支給されます。相談申込と補助金申請は別の手続きです。相談を申し込んだだけでは補助金は下りません。

3.3 添付書類は企業要件の証明が中心

別紙様式1には、次の書類の写しを添付します。

  • 相談申込書または承認申請書等、対象となる申込・申請がわかる書類
  • 承認審査・調査申請書(承認申請に係る手数料の場合のみ)
  • PMDAに手数料を納付したことを証明できる書類
  • 前事業年度に係る貸借対照表、損益計算書および事業報告
  • 法人税確定申告書別表第二(または株主・出資者名簿)
  • 資本金が3億円を超える場合は、労働保険概算・確定保険料申告書や所得税徴収高計算書など従業員数が確認できる書類

過去の交付決定分に追加納付した手数料を申請する場合は、当該交付決定書の写しも添付します。決算書類が必要になるため、決算確定のタイミングと申請時期の兼ね合いを早めに見ておくと安全です。

3.4 他の補助金との重複受給は認められない

本事業の補助金と他の補助金等を合算して、補助対象額を上回って受け取ることはできません。申請時には別添「他の補助金等受給状況に関する確認」で、受給実績や受給予定の有無を申告します。

ここでいう他の補助金等とは、国やAMED(国立研究開発法人日本医療研究開発機構)等の国経由のもの、および地方自治体等の補助金・助成金を指します。応募前の段階でも申告が必要です。採択済みの場合は採択がわかる書類と、使途・金額がわかる書類を添付します。

3.5 予算枠は限られる

本事業は予算の範囲内で交付されます。交付要綱では補助金の算定に用いる「基準額」が定められていますが、これは事業全体の予算額ではありません。申請は相談申込・承認申請の受付順に審査されるため、対象となる企業は早めの申請がおすすめです。

要件を満たす申請の合計額が予算額を超え、かつ複数の補助申請を行った企業がある場合は、各企業ができるだけ均等に機会を得られるよう調整されます。1社で複数案件を出すと、一部が削られる可能性がある構造です。優先度の高い品目から順に申し込むほうが、結果的に取りこぼしを減らせます。

3.6 提出先・問い合わせ先

窓口は手数料の種類で分かれます。

相談に係る手数料 独立行政法人医薬品医療機器総合機構 審査マネジメント部 審査マネジメント課 〒100-0013 東京都千代田区霞が関3-3-2 新霞が関ビル 電話: 03-3506-9556(ダイヤルイン)

承認申請に係る手数料 独立行政法人医薬品医療機器総合機構 審査業務部 業務第二課 〒100-0013 東京都千代田区霞が関3-3-2 新霞が関ビル 電話: 03-3506-9509(ダイヤルイン) メール: kiki-tetsuzuki@pmda.go.jp

3.7 虚偽申告は返還と公表の対象

補助金申請時の申告内容に虚偽があると判明した場合、補助金の支給取止め、返還請求、公表の対象となります。対象は、品目要件と企業要件の各項目です。

企業要件は資本構成や決算内容という、薬事担当者だけでは確定できない情報を含みます。経理・財務部門と連携し、申告内容を社内で確認したうえで提出してください。

まとめ

令和8年度の「革新的医療機器等相談承認申請支援事業」は、先駆的医療機器や希少疾病用医療機器などを開発する中小・ベンチャー企業にとって、PMDA相談や承認申請にかかる費用負担を軽減できる重要な制度です。対象となれば、PMDAへ納付する相談手数料や承認申請に係る審査・調査手数料等の5割が補助されます。

一方で、補助を受けるには、対象品目の指定状況だけでなく、資本金・従業員数・株主構成・前事業年度の決算状況など、複数の企業要件を確認する必要があります。 また、PMDA相談や医療機器の承認申請そのものと補助金申請は別の手続きとなるため、申請期限や必要書類を踏まえて早めに準備することが重要です。

弊社(一般社団法人薬事支援機構)では、医療機器・プログラム医療機器(SaMD)等の薬事支援を行っており、PMDA相談の準備、相談資料の作成・レビュー、承認申請資料の作成支援など、開発段階から承認取得まで幅広くサポートしています。「自社製品はどのような薬事戦略で進めるべきか」「PMDA相談をどのタイミングで行うべきか」「承認申請に向けて何を準備すればよいかわからない」といったお悩みがございましたら、ぜひ弊社へお問い合わせください。

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