概要

ウシ等由来物を使う医薬品・医療用具・医薬部外品・化粧品の製造販売業者が対象です。BSE(ウシ伝達性海綿状脳症)対策として平成12年12月12日に出された医薬発第1226号と医薬審第1293号の運用を、Q&A形式で具体化した事務連絡となります。現に流通中の製品の回収までは求めていません。原産国・使用部位等から見て使用が認められない原料を、すみやかに切り替えることが要点です。事業者は3ヶ月以内の判断と、必要なら一部変更承認申請に動く必要があります。

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1. 背景と目的

1.1 BSE対策としての位置付け

平成12年当時、欧州を中心にBSEが拡大し、ウシ由来原料の安全性が国際的に問題化しました。日本でも平成12年12月12日付けで医薬発第1226号(医薬安全局長通知)が発出されています。同日付け医薬審第1293号(審査管理課長通知)と合わせ、ウシ等由来原料の使用制限が始まりました。本Q&Aはその運用上の疑問に答える事務連絡として位置付けられ、現場の判断材料となるものです。

1.2 この事務連絡の位置付け

局長通知の文言だけでは判断が難しい論点を、12問のQ&Aで整理しています。「自主点検の進め方」「一部変更承認申請の取扱い」「成分表示の期限」「公定書収載品目の扱い」など、事業者が実務で迷う論点が中心となっています。

2. 主要なQ&A

2.1 流通品の回収は不要、切替えが原則

Q1の回答が明快です。現に流通している製品の回収は求めていません。求められているのは、認められない原料を使った製品の使用中止と、原料を切り替えた製品への移行です。市場から回収するのではなく、製造段階で順次切り替える運用となります。

2.2 「速やかに販売を自主的に中止し」の解釈

Q2は通知の核心です。製品を3類型に分けて対応を示しています。

  • 承認書の範囲内で原料の生産地や使用部位を変更できる製品は、一部変更承認申請を待たずに原料を変更する
  • 原料の削除や動物種変更が必要で、一変なしでは対応できない製品は、局長通知公布日(平成12年12月12日)から3ヶ月以内に一変申請を行い、承認後に切り替える
  • 製造方法変更等で3ヶ月以内の一変申請が困難な場合は、3ヶ月目までに製造・輸入を一時停止し、その後一変申請する

化粧品は自主点検の結果を踏まえて切り替える運用となります。

2.3 一変申請の取扱いは迅速処理

Q3〜Q6は申請手続きの簡略化に関する論点です。ウシ等由来成分の削除や他成分への変更は、有効成分の変更であっても一部変更承認申請として扱えます。優先審査の対象となり、医療用具では改良医療用具の区分で申請します。安定性に関する資料の添付は不要ですが、製造業者の責任で安定性を担保します。問題が生じた際はすみやかに申し出ます。

2.4 成分表示の期限と既申請品目

Q7では、ウシ等由来原料に係る成分表示も特例期間である平成14年9月30日までに完了すべき旨が示されました。Q8では既申請品目の取扱いを5類型で整理し、平成13年3月12日を境に手続きが分かれます。同日までの新規申請はPMDA等に照会して成分分量欄を差し替え、一変申請中の品目は記載整備の一変を重ねて申請できます。後発医療用具・医薬部外品・化粧品は「承認後すみやかに一変申請を行うこと」の承認条件付きで承認され、概ね1ヶ月以内に必要な一変を行います。

2.5 高度精製成分・確認不能原料・公定書収載品目

Q9〜Q11も実務上の頻出論点です。脂肪酸とその誘導体・アミノ酸・グリセリン等、ウシ等由来原料から物理化学的に高度精製される成分は、局長通知の記の1の範囲には含まれません。ただしプリオン不活化が認められる処理条件下で精製していることを自主点検します。

原産国・使用部位等が確認できない原料は、確認できる原料か非ウシ由来原料に切り替えます。日本薬局方等の公定書収載成分で成分分量欄が簡略記載の品目は、当分の間、原産国・使用部位・処理方法等を追加するための一変申請を行います。

3. 実務上の留意点

3.1 自主点検の徹底

平成12年12月12日以降、対象製品は自主点検の対象です。原産国・使用部位・処理方法を含めた原料情報を一次資料で押さえます。供給業者からの原産地証明書やTSE/BSE安全性宣言書を整え、品質部門で記録を保管します。

3.2 申請区分の選定

医療用具で一変申請する場合、改良医療用具の区分を選ぶことで迅速審査の対象となります。申請書備考欄には「一変申請中:平成○○年○○月○○日申請」と明記します。記載整備の一変を別途行う場合は、二重申請の関係を備考欄で明示します。

3.3 羊毛・ゼラチン・乳の例外

羊毛及びラノリン等の羊毛由来物、アルカリ処理かつ英国産以外のゼラチン、英国産以外の乳は、3ヶ月以内の一変申請は不要です。他の一変申請の機会に併せて変更することで足ります。例外に該当する場合も、原産国や処理方法の根拠資料を社内で記録に残します。供給業者の変更時にも同じ確認を繰り返します。

まとめ

BSE対策として求められるウシ等由来原料の自主点検は、単なる原料確認では終わりません。原産国・使用部位・処理方法の確認、一部変更承認申請の要否判断、承認書との整合性確認、供給業者資料の収集まで含め、薬機法上の実務対応が必要となります。特に「3ヶ月以内の対応」「製造停止判断」「成分表示整備」は、対応の遅れが製造販売への影響につながる重要ポイントです。

また、公定書収載成分や高度精製成分の扱い、改良医療用具区分での申請、備考欄記載などは、通知・Q&Aを踏まえた実務判断が求められます。自社判断のみで進めると、承認書記載との不整合や申請区分の誤りにつながるケースも少なくありません。

弊社(一般社団法人薬事支援機構)では、ウシ等由来原料に関するBSE/TSE対応、自主点検支援、一部変更承認申請、承認書整備、PMDA対応まで実務ベースで支援しております。医療機器・医薬品・医薬部外品・化粧品の薬機法対応でお困りの際は、お気軽にご相談ください。

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