概要
令和7年8月26日付け医薬発0826第4号により、副作用等報告の取扱いを定めた局長通知(平成26年10月2日付け薬食発1002第20号)が改正されました。改正の中心は、要指導医薬品の未知・非重篤副作用定期報告の取扱いです。製造販売後調査の期間中は「要指導医薬品製造販売後安全性調査報告書」で代替報告できるようになりました。本通知は同日から適用されます。
医療機器メーカーの薬事担当の方は、「医薬品の話か」と読み飛ばしたくなるかもしれません。ただ、本通知は副作用等報告の全体構成を最終改正版として再整理する位置づけです。対象は医薬品・医療機器・コンビネーション医薬品・再生医療等製品の全領域に及びます。医療機器の不具合報告に関する報告期限・様式・提出先も改めて確認されており、市販後安全管理の運用点検の好機です。
対象事業者は、医薬品・医薬部外品・化粧品・医療機器・コンビネーション医薬品・再生医療等製品の製造販売業者等です。要指導医薬品を扱わない医療機器メーカーに直接の手続変更はありません。報告様式と提出先の整理を再確認してください。

1. 背景と目的
1.1 副作用等報告制度の根拠
副作用等の報告は、医薬品医療機器等法(昭和35年法律第145号)第68条の10第1項に基づく義務です。製造販売業者等は、副作用・不具合・感染症の発生や保健衛生上の危害発生のおそれを知った場合、報告義務が生じます。規則第228条の20の区分に従い、厚生労働大臣(実務上はPMDA:独立行政法人医薬品医療機器総合機構)に報告します。
1.2 これまでの取扱い
報告の運用は、平成26年10月2日付け局長通知(薬食発1002第20号)で詳細が示されました。その後、令和3年7月30日付け薬生発0730第8号で一部改正されています。今般の令和7年8月26日付け改正は、その流れに連なる最新版です。
1.3 今回の改正点
改正のポイントは1つに絞られます。要指導医薬品の未知・非重篤副作用定期報告(規則第228条の20第1項第3号ロ)の取扱いが変わりました。製造販売業者が希望する場合、未知・非重篤副作用を別の様式で代替報告できます。具体的には、製造販売後調査期間中に収集した情報を「要指導医薬品製造販売後安全性調査報告書」で報告できるようになりました。
新旧対照表での変更箇所は次の3点です。
- 報告期限等 2(1)④イ:要指導医薬品の報告起算日に「販売開始日」が明示された
- 報告様式 3(1)①エ:要指導医薬品(新医薬品を除く)は、別途通知される様式の調査報告書で代替できる
- 提出先 4:要指導医薬品製造販売後安全性調査報告書で報告する場合の例外が追記された
経過措置として、本通知適用時点で既に報告起算日が到来済みかつ未報告のものは、なお従前の例(改正前の取扱い)によります。
2. 主要要件と事例
2.1 医療機器の不具合報告(変更なし、再確認)
医療機器の不具合報告は今回の改正の直接対象ではありません。ただし、本通知の別添で取扱いが整理されており、改めて押さえておくべき点が2つあります。
- 第1項第1号該当(死亡・重篤等)は15日以内、第2号該当は30日以内
- 国内死亡症例・感染症報告の全症例・外国措置の全内容は、PMDA医療機器品質管理・安全対策部医療機器安全課にファックス等で速やかに第一報
定期報告は、製造販売承認日・認証日・届出日から起算して1年以内ごと、満了後2か月以内に行います。
2.2 要指導医薬品の定期報告の代替報告(今回の改正)
要指導医薬品は、薬剤師による情報提供を要する医薬品です。リスク評価が定まるまで一般用医薬品とは区別されます。製造販売後調査が義務付けられる期間中、これまでは別紙様式第7(未知・非重篤副作用定期報告)と、別途の製造販売後調査報告書の両方を出す運用でした。
改正後は、製造販売業者が希望すれば、未知・非重篤副作用を要指導医薬品製造販売後安全性調査報告書に統合して報告できます。同じ調査期間の同じ副作用情報を二重に整理する手間が省け、報告負担が軽減されます。
2.3 報告起算日の明確化
要指導医薬品の定期報告の報告起算日は、改正前は「承認日等」とのみ書かれていました。改正後は「承認日、販売開始日、国際誕生日等」と例示が明確化されました。要指導医薬品は承認後に販売開始まで時間差が生じます。起算日の選択肢を実態に合わせて整理した形です。
3. 実務対応と罰則
3.1 医療機器メーカーが確認すべき点
医療機器メーカーの薬事・市販後安全管理担当者は、本通知を機に次の3点を点検してください。
- 自社の市販後安全管理SOPで、不具合報告の期限(15日・30日)と判定フローが最新の通知に整合しているか
- 定期報告(規則第228条の20第2項第3号)の起算日・提出期限・様式(別紙様式第11・第12)の管理が継続できているか
- 国内死亡症例・感染症・外国措置のファックス第一報の連絡先(PMDA医療機器安全課)が最新化されているか
報告先は変わりません。医療機器の不具合報告はPMDA医療機器品質管理・安全対策部医療機器安全課宛です。副作用報告等の安全性情報・企画管理部情報管理課とは窓口が分かれています。
3.2 コンビネーション医薬品を扱う場合
機械器具等と一体的に承認された医薬品(コンビネーション医薬品)の機械器具部分の不具合は、医療機器の不具合報告に準拠します。健康被害が発生している場合は、副作用報告も併せて提出します。機械器具部分の不具合が原因と明らかで、薬剤起因の健康被害がない場合はこの限りでなく、報告区分の整理が必要です。
3.3 要指導医薬品を扱う場合の実務フロー
要指導医薬品の製造販売業者は、本改正の運用を検討します。代替報告を選ぶ場合の流れはこうなります。
- 製造販売後調査期間に収集した未知・非重篤副作用を、別紙様式第7ではなく要指導医薬品製造販売後安全性調査報告書にまとめる
- 報告様式は別途通知される様式に従う
- この場合、提出先はPMDA安全性情報・企画管理部情報管理課ではなく、別途通知される様式で指定される提出先となる
経過措置に注意してください。本通知適用日(令和7年8月26日)時点で報告起算日が到来済み・未報告の案件は、改正前のルールで処理します。報告中の案件を急に新様式に切り替えると逆に混乱します。
3.4 報告遅延・未報告のリスク
副作用等報告は法第68条の10第1項の法定義務です。報告遅延や未報告はGVP省令違反となり、業務改善命令・業務停止命令の対象となります。製造販売業の許可更新時にも指摘されやすい論点で、自主点検の優先順位を上げるべき領域です。
まとめ
今回の「医薬品等の副作用等の報告について」の改正は、要指導医薬品の未知・非重篤副作用定期報告について、製造販売後安全性調査報告書による代替報告を可能とするものです。一方で、医療機器メーカーにとっても、副作用等報告制度や不具合報告制度の最新運用を改めて確認する重要な機会となります。
特に、市販後安全管理(GVP)における不具合報告の15日・30日報告ルール、定期報告の提出期限、報告様式、PMDAへの報告フローについては、SOPと実際の運用に齟齬が生じていないか点検しておくことが重要です。報告遅延や判定ミスは、行政指導や業務改善命令につながる可能性もあるため、定期的な見直しが欠かせません。
副作用等報告、不具合報告、GVP体制の見直し、SOP改訂、PMDA対応でお困りの場合は、弊社(一般社団法人薬事支援機構)へお気軽にご相談ください。医療機器・SaMD・コンビネーション製品の薬事戦略から市販後安全管理体制の構築まで、実務経験に基づいてサポートいたします。