概要

医療機器プログラムの認証申請書と添付資料の記載事例が、全面的に差し替わりました。令和8年7月31日付け厚生労働省医薬局医療機器審査管理課の事務連絡です。適用は令和8年11月2日から。平成27年2月10日付けの旧事務連絡は同日で廃止されます。

対象は、認証対象医療機器プログラムの製造販売認証申請を行う製造販売業者です。承認申請の記載事例(別添3・別添4)は旧事務連絡から変更がありません。今回書き換わったのは認証ルートだけです。

最大の変更点は、申請書「形状、構造及び原理」欄の機能の書き方にあります。主たる機能と付帯的な機能を分けたうえで、漏れなく書ききることが必須です。

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1. 背景と目的

1.1 改正通知と一体の見直し

同日付けで、医薬機審発0731第1号の課長通知が出ています。「主たる機能及び付帯的な機能の記載適正化のための『医療機器プログラムの製造販売認証申請における取扱いについて』の全部改正について」です。認証申請書に書く機能(いわゆる主たる機能)と付帯的な機能の記載事項が、この通知で改められています。事務連絡の別添1・別添2は、その内容に整合させた差替えです。

1.2 添付資料は留意事項通知と項目をそろえた

別添2(添付資料の記載事例)は、留意事項通知の別添と項目立てを一致させました。留意事項通知は平成27年2月10日付け薬食機参発0210第1号です。留意事項通知の項目と記載事例の項目が食い違う状態が解消されています。

1.3 事例はあくまで例示

事務連絡は「あくまでも例示であり、申請する医療機器プログラム等の特性に応じて必要な事項を記載すること」と明記しています。事例に登場するのは、一般的名称「汎用画像診断装置ワークステーション用プログラム」(クラスII)の1品目です。丸写しは通用しません。

2. 申請書の記載で押さえる点(別添1)

2.1 機能は代表例では足りない

「形状、構造及び原理」欄は、概要・動作原理・機能の3部構成で書きます。機能欄は「(1)機能」と「(2)付帯機能」に分かれ、それぞれ表形式で列挙します。表の列は、番号/機能名称/機能・原理の説明/処理対象となる画像の種類/標準・オプションの別です。

診断・治療・予防を目的とする機能は、申請品目に含まれるすべてを書きます。代表的な機能だけでは不足だと事務連絡が明示しました。逆に、使用目的又は効果に影響しない機能は付帯機能の表へ回します。

付帯的な機能リストの扱いも変わりました。平成22年6月30日付け薬食機発0630第5号の別添3にある核医学ワークステーション等のリストは、本一般的名称への適用が除外されています。

2.2 認証該当性を判断できる粒度で書く

事務連絡は不十分な書き方を具体的に挙げています。パフュージョン機能を「血流に関する情報を測定する」とだけ書いた場合、その情報の中身が分かりません。認証該当性を判断できない懸念がある、というのが指摘です。事例ではCBV・CBF・MTT・TTPまで書き下しています。原理も含め、既存機能との実質的同等性を認証機関が把握できる記載が要ります。

2.3 AIは使うだけで認証対象外にはならない

認証範囲の逸脱を判断する軸は3つ示されました。臨床的意義のある新たな指標を提供する機能は認証基準に該当しません。自動診断機能も同様で、CADe・CADxは自動診断機能に当たります。

AI技術については、使っていることだけを理由に認証対象外とはされません。既存の画像処理機能と実質的に同等であれば認証基準に該当します。ただし市販後学習で精度が向上し、有効性や安全性に影響するものは対象外です。AI機能の説明には、モデルの種類と教師データを含めます。事例では、Deep Learningで学習したCNNモデルであることを明示しました。教師データが臓器の形状と解剖学的区域であること、市販後学習機能がないことも書いています。

2.4 提供方法・動作環境・製造所

提供方法は記録媒体、ダウンロード、クラウド利用型の3種類から特定します。記録媒体の種類(DVD、USB等)の特定までは不要です。製造販売業者が記録媒体で出荷し、販売業者がダウンロードで売る場合は、その旨を書きます。

「使用方法」欄には汎用IT機器の仕様表を置きます。事例が挙げる項目は次のとおりです。

  • OS、CPU、ストレージ空き容量、メモリ、モニタ解像度
  • 電気的安全性としてJIS C 62368-1
  • 電磁両立性としてCISPR 32及びCISPR 35

ストレージとメモリは、機器が持つ値ではなく当該品目の動作に必要な確保量を書きます。

製造所は、設計を行う製造所と最終製品を保管する製造所が登録対象です。ダウンロード提供のみなら、保管の製造所は不要です。設計施設が製造販売業者の主たる事業所と同一で未登録の場合、登録番号欄には「88AAA88888」と記載します。

「性能及び安全性に関する規格」は、機能ごとに仕様と試験方法を設定します。付帯的な機能には設定不要です。広告で具体的な精度を標榜するなら、その精度を仕様として書くことが必要です。

3. 添付資料の記載で押さえる点(別添2)

3.1 一般的名称該当性は機能ごとに説明する

1.1項「品目の概要」の備考欄には、一般的名称の定義への該当性の説明が要ります。事例では備考別表を設け、機能6つそれぞれに該当性の理由を書いています。付帯的な機能は除いてよい扱いです。

3.2 ただし書き非該当は類似機器比較で示す

1.3項では、類似医療機器2品目と申請品目を項目ごとに並べ、差分に関する情報を書きます。比較項目は、一般的名称・使用目的又は効果・動作原理・機能ごとの内容・性能及び安全性に関する規格・使用方法に及びます。これが、認証基準告示のただし書きに該当しないことの根拠です。比較の出典は、認証機関の求めに応じて提出できるよう準備しておきます。

3.3 適用する規格

参照規格として挙がったのは4つのJISとDICOM 3.0です。

  • JIS T 14971:2020(リスクマネジメント)
  • JIS T 62366-1:2022(ユーザビリティエンジニアリング)
  • JIS T 2304:2017(ソフトウェアライフサイクルプロセス)
  • JIS T 81001-5-1:2023(セキュリティ)
  • DICOM 3.0(医用画像のフォーマットと通信プロトコル)

ソフトウェア安全クラスをクラスBと判断した例が示されています。認証基準が引用するJIS C 62368-1:2026は、ソフトウェアへの要求事項を含みません。そのため適用項目なしと整理されました。要求事項がないことを確認した記録は、社内に残しておくことが必要です。

3項「機器に関する情報」と7.1項「滅菌方法に関する情報」は、プログラム医療機器では記載なし・非該当となります。

まとめ

令和8年11月2日以降、医療機器プログラム(SaMD)の認証申請では、新しい記載事例を踏まえた申請書・添付資料の作成が必要になります。特に、主たる機能と付帯的な機能の切り分け、機能の網羅的な記載、認証該当性を判断できる粒度での説明は、既存の申請書ドラフトを見直すうえで重要なポイントです。AI技術を利用するSaMDについても、モデルの種類や教師データ、市販後学習の有無などを整理し、認証基準への該当性を適切に説明する必要があります。

医療機器プログラムの認証申請では、単に新しい記載事例へ書式を合わせるだけでは十分ではありません。一般的名称への該当性、類似医療機器との実質的同等性、性能及び安全性に関する規格、JIS T 2304やJIS T 81001-5-1等への適合性まで含め、申請品目の機能や提供形態に応じて一貫した申請資料を組み立てることが重要です。特に、これまでの申請書を流用する場合は、令和8年11月2日の適用前に記載内容を確認しておくことをおすすめします。

弊社(一般社団法人薬事支援機構)では、医療機器プログラム(SaMD)の製造販売認証・承認申請をはじめ、申請書・添付資料の作成支援、既存ドラフトのレビュー、一般的名称・認証基準への該当性整理など、医療機器薬事を幅広く支援しています。「この機能は認証範囲に収まるのか」「主たる機能と付帯機能をどう切り分けるべきか」「新しい記載事例に合わせて申請資料を見直したい」といったお悩みがございましたら、申請準備の早い段階から弊社へお気軽にご相談ください。

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