概要
令和8年7月27日付け医薬発0727第1号により、医薬品・医療機器等の輸出証明書の発給手続が見直され、従来の書面に加えてPDF形式による電子発給が可能になりました。 電子発給を利用する場合は、事前にBox共有フォルダの利用登録が必要です。
医療機器では、申請書に「発給方法」「電子発給先の登録」に関する欄が追加され、証明内容に応じてOMETAまたはPMDAへ申請します。特にQMS適合証明書では、申請日から過去2年以内に実地で行われたQMS調査の情報が必要となるため注意が必要です。
輸出先国から自由販売証明書やQMS適合証明書などを求められる医療機器メーカーは、新しい申請様式への切替え、電子発給の利用登録、直近のQMS実地調査の有無を早めに確認しておきましょう。

1. 背景と目的
1.1 旧通知3本を廃止した全面的な見直し
本通知は、次の3本を廃止して置き換えるものです。
- 輸出用医薬品、輸出用医療機器等の証明書の発給について(令和3年8月2日付け薬生発0802第4号)
- 医薬品製剤証明書等の発給について(平成26年6月4日付け薬食審査発0604第3号)
- 輸出以外の医薬品製剤証明書の発給について(平成26年6月26日付け事務連絡)
分散していた手続が1本に整いました。一方、既存の事務連絡等は廃止されていません。別途の事務連絡等が出ない限り、本通知の内容に合わせて読み替えたうえで引き続き適用されます。
1.2 電子ファイルによる発給の導入
見直しの中心は、電子ファイル(PDF形式)による発給の新設です。書面と電子のどちらを使うかは申請者が選べます。ただし申請と発給の方法は一致させます。電子発給を求めるなら、申請自体も電子ファイルで行ってください。
電子の経路は、厚生労働省が指定するBoxクラウドコンテンツ管理サービス上の共有フォルダ。担当課が作成した証明書は、この共有フォルダを経由して申請者に届きます。書面の場合の経由先は、従来どおりOMETA(特定非営利活動法人海外医療機器技術協力会)またはPMDA(独立行政法人医薬品医療機器総合機構)です。
発給日と発給番号の記載方法も分かれます。書面はスタンプまたは手書き。電子は署名フレーム内に日付とドキュメントID(署名リクエストID)が発給時に記載されます。
2. 医療機器の証明書と申請ルート
2.1 医療機器の申請書は様式2
証明書発給申請書は品目区分で様式が違います。医療機器は様式2、体外診断用医薬品と再生医療等製品は様式1です。
様式2の事項欄は4区分。製造販売業の許可、製造業の登録、製造販売承認(認証・届出)内容、QMS省令要求事項適合状況のうち該当するものにレ印を付けます。承認内容の欄には「特例発給」のチェックボックスが付きました。
新設されたのが「発給方法」欄と「電子発給先の登録」欄です。後者には未登録か登録済かを書きます。登録済なら、Box共有フォルダの法人名と登録情報の変更有無も記載してください。書面申請では記載を要しません。
2.2 医療機器で使う証明書用紙
証明したい内容ごとに証明書用紙が決まっています。医療機器の主なものは次のとおり。
- 様式3-2 … 医療機器製造販売業の許可を受けていること
- 様式4-2 … 医療機器製造業の登録を受けていること
- 様式5-2 … 国内で製造販売を認められた医療機器であること(品目名のみ)
- 様式8-2 … 様式5-2に承認年月日と承認番号を加えたもの
- 様式8-3 … 登録認証機関の認証を受けたこと(認証機関名・認証番号・認証年月日入り)
- 様式6-2 … 製造業者が製造(輸入)した製品であること
- 様式7-2 … 輸出される医療機器が法の規定に準拠して製造(輸入)されたものであること
- 様式11 … 製造販売承認を申請中であること
- 様式14-2 … 製造所が機器・体外診QMS省令の要求事項に適合すること
WHO様式に準拠した医薬品製剤証明書(様式19-1)は、体外診断用医薬品と再生医療等製品が対象。医療機器そのものには使いません。輸出先国が求める証明書と様式が合わない場合は、OMETA、PMDAまたは担当課へあらかじめ照会してください。外国文の証明が必要なときは、和訳文も併せて提出します。
2.3 受付機関と担当課
宛先は証明事項ごとの担当課長です。受付機関も証明事項で分かれます。
- 製造業の登録、製造販売承認(認証・届出)に関する事項 … 医療機器審査管理課宛て、OMETAが受付(様式4-2、5-2、6-2、7-2、8-2、8-3、11)
- 製造販売業の許可に関する事項 … 医薬安全対策課宛て、OMETAが受付(様式3-2)
- 機器・体外診QMS省令への適合状況 … 監視指導・麻薬対策課宛て、PMDAが受付(様式14-2、23)
製造販売業許可の証明は、他課の証明事項に付随して申請する場合、当該担当課の証明事項として扱われます。体外診断用医薬品と再生医療等製品は、いずれの証明事項もPMDAが受付機関です。
3. 実務対応
3.1 電子発給は利用登録から始まる
共有フォルダを使うには、利用登録が先に必要です。指定の登録票を受付機関へ提出します。医療機器ならOMETAが窓口。申請書の登録欄には、未登録か登録済かを必ず書いてください。
部数の扱いも方法で変わります。書面申請では証明書用紙を原則として正副2部添付。電子申請では1部(1ファイル)です。同一国等へ2部以上必要な場合は、備考欄に理由を記載します。
3.2 添付書類
承認・認証品目の証明(様式5-2、7-2、8-2、8-3等)に添える書類は次のとおり。
- 製造販売業の許可証の写し
- 製造業の許可証または登録証の写し
- 輸出用医療機器の製造(輸入)届書を提出している場合はその控え等
- 製造販売承認書(一部変更承認書を含む)の写しと軽微変更届書等の控え、または製造販売認証書(一部変更認証書を含む)の写しと軽微変更届書の控え等
体外診断用医薬品・再生医療等製品の医薬品製剤証明書では、注意事項等情報の文書や流通容器の表示をA4判台紙に貼付します。この扱いも変わりました。電子ファイルで申請する場合は、台紙貼付ではなくPDF形式で提出できます。
3.3 QMS適合証明書は調査情報が鍵
様式14-2のQMS適合証明書には、様式23とその別紙を添えます。様式23には証明書が必要な理由と提出要請の区分を記入。別紙には証明希望製品に係るQMS調査の情報を書きます。
ここに重い条件が付いています。記載できるのは、発給申請日から過去2年以内に実地により実施された調査の情報だけ。対象は証明申請に係る品目、または同等の製造工程で製造される品目です。該当する調査情報がない場合は、調査権者と相談のうえ実地調査を受けてから申請します。
輸出先国からQMS証明書を求められたら、直近の実地調査の時期をまず確認してください。書面調査しか受けていない製造所は、実地調査を経なければ申請に進めません。
3.4 海外製造品を第3国へ出す特例発給
海外の製造所で製造した最終製品を第3国へ輸出する場合の枠組みも定められています。要件は次の3点すべてを満たすこと。
- 製造販売承認を取得し、実際に製造販売していること
- 最終製品の製造所が海外にあること
- 第3国における承認審査等の際、当該国から証明書を要求されていること
医療機器では様式5-2、8-2または8-3を用い、OMETAが製造販売承認に関する事項を確認します。添付書類には外国製造業の認定証または登録証の写し、誓約書(様式19-3)等が加わります。証明書発給申請書は様式1により作成すると定められました。医療機器用の様式2にも特例発給のチェック欄があるため、どちらで出すかは事前に受付機関へ確認してください。
まとめ
今回の改正により、医療機器の輸出証明書は従来の書面発給に加え、PDF形式による電子発給を選択できるようになりました。 電子発給を利用する場合はBox共有フォルダの事前登録が必要となり、証明書発給申請書にも「発給方法」「電子発給先の登録」に関する欄が追加されています。医療機器を海外展開している企業は、旧様式を使用していないかを含め、社内の輸出証明書発給手続きを確認しておくことが重要です。
特に注意したいのが、QMS適合証明書の発給に必要となる「申請日から過去2年以内に実地で実施されたQMS調査」の確認です。 輸出先国からQMS適合証明書や自由販売証明書等を求められてから準備を始めると、必要な調査や書類の確認に時間を要する可能性があります。海外展開を予定している場合は、必要となる証明書の種類、OMETA・PMDAへの申請ルート、必要書類、QMS調査の実施状況をあらかじめ整理しておくことをおすすめします。
弊社(一般社団法人薬事支援機構)では、医療機器の輸出証明書に関する申請手続をはじめ、QMS対応、製造販売承認・認証、PMDA相談など、医療機器の薬事業務を幅広く支援しています。 「どの輸出証明書を取得すればよいかわからない」「QMS適合証明書を取得できるか確認したい」「海外展開に向けて薬事手続きを整理したい」といったお悩みがございましたら、弊社までお気軽にお問い合わせください。