概要
令和8年7月27日、厚生労働省医薬局の4課長連名で本通知(医薬薬審発0727第11号、医薬機審発0727第3号、医薬安発0727第8号、医薬監麻発0727第5号)が発出されました。令和7年4月1日付けの旧通知(医薬薬審発0401第1号ほか)は廃止です。
オンライン提出の枠組み自体は変わりません。実務が動くのは手数料まわりです。PMDA(独立行政法人医薬品医療機器総合機構)を経由して本省に申請する手続で、国に納付する手数料と登録免許税の一部について電子納付が始まりました。電子納付した場合、申請書に納付番号を記載し、納付内容が確認できる書類のPDFを添付します。
あわせて輸出証明書の発給申請が令和8年8月1日からオンライン提出の対象に加わり、使用できる電子証明書の一覧も見直されました。対象は医薬品・医薬部外品・化粧品・医療機器・体外診断用医薬品・再生医療等製品の申請者すべてです。

1. 背景と枠組み
1.1 旧通知を廃止した理由
電子納付の開始によりオンライン提出の運用に変更が生じたこと、輸出証明書の申請でオンライン提出の運用を始めること、電子証明書の一部取扱いを終了し証明書名を変更したこと。この3つを反映するため、旧通知は廃止されました。新たに紙へ戻る手続はありません。
1.2 オンライン提出の法的な位置づけ
オンライン提出は、デジタル手続法(情報通信技術を活用した行政の推進等に関する法律)第6条第1項に基づく手続です。システムを使って行った申請等は、薬機法および関係法令に定める方法で行われたものとみなされます。紙で提出した場合と法的効果は変わりません。
使用するシステムは医薬品医療機器申請・審査システムと、これに関連する申請電子データシステム(ゲートウェイシステム)。申請電子データシステムのホームページ(https://esg.pmda.go.jp/Ssk/comn001p01.init)から利用でき、メンテナンス時間を除き24時間365日稼働しています。電子ファイルは申請ソフトまたはDWAP(医療機器WEB申請プラットフォーム)で作成し、ゲートウェイシステムから提出します。
2. 対象となる手続と電子証明書
2.1 医療機器で対象となる主な手続
薬機法施行規則第284条第1項の様式による届書、別表1の願書(承認整理届書、差換え願、取下げ願、記載整備届書、同一性確認届書)、別表3・別表4に掲げる申請等が対象です。医療機器に関係する主なものを挙げます。
- 製造販売承認申請・一部変更承認申請(E04、E14、F04、F14)
- 適合性調査申請・変更計画適合性確認申請(EC4ほか)
- 使用成績評価申請、条件付き承認申請、変更計画確認申請
- 製造販売業許可、製造業登録、外国製造業者登録、修理業許可
- 希少疾病用・先駆的・特定用途医療機器の指定申請
- 治験計画届出、治験機器不具合・有害事象報告
オンライン提出する場合、FDデータを記録したフレキシブルディスク等の提出は不要です。
2.2 使用できる電子証明書は4種類
セキュリティ確保のため、次の認証局と電子証明書の組合せを使用します。
| 認証局名 | 電子証明書名 |
|---|---|
| 一般財団法人医療情報システム開発センター | Medicertified電子証明書(Type-S) |
| サイバートラスト株式会社 | サイバートラストパーソナルID |
| GMOグローバルサイン株式会社 | マネージドPKI Lite |
| デジサート・ジャパン合同会社 | Secure Email for Employee |
旧通知から一部の取扱いが終了し、証明書名も変更されています。自社で使用中の証明書がこの表にあるか、必ず確認してください。
3. 実務対応
3.1 手数料・登録免許税の納付
厚生労働大臣宛ての申請で手数料を電子納付した場合、申請書に納付番号を記載します。あわせて「手数料等領収確認のお知らせ」など納付内容が確認できる書類のPDFを添付して提出してください。登録免許税を電子納付した場合も同じ扱いです。電子納付はPay-easy対応のインターネットバンキングやATM等を用いた納付を指します。
収入印紙や登録免許税の領収証書を貼付する必要がある申請では、書類等送付状(本通知の様式1)を作成し、印紙や領収証書を貼って行政機関に送付します。申請予定日の1営業日前の到着が望ましく、少なくとも申請予定日当日までには到着させてください。
PMDAへの手数料は、口座に払い込んだことを証する書類の写しをPDFで提出します。医療機器の適合性調査申請では、申請書鑑・手数料計算シート・払込を証する書類の写しを1つのPDFに統合し、鑑ファイルとして提出します。
3.2 書面で提出するものが残る
添付資料は原則として電子ファイルで提出します。文字情報を残したPDFが基本で、やむを得ない場合のみ原本をスキャンしたPDFを使います。
ただし別表2に掲げる書類は書面提出が必要です。医療機器では、更新申請等に添付する製造販売業許可証、製造業登録証、外国製造業者登録証、修理業許可証、基準適合証、承認整理届書に添付する承認書が該当します。
書面を別送するときは、ゲートウェイシステムが付与した番号と書類一覧を明記した書面を添えてください。この場合の到達日は、電子と書面の両方が到達した日になります。印紙の郵送が遅れれば到達日も後ろにずれる点に注意が必要です。証書等が書面で発行される手続では、追跡可能な方法で返信用封筒を提出します。
3.3 到達日と受付票
到達日は、申請書等の電子ファイルと提出の意思が申請・審査システム等のサーバに記録された日です。期限の定めがある届書では、到達日以降の開庁日の確認で形式上の要件を満たしていないと認められた場合、届出の義務を履行したことになりません。期限ぎりぎりの提出は避けてください。
受付が行われると、受付日とシステム受付番号を記載した受付票が発行されます。ゲートウェイシステムから取得でき、他の手続で申請等を行ったことを証する書類として使えます。
3.4 開始時期
医療機器の製造販売承認申請は、申請区分ごとに開始日が分かれています。
- 新医療機器、改良医療機器(臨床あり)… 令和4年7月1日
- 改良医療機器(臨床なし)… 令和4年10月4日
- 上記以外(後発医療機器等)… 令和5年1月11日
適合性調査申請・変更計画適合性確認申請は令和4年7月1日から。製造販売業許可、製造業登録、修理業許可など都道府県知事宛ての手続は令和5年1月11日から開始しています。輸出証明書の発給申請は令和8年8月1日開始で、受付時間や提出方法は厚生労働省またはPMDAから別途通知されます。
3.5 電子ファイル作成の共通ルール
別添「オンライン提出に係る電子ファイル作成等要領」に、ファイル作成の細かい条件が定められています。差し戻しを避けるため、社内手順書に落とし込んでおくべき項目を挙げます。
- ファイル名に機種依存文字(㈱、®、㎎等)を使わない
- 使用したフォントはすべてPDFに埋め込む。カスタムフォントは不可
- 電子ファイルのプロパティ情報(作成者情報等)は削除する
- 印刷やコピーを制限する設定、パスワードは付けない
- 分割されたZIPファイルは提出できない
医療機器の承認申請では、申請書鑑と申請書別紙を1つのPDFに統合して鑑ファイルとして提出します。医療機器留意事項通知に示すイからチまでの添付資料も1つのPDFに統合し、しおり(目次)の設定が必須です。試験成績書や証明書類、参考資料は資料ごとにPDFを分けます。ファイル名は「添付資料_〇〇カテーテル_〇〇株式会社_ver1」のように、資料名・販売名・申請者名・版をアンダーバーでつなぎます。
まとめ
今回の通知改正では、医療機器のオンライン申請の基本的な枠組みは維持される一方、手数料・登録免許税の電子納付への対応、使用できる電子証明書の見直し、輸出証明書申請のオンライン化など、実務上確認しておくべき変更が行われました。特に電子納付を利用する場合は、申請書への納付番号の記載や納付確認書類のPDF添付が必要となるため、既存の申請手順や社内SOPへの反映が重要です。
また、医療機器のオンライン申請では、すべての手続が電子ファイルだけで完結するとは限りません。申請内容によっては許可証・登録証・承認書などの書面提出が必要となり、電子データと書面の両方がそろった日が到達日となる場合があります。承認申請や一部変更承認申請、QMS適合性調査、業許可・登録、輸出証明書などを予定している企業は、対象手続、必要書類、手数料の納付方法、PDF作成ルールを事前に整理しておくことが重要です。
弊社(一般社団法人薬事支援機構)では、医療機器の製造販売承認申請・一部変更承認申請、PMDA相談、QMS適合性調査、製造販売業許可・製造業登録、輸出証明書などの薬事手続を支援しています。「オンライン申請で何を提出すればよいかわからない」「今回の通知改正を自社の申請手順にどう反映すべきか確認したい」「承認申請資料や添付資料を提出前にレビューしてほしい」といったご相談にも対応しています。医療機器のオンライン申請やPMDAへの承認申請でお困りの場合は、ぜひ弊社までお気軽にお問い合わせください。