概要

令和8年4月30日付け医薬安発0430第5号により、注意事項等情報の細則を定めた課長通知(令和3年2月19日付け薬生安発0219第1号)が改正されました。今回の改正は、令和7年に改正された薬機法・政令・省令の施行に合わせた条項ずれと字句の整理です。新しい義務は加わっていません。適用は令和8年5月1日から始まります。特例承認を受けた製品を扱う事業者と、添付文書等への記載義務が残る製品を扱う事業者は、社内文書が引用する条項と用語を施行日までに更新してください。製品表示そのものを変える必要はありません。

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1. 背景と目的

1.1 注意事項等情報と符号記載の枠組み

医薬品、医療機器、再生医療等製品の使用および取扱い上の注意事項は、令和3年8月1日以降、原則として添付文書への記載義務が廃止されました。代わりにPMDA(独立行政法人医薬品医療機器総合機構)のホームページで公表し、容器または被包に情報へアクセスするための符号を記載する枠組みへ移行しています。符号はバーコードまたは二次元コードです。この細則を定めているのが、今回改正された課長通知になります。

1.2 今回の改正の位置づけ

根拠となる法令改正は3つあります。薬機法等の一部を改正する法律(令和7年法律第37号)第1条による改正後の薬機法、関係政令の整備等に関する政令(令和7年政令第362号)による改正後の薬機法施行令、関係省令の整備等に関する省令(令和7年厚生労働省令第117号)による改正後の薬機法施行規則です。通知本文では、これらを新薬機法・新薬機令・新薬機則と呼んでいます。通知が掲げる改正内容の概要は、「施行に伴う改正」と「その他所要の改正」の2点だけです。制度の考え方を変える改正ではありません。

1.3 2月10日付け通知に続く2度目の改正

この課長通知については、令和8年2月10日付け医薬安発0210第5号でも取扱いが示されていました。今回の通知はそれに続くもので、改正の中心は薬機令(施行令)側の条項ずれと字句の修正です。適用日は令和8年5月1日で、新薬機法、新薬機令、新薬機則の施行日と一致します。

2. 改正内容

2.1 特例承認品の符号記載の例外が第5項から第6項へ

特例承認を受けた製品には、容器等への符号記載の例外が用意されています。添付する文書に符号が記載されている場合、または添付文書等に注意事項等情報が記載されている場合、容器等への符号記載は不要です。この例外の根拠条項が、薬機令第75条第5項から第6項へ移りました。医薬品、医療機器、再生医療等製品の3か所すべてが同じ形で修正されています。取扱いの中身は従来どおりです。

2.2 公表の例外も第14項から第15項へ

特例承認を受けた製品は、添付文書等に注意事項等情報が記載されていれば、PMDAホームページでの公表も不要とされています。この根拠も薬機令第75条第14項から第15項へずれました。符号の記載と情報の公表という2つの義務について、特例承認品の例外規定がそれぞれ1項ずつ後ろへ動いた形になります。

2.3 「検定」から「検査」への字句変更

今回の改正で、条項番号以外に手が入ったのがこの部分です。添付文書等への注意事項等情報の記載義務が残る製品では、情報を変更しても一定の要件を満たせば、変更後の内容を添付文書等へ直ちに反映しなくてよい取扱いがあります。対象は変更日から6か月以内に製造販売されるものです。法第43条第1項および第2項の規定に基づき厚生労働大臣が指定する製品などでは、1年以内に緩和されます。この指定の根拠となる制度が、通知上「検定を要するもの」から「検査を要するもの」へ改められました。新薬機法の用語に合わせた修正です。

添付文書等への記載義務が残るのは、要指導医薬品、一般用医薬品(体外診断用医薬品を含む)、薬局製造販売医薬品、そして主として一般消費者の生活の用に供される医療機器です。家庭向けに販売される医療機器が後者の典型になります。

2.4 引用告示の表記整理

符号の記載が必要な公表対象医薬品等を定めた箇所では、一般消費者の生活の用に供される医療機器指定告示(令和3年厚生労働省告示第44号)の引用について、括弧の閉じ方が整えられました。内容の変更はありません。「その他所要の改正」として通知全体を点検した結果の修正です。

3. 実務対応

3.1 確認すべき範囲

適用は令和8年5月1日からです。今回の改正で製品表示を変える必要はなく、すでに市場にある製品の符号を貼り替える作業も発生しません。確認すべきなのは、社内文書が引用している条項番号と用語だけです。

3.2 社内文書の棚卸し

点検対象になるのは、GVP・QMS関連の手順書、表示および包装の仕様書、添付文書作成手順などです。薬機令第75条の項番号を引用している箇所は、第5項を第6項へ、第14項を第15項へ読み替えます。「検定」という語を使っている箇所についても、自社製品が法第43条の指定対象に該当するかを確認したうえで用語を見直してください。

3.3 過去通知の読み替え規定

課長通知の第6には読み替え規定が置かれています。改正法および改正省令の施行前に発出された通知であって、改正前の条項や字句を引用しているものは、改正後の条項および字句に読み替えます。過去通知を根拠として社内ルールを組み立てている場合、その根拠が施行日から自動的に読み替わる点を押さえておくと混乱を避けられます。

3.4 変わらない運用の再確認

日常の運用に変更はありません。符号は引き続きGS1-128シンボルまたはGS1データマトリックスを用います。GS1データバー限定型、二層型、それらの合成シンボル(CC-A)を使用中の製品は、当面の間そのまま継続できます。商品コードは、国際整合性が図られたGS1の商品コード(GTIN)を使います。商品コードと添付文書番号の紐付け情報を、PMDAの製造販売業者向けサイトにある安全性情報掲載システムへ登録する運用も従来どおりです。符号を記載しても紐付け登録がなければ情報にたどり着けません。登録漏れの管理は引き続き重要になります。

まとめ

今回の「医薬品等の注意事項等情報の提供について」の改正は、令和7年改正薬機法の施行に伴う条項ずれと字句の整理が中心であり、新たな義務が追加されたものではありません。一方で、薬機令第75条の引用箇所や「検定」から「検査」への用語変更など、GVP・QMS関連手順書、表示・包装の仕様書、添付文書作成手順といった社内文書の見直しが必要となる可能性があります。

特に、医療機器の注意事項等情報や電子添文、符号表示に関する規制は、薬機法だけでなく政令・省令・通知・Q&Aなど複数の規定が関係します。そのため、「自社製品ではどこまで対応が必要なのか」「既存の手順書を改訂すべきか」「注意事項等情報や符号表示の運用に問題がないか」など、実務上の判断に迷うケースも少なくありません。

弊社(一般社団法人薬事支援機構)では、医療機器の薬機法対応、注意事項等情報・電子添文・表示に関する確認、GVP・QMS関連手順書の整備・改訂など、医療機器メーカーの薬事業務を支援しています。 今回の通知改正への対応はもちろん、社内文書の見直しや自社製品への適用判断でお困りの場合は、ぜひ弊社までお問い合わせください。

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