概要
令和7年7月8日、厚生労働省医薬局監視指導・麻薬対策課長から「QMS調査要領について」の一部改正通知(医薬監麻発0708第7号)が発出されました。同日から適用されています。
今回の改正で変わるのは、再製造単回使用医療機器(R-SUD)の定期確認調査の運用です。具体的には、定期確認調査で重点的に確認すべき重要工程の範囲が見直され、申請時の添付資料の対象範囲が明確化されました。
対象となるのは、R-SUDの製造販売業者およびその登録製造所のみです。一般的な医療機器・体外診断用医薬品のQMS調査には影響しません。R-SUDを扱う事業者は、次回の定期確認調査の申請準備時から新しい運用に従う必要があります。

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1. 背景と目的
1.1 改正の経緯
QMS調査要領は、令和6年6月12日付け医薬監麻発0612第2号により全面改訂され、都道府県・PMDA(独立行政法人医薬品医療機器総合機構)・登録認証機関の三者によるQMS調査関連業務の標準化が進められてきました。
今回の一部改正は、薬機法第79条第1項に基づきR-SUDの製造販売承認の条件として付された法第23条の2の5第9項の調査(再製造単回使用医療機器定期確認調査)について、調査頻度等の見直しが行われたことを踏まえたものです。
1.2 改正の趣旨
R-SUDは、医療機関で使用済みの単回使用医療機器を回収し、分解・洗浄・再組立て等の工程を経て再販売される製品です。原型医療機器の品質を担保するため、製造工程ごとに厳格な管理が求められます。
ただし、滅菌工程については、ほかの医療機器と同様の枠組みで管理されているため、R-SUD固有の重点確認項目から外す整理が行われました。これにより、定期確認調査の対象が「R-SUD固有のリスク」に絞り込まれます。
2. 主要な改正内容
2.1 重要工程の範囲見直し(第4・5(5))
定期確認調査において「特に重要と考えられる工程」として例示されていた項目から、滅菌工程が除外されました。
改正前
分解、洗浄、再組立て及び滅菌並びに原型医療機器における原材料等の変更管理の把握等
改正後
分解、洗浄及び再組立て並びに原型医療機器における原材料等の変更管理の把握等
R-SUDの調査では引き続き「分解」「洗浄」「再組立て」「原材料変更管理」を実地で重点確認します。一方、滅菌は一般のQMSサブシステム(製造)の中で評価される位置づけになります。
なお、R-SUDの調査対象施設には「当分の間、原則として実地の調査を実施する」運用が継続されます(第4・4)。書面調査での代替はできません。
2.2 添付資料の対象範囲明確化(表4・4(2))
定期確認調査の申請時に添付する「製造管理及び品質管理に関する資料」について、対象施設の記載が変わりました。
改正前
医療機器等適合性調査に係る製造販売業者及び全ての製造所における製造管理及び品質管理に関する資料
改正後
医療機器等適合性調査に係る製造販売業者及び製造所における製造管理及び品質管理に関する資料
「全ての製造所」が「製造所」になりました。R-SUDの定期確認調査は、調査対象品目に係る登録製造所を対象とする運用であることが明確化された形です。承認等前適合性調査や5年ごとの定期適合性調査(表4・1・2)では「全ての製造所」の表現が維持されており、調査区分による違いが整理されました。
2.3 具体例:R-SUD事業者がやるべきこと
R-SUDを取り扱う製造販売業者で、たとえば次回の定期確認調査が控えている場合の対応は以下のとおりです。
- 申請資料パッケージ(製造販売承認書写し、軽微変更届写し、回収概要、宣誓書、ISO13485認証書、各製造所活動概要、基準適合証写し等)の宛先施設を、改正後の表4・4に沿って整理する
- 実地調査の準備項目を「分解」「洗浄」「再組立て」「原材料変更管理」の4工程に再構成する
- 滅菌工程はQMSサブシステム「製造」(QMS省令第44条・第46条等)の枠組みで評価される前提で、エビデンスを整える
3. 実務対応のポイント
3.1 適用開始日と経過措置
改正は令和7年7月8日から適用されています。経過措置は設けられていません。同日以降に申請する定期確認調査から、新しい運用が適用されます。
3.2 添付資料の準備
R-SUD定期確認調査の添付資料は表4・4で次のとおり規定されています。
品目に関する資料
- 製造販売承認書の写し
- 前回調査以降の承認事項一部変更承認書および軽微変更届書の写し
- 前回調査以降の回収概要(該当時)
- 宣誓書(別添1)
製造販売業者および製造所に関する資料
- ISO13485認証書等、過去3年以内の他調査実施者による実地調査結果報告書、MOU等に基づく相手国証明書、外国当局による適合性証明書の写し
- 各調査対象施設の活動概要およびQMS相互関係を確認できる資料
- 調査品目に係る基準適合証の写し
申請時に「全ての製造所」を網羅する必要はありませんが、調査対象品目に関わる登録製造所は漏れなくカバーする必要があります。
3.3 既存のQMS体制への影響
QMS省令本体(厚生労働省令第169号)の改正ではありません。社内QMS文書、製造販売承認書、登録製造所の登録内容を直接書き換える必要はありません。
ただし、定期確認調査の事前準備手順書や、QMS監査チェックリストでR-SUDの定期確認調査を扱っている場合は、重要工程の例示と添付資料リストを改正後の表現に合わせて更新しておくことを推奨します。
3.4 想定されるリスク
QMS調査で不備が指摘された場合、改善計画書・改善結果報告書の提出が求められます。重大な不備が継続する場合は、製造販売承認の取消し(薬機法第74条の2)に至る可能性もあります。
R-SUDは承認条件として定期確認調査が課されている特殊な区分であり、調査自体を受けない・申請しないという選択肢はありません。改正内容を踏まえた申請資料の整備が必須です。
まとめ
今回の「QMS調査要領について」の一部改正により、R-SUD(再製造単回使用医療機器)の定期確認調査では、重点確認工程から滅菌工程が除外される一方で、分解・洗浄・再組立て・原材料変更管理の重要性がより明確になりました。また、添付資料の対象範囲も整理され、調査対象品目に係る登録製造所を中心とした申請準備が求められます。
R-SUDは一般的な医療機器とは異なり、承認条件として定期確認調査が課される特殊な製品区分です。そのため、調査対象施設の整理、添付資料の準備、QMS文書の整合性確認に不備があると、改善報告の提出や追加対応が必要になる可能性があります。今後のQMS適合性調査を円滑に進めるためにも、最新通知に基づいた運用の見直しが重要です。
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