概要

本通知は、マイクロケラトームをLASIK用途で製造・輸入する場合は承認申請が必要であることを明確化したものです。対象は角膜表層切除を目的とした医療用刀の製造業者および輸入業者となります。

従来マイクロケラトームは、薬事法施行規則第18条第1項に基づき、承認を受けずに類別許可品目(医療用刀)として製造・輸入が認められていました。しかし1月のエキシマレーザ手術装置への効能追加を受け、LASIK用途への流用照会が相次いだため、厚生省が取扱いを整理した内容となります。

事業者が判断すべき点は次の2つです。従来効能の範囲内なら承認不要、LASIKなど新術式を標榜するなら承認申請が必須です。境界を見誤ると無承認医療機器の製造・輸入に該当するため、効能等の表示と実態を厳密に管理する必要があります。

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1. 背景と目的

1.1 通知発出の経緯

平成12年(2000年)3月28日、厚生省医薬安全局審査管理課長から各都道府県衛生主管部(局)長宛に「医薬審第530号」として発出されました。本通知は、財団法人医療機器センター、日本医療機器関係団体協議会、在日米国商工会議所医療機器小委員会、欧州ビジネス協議会医療機器委員会にも写しが送付されています。

発出の直接の契機は、平成12年1月28日のエキシマレーザ手術装置に対する効能追加です。具体的には「角膜屈折矯正手術(PRK):遠視および遠視性乱視を除く屈折異常の矯正」が追加されました。これによりLASIK手術を実施する医療機関が増え、マイクロケラトームをLASIK用途として製造・輸入できるかという照会が業界から複数寄せられました。

1.2 本通知の目的

通知の目的は、マイクロケラトームの承認審査上の取扱いを明確化し、無承認製品の流通を未然に防ぐことにあります。当時のマイクロケラトームは類別許可品目として承認不要で扱われていましたが、新しい術式に対応するには既存の枠組みでは不十分という判断が示されました。

事業者にとっては、自社製品の効能等の表示が承認不要の範囲に収まっているかを再確認する契機となりました。

2. 主要要件と事例

2.1 承認不要で扱える効能等の範囲

通知は、承認を受けずに類別許可品目(薬事法施行規則別表第1 器具器械34 医療用刀)として製造・輸入できる効能等を、次の4つに限定しました。

  • 角膜表層切除術
  • 移植角膜の切除
  • 全層および表層角膜移植
  • 寄贈眼からの角膜摘出

これらは従来からマイクロケラトームが用いられてきた術式であり、構造や使用方法も既存の医療用具と同等とみなされる範囲です。事業者は添付文書や製品カタログの効能等表示が、この4項目の範囲内に収まっているかを点検する必要があります。

2.2 承認申請が必要となる事例

LASIK(Laser-Assisted in situ Keratomileusis)への効能等を標榜する場合は、承認申請が必要です。LASIKは、角膜表面を医療用刀で薄く削ってフラップを作成し、その角膜の内側にエキシマレーザを照射して屈折矯正を行う手術方法を指します。

通知は、LASIK用途について「構造、使用方法、効能、効果、性能等が既存の医療用具と明らかに異なる」と整理しました。フラップ作成という新しい使用方法は、従来の角膜表層切除術と同列には扱えないという判断です。LASIK以外の新しい術式についても同様の考え方が適用されます。

2.3 該当する製品イメージ

対象となるのは、眼科手術で角膜を薄切するための機械式マイクロケラトームです。本通知の時点ではフェムトセカンドレーザによるフラップ作成は普及前であり、機械式刃を用いた製品が主流でした。屈折矯正手術用途を意識した製品は、すべて承認申請の対象となります。

3. 実務対応と罰則

3.1 効能等表示の点検

製造業者・輸入業者がまず行うべきは、自社製品の効能等表示の総点検です。添付文書、取扱説明書、製品カタログ、ウェブサイト上の記載を確認し、LASIKや屈折矯正手術を想起させる表現がないかをチェックします。

学会発表資料や営業ツールも対象です。「LASIKに使用可能」「屈折矯正手術に対応」といった表現を含むものは、承認なしでは使用できません。販売代理店や医療機関への情報提供資料も同じ基準で見直す必要があります。

3.2 承認申請のポイント

LASIK用途で承認を取得する場合、薬事法施行規則第18条第1項の枠組みを離れ、通常の医療用具承認申請として手続きを進めます。申請区分は、既存の類別許可品目との差異を踏まえて選定します。

申請に際しては、構造、使用方法、効能・効果、性能の各項目について既存品との違いを明確に説明する資料が必要です。臨床評価資料、性能試験成績、安定性試験成績などを整備し、フラップ作成の安全性を裏付ける根拠を示します。

3.3 違反時のリスク

承認を受けずにLASIK用途を標榜してマイクロケラトームを製造・輸入した場合、薬事法上の無承認医療用具に該当します。違反時は、製造・輸入停止命令、回収命令、業許可の取消し処分の対象となり、刑事罰の適用も想定されます。

医療機関での使用実態と添付文書の記載が乖離している場合も問題です。事業者は販売後の使用状況を把握し、適応外使用が常態化していないかを継続的にモニタリングする責任があります。

まとめ

LASIK用途のマイクロケラトームは、従来の「承認不要な医療用刀」と同じ感覚で取り扱うと、無承認医療機器に該当するリスクがあります。特に、添付文書・製品カタログ・営業資料・ウェブサイトなどに「LASIK」「屈折矯正手術対応」といった表現が含まれる場合は、承認申請の要否を慎重に判断しなければなりません。“従来効能の範囲か、新規術式か”の線引きが、薬機法対応上の重要ポイントとなります。

また、LASIK用途で承認取得を進める場合は、既存品との差異整理、性能試験、臨床評価、PMDA相談戦略まで含めた実務対応が必要になります。特に眼科領域の医療機器は、効能・効果や使用目的の記載次第で規制区分が大きく変わるため、初期段階から薬事戦略を整理しておくことが重要です。

一般社団法人薬事支援機構では、LASIK関連機器を含む眼科医療機器の薬機法対応、PMDA相談、承認申請資料作成、効能・効果表現の確認、QMS体制整備まで総合的に支援しています。
「この表現は承認不要範囲に入るのか」「LASIK用途として申請すべきか判断に迷う」「既存製品との差異説明をどう整理すべきか」といった課題がある場合は、ぜひお気軽にご相談ください。

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