概要
本ページでは、QMS省令に基づく管理監督者の責任に関する規定について解説しています。特に、管理監督者の関与から管理監督者照査に係る工程出力情報までの要件を詳細に説明しています。これらの条項は、組織の品質管理監督システムの確立、実施、維持に関する管理監督者の責任と、それを実証するための具体的な活動を規定しています。
3. 管理監督者の責任(第10条~第20条)
3.1 管理監督者の関与(第10条)
管理監督者は、品質管理監督システムの確立及び実施並びにその実効性の維持に責任をもって関与していることを、次に掲げる業務を行うことによって実証しなければなりません。
- 法令の規定等及び製品受領者が要求する事項(「製品受領者要求事項」)に適合することの重要性を、全ての施設に周知すること
- 品質方針を定めること
- 品質目標が定められているようにすること
- 第18条第1項に規定する照査を実施すること
- 資源が利用できる体制を確保すること
3.2 製品受領者の重視(第11条)
管理監督者は、適用される法令の規定等及び製品受領者要求事項が明確にされ、かつ、製品がこれらに適合しているようにしなければなりません。これにより、製品受領者の満足度を高めることを目指します。
3.3 品質方針(第12条)
管理監督者は、品質方針が次に掲げる条件に適合しているようにしなければなりません。
- 製造販売業者等の意図に照らし適切なものであること
- 品質管理監督システムに係る要求事項への適合及び品質管理監督システムの実効性の維持について、管理監督者が責任をもって関与することを規定していること
- 品質目標の策定及び照査に当たっての枠組みとなるものであること
- 全ての施設に周知され、理解されていること
- 品質管理監督システムの適切性を維持するために照査されていること
3.4 品質目標(第13条)
管理監督者は、各施設において、各部門及び各階層に応じた品質目標(製品要求事項への適合のために必要な目標を含む)が定められているようにしなければなりません。
品質目標は、その達成状況を評価しうるものであって、かつ、品質方針との整合性のとれたものとしなければなりません。
3.5 品質管理監督システムの計画の策定(第14条)
管理監督者は、品質管理監督システムが第5条から第5条の6までの規定及び品質目標に適合するよう、その実施に当たっての計画が策定されているようにしなければなりません。
また、品質管理監督システムの変更を計画し、実施する場合においては、品質管理監督システムが不備のないものであることを維持しなければなりません。
3.6 責任及び権限(第15条)
管理監督者は、全ての施設において、各部門及び当該部門の構成員に係る責任及び権限が定められ、文書化され、周知されているようにしなければなりません。
また、品質に影響を及ぼす業務を管理監督し、実施し、又は検証する者の全てについて、相互の関係を定め、当該職務を行うために必要な独立性を確保するとともに、必要な責任及び権限が与えられているようにしなければなりません。
3.7 管理責任者(第16条)
管理監督者は、製造販売業者等の役員、管理職の地位にある者その他これに相当する者のうちから製造販売業者等の品質管理監督システムの実施及び維持の責任者(「管理責任者」)を任命しなければなりません。
管理監督者は、管理責任者に、次に掲げる業務に係る責任及び権限を与えなければなりません。
- 工程が確立され、文書化され、実施され、及び維持されるとともに、その実効性が維持されているようにすること
- 品質管理監督システムの実効性及びその改善の必要性を管理監督者に報告すること
- 全ての施設において、法令の規定等及び品質管理監督システムに係る要求事項についての認識が向上するようにすること
3.8 内部情報伝達(第17条)
管理監督者は、各施設内及び各施設間において、適切に情報の伝達が行われる仕組みを確立するとともに、品質管理監督システムの実効性に関わる情報交換が確実に行われることを担保しなければなりません。
3.9 管理監督者照査(第18条)
製造販売業者等は、品質管理監督システムについて、その適切性、妥当性及び実効性の維持を確認するための照査(品質管理監督システムの改善又は変更の必要性の評価を含む。以下「管理監督者照査」という)に係る手順を文書化しなければなりません。
管理監督者は、この手順に従って、あらかじめ定めた間隔で管理監督者照査を実施しなければなりません。
製造販売業者等は、管理監督者照査の結果の記録を作成し、これを保管しなければなりません。
3.10 管理監督者照査に係る工程入力情報(第19条)
管理監督者は、次に掲げる情報を管理監督者照査に用いる工程入力情報としなければなりません。
- 製品受領者及び供給者からの意見
- 苦情の処理
- 厚生労働大臣、都道府県知事又は令第37条の23に規定する医療機器等製造販売業許可権者への通知
- 監査
- 工程の監視及び測定
- 製品(限定一般医療機器に係る製品を除く)の監視及び測定
- 是正措置
- 予防措置
- 従前の管理監督者照査の結果を受けてとった措置
- 品質管理監督システムに影響を及ぼすおそれのある変更
- 部門、構成員等からの改善のための提案
- 前回の管理監督者照査の後において、新たに制定され、又は改正された法令の規定等
3.11 管理監督者照査に係る工程出力情報(第20条)
製造販売業者等は、管理監督者照査に用いる工程入力情報及び管理監督者照査から得られた次に掲げる事項を記録するとともに、所要の措置をとらなければなりません。
- 品質管理監督システム及び工程の適切性、妥当性及び実効性の維持に必要な改善
- 製品受領者要求事項に関連した製品の改善
- 前回の管理監督者照査の後において、新たに制定され、又は改正された法令の規定等への対応
- 次条に規定する必要な資源
次回解説内容
次回の記事では、資源の管理監督(第21条~第25条の2)について解説します。
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