概要

令和8年3月31日付けで、生物由来原料基準(平成15年厚生労働省告示第210号)が改正されました。根拠は医薬発0331第3号(令和8年3月31日、厚生労働省医薬局長通知)で、告示上は令和8年厚生労働省告示第155号によるものです。医薬品・医薬部外品・化粧品・医療機器・再生医療等製品に使う、ヒトその他の生物に由来する原料などが対象です。

今回の改正の中心は、反芻動物由来の原料に関する取扱いです。牛海綿状脳症(BSE)の病原体伝播リスクの観点から、国際的な動向を踏まえて要件が見直されました。従来は使用が禁止されていた一部の部位について、一定の条件下で使用が可能になりました。反芻動物由来原料を扱う製造販売業者や製造業者は、原産国と月齢の条件を確認する必要があります。

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1. 背景と目的

1.1 生物由来原料基準とは

生物由来原料基準は、医薬品などに使われる生物由来の原料について、製造時に講ずべき措置を定めた基準です。培地や添加剤として製造工程で使うものも対象に含まれます。感染性物質などの混入リスクを管理し、製品の安全性を確保することが目的です。

1.2 改正の趣旨

今回の改正の趣旨は、反芻動物由来の原料に関するBSE病原体の伝播リスク管理の見直しです。国際獣疫事務局(WOAH、旧OIE)によるリスク評価などの国際的な動向を踏まえ、科学的な知見に沿って基準を整えました。過度な制限を避けつつ、安全性を確保する方向での見直しです。

2. 主要な改正内容

2.1 使用禁止部位の一部解禁

改正前は、反芻動物由来のせき柱骨と頭骨は原料に使ってはならないとされていました。改正後は、一定の条件を満たす場合に使用が可能になります。条件は2つです。第一に、国際獣疫事務局によりBSE病原体の伝播リスクが無視できるとされた国などが原産国であることです。第二に、月齢が30月以下のウシに由来することです。この2つを満たす場合に限り、せき柱骨と頭骨の使用が認められます。

2.2 原産国に関する記載の整理

原産国に関する記載も整理されました。国際獣疫事務局によるBSEリスクが無視できるとされた国の更新状況を踏まえた見直しです。具体的には、カナダ産原料に関する記載を整理しました。あわせて、個別に列挙していた国のうち、リスクが無視できるとされた国と重複するものを削除しました。制度上の重複を解消し、記載を分かりやすくする趣旨です。

2.3 その他の改正

上記のほか、必要な改正が併せて行われました。反芻動物由来原料基準関係を中心とした整理です。

3. 実務対応

3.1 原料の原産国と月齢の確認

反芻動物由来のせき柱骨や頭骨を原料に使う可能性がある場合は、原産国が国際獣疫事務局のリスク評価で無視できるとされた国に該当するかを確認します。あわせて、由来するウシの月齢が30月以下であることを確認します。原料供給者からの証明書類や仕様書で、この2点を裏付けられるかを点検します。

3.2 リスク評価対象国の最新情報の把握

リスクが無視できるとされる国は更新されます。原料調達の判断は最新の情報に基づく必要があります。国際獣疫事務局の評価状況を定期的に確認し、社内の原料管理の記録へ反映します。個別列挙国の削除に伴い、従来の国名リストで判断していた場合は、基準の最新版を確認します。

3.3 記録・手順への反映

生物由来原料基準への適合性は、承認申請や製造管理の場面で問われます。社内の原料規格書、標準作業手順書、適合性の説明資料に、今回の改正内容を反映しておくことが必要です。特に反芻動物由来原料を扱う品目では、部位・原産国・月齢の管理記録を整えておきます。

まとめ

2026年3月31日の生物由来原料基準の改正では、反芻動物由来原料に関するBSEリスク管理が見直されました。特に重要なのは、これまで使用が禁止されていたウシのせき柱骨・頭骨について、BSE病原体の伝播リスクが無視できるとされた国を原産国とし、かつ月齢30月以下のウシ由来であるなど、一定の条件を満たす場合に使用可能となった点です。

反芻動物由来原料を使用する医薬品・医療機器等の製造販売業者や製造業者は、今回の改正内容を踏まえ、原料の部位・原産国・月齢を確認するとともに、供給者から入手する証明書や仕様書、原料規格書、社内手順書などが最新の生物由来原料基準に対応しているかを確認する必要があります。 特に、承認申請や原材料の変更を予定している場合には、生物由来原料基準への適合性をどのような資料で説明するかまで含めて検討することが重要です。

弊社(一般社団法人薬事支援機構)では、医療機器を中心に、承認・認証申請や原材料変更、生物由来原料基準への適合性確認など、薬事対応に関するご相談を承っています。 「使用している原料が今回の改正の対象になるのか分からない」「供給者からどのような資料を入手すべきか判断できない」「承認申請で生物由来原料の安全性をどのように説明すればよいか」といったお悩みがございましたら、ぜひ弊社までお問い合わせください。

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