概要
今週の医療機器業界は、規制・審査制度に関する動きが目立ちました。厚生労働省はマレーシア医療機器庁(MDA)との規制協力覚書を締結し、革新的なプログラム医療機器(SaMD)の優先審査制度も継続されるなど、国内外で規制協調と実用化支援が進んでいます。
製品・SaMD分野では、AI手術支援システム「EIRL Surgery LC」が製造販売承認を取得したほか、うつ病治療補助アプリ「リフトンD」が評価療養の対象となりました。心臓リハビリ支援SaMDの治験開始や新素材開発なども進展しています。
資金調達ではLIFESCAPESやウェルモが大型調達を実施し、海外でもAI・デジタルヘルス分野への投資が活発でした。AMEDの公募・採択情報も更新され、医療機器開発を取り巻く環境が引き続き活発な1週間となりました。

1. 法改正・通知関連
厚労省、マレーシア医療機器庁(MDA)と医療機器規制協力に関する覚書を締結
厚生労働省(医薬局)とマレーシア医療機器庁(MDA)は、医療機器分野の規制協力強化に関する覚書(MOC)を締結しました。情報交換、科学的協力、規制担当者の教育・訓練、多国間フォーラムでの連携などを推進し、相互理解と信頼構築を通じた国際協調により、新たな医療機器等を患者へより迅速に届けることを目指しています
<参照記事>
- 2026年6月 厚生労働省(MHLW)及びマレーシア医療機器庁(MDA) 医療機器規制協力の促進について覚書を締結
- https://www.qualtech.co.jp/regulatory/asia/8864/
PMDA、2025年度(令和7年度)の医療機器承認品目一覧を公表
PMDAが2025年度に承認した医療機器の品目一覧を掲載しました。新医療機器、改良医療機器(臨床あり/なし)、後発医療機器、再製造単回使用医療機器(再製造SUD)の区分ごとに別表(Excel)で整理されており、年度内の承認動向を俯瞰できる基礎資料となります。薬事戦略・先行品調査の参照情報として活用できます。
<参照記事>
- 医療機器の承認品目一覧
- https://www.pmda.go.jp/review-services/drug-reviews/review-information/devices/0018.html
ブラジルANVISA、規制リライアンス(IN 290/2024)に基づく承認手続の運用を進展
Emergo by UL が、ブラジルANVISAの規制リライアンス(信頼に基づく簡略審査)制度(IN 290/2024)の最新の認可事例を取り上げました。海外の信頼できる規制当局の審査結果を活用することで、医療機器の市場参入プロセスが効率化される方向にあり、各国当局のリライアンス志向の流れを示す動きとして注目されています。
<参照記事>
- Background on Normative Instruction 290/2024
- https://www.emergobyul.com/news/regulatory-reliance-authorizations-brazils-revised-anvisa-process-june-2026
厚労省、GLP-1受容体作動薬の適正使用徹底を通知(適応外使用の横行を問題視)
厚生労働省は、GLP-1受容体作動薬およびGIP/GLP-1受容体作動薬について、適正使用の徹底を求める通知を発出しました。美容・痩身目的などの適応外使用の横行が問題視されており、関係者に対し承認された使用目的の範囲内での使用を改めて求める内容です。安全性確保の観点からの行政対応として薬事関係者の留意が必要となります。
<参照記事>
- 【厚労省が通知】GLP1薬適正使用徹底を‐適応外使用の横行問題視
- https://www.yakuji.co.jp/entry135597.html
炭酸リチウム製剤、添付文書改訂で禁忌から「妊婦」を削除する方針
内閣府の医薬品等行政評価・監視に関する専門部会において、炭酸リチウム製剤の添付文書改訂が了承される方針が示されました。これまで禁忌とされていた「妊婦」を禁忌から削除する内容で、最新の知見に基づく添付文書の見直しが進められています。添付文書(使用上の注意)の改訂は安全対策上の重要通知に直結するため、動向を注視しましょう。
<参照記事>
- 【厚労省】禁忌から「妊婦」を削除へ‐炭酸リチウムの添文改訂
- https://www.yakuji.co.jp/entry135602.html
2. 医療機器関連
東レ、シリコーン材料の水濡れ性を20倍以上に向上する親水性コート材を開発
東レは、シリコーン表面に厚さ約20nmの親水性ポリマー層を形成し、水濡れ性を20倍以上に高めつつ摩擦を約9割低減する新規コート材を開発しました。シリコーン本来の特性を維持しながら長期耐久性を実現する点が特長です。コンタクトレンズやカテーテルなど医療機器への応用を想定し、長時間装着時の快適性向上や閉塞リスク低減が期待されます。
<参照記事>
- シリコーン材料の水濡れ性を20倍以上に向上する親水性コート材を開発
- https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000021.000163456.html
三悦工業、第38回ものづくりワールド[東京]に出展
精密プラスチック加工の三悦工業(医療機器業界を中心に展開)が、7月1〜3日に開催される「第38回ものづくりワールド[東京]」(ブースE3-10)に出展する予定です。設計相談・試作・量産・表面処理・組立までの一貫対応力や、超音波溶着技術などを製品サンプルとともに紹介します。45年の精密加工実績を活かし新規取引先の開拓を図っています。
<参照記事>
- 7/1(水) 〜3(金) 開催『第38回ものづくりワールド[東京]へのブース出展のお知らせ
- https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000003.000168449.html
CaTe、心疾患管理プログラム医療機器「CRS-1」の治験で第1症例目の組み入れを完了
CaTeは、在宅での心臓リハビリテーションを支援するプログラム医療機器(SaMD)「CRS-1」の国内検証的試験で、第1症例目の被験者組み入れ(FPI)を完了しました。外来心臓リハビリ参加率が約7%にとどまる課題に対応するもので、本治験で有効性・安全性を検証します。心血管疾患患者の再入院・死亡率の低減を目指し、薬事承認取得と販売開始に向け取り組みを進めています。
<参照記事>
- 株式会社CaTe 心疾患管理プログラム医療機器の治験における第1症例目の組み入れを完了
- https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000017.000074104.html
「MedTech Angels Season5(2025-2026)」最優秀賞にセルフォールドが決定
医療機器特化型アクセラレーションプログラム「MedTech Angels Season5」の最優秀賞が、株式会社セルフォールドに決定しました。同社は、切断リスクのある重症下肢虚血に対し、細胞培養を要さず注入可能な細胞足場技術を開発しています。血流回復と潰瘍治癒を促す低コストな治療選択肢として注目されています。現在治験を進めており、日米での承認・上市を2031年に目標としています。
<参照記事>
- 医療機器特化型アクセラレーションプログラム「MedTech Angels Season5(2025-2026)」最優秀賞決定!
- https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000034.000059971.html
Berry、頭蓋形状矯正ヘルメット「ベビーバンド」を第25回新生児栄養フォーラムに出展
株式会社Berryは、6月20〜21日に東京で開催される「第25回新生児栄養フォーラム」に、オーダーメイドの頭蓋形状矯正ヘルメット「ベビーバンド」のブースを出展する予定です。先端技術による完全オーダーメイドで乳児の頭の形の悩みに対応する医療機器で、全国270以上の医療施設で導入実績を持っています。乳児と家族の治療負担軽減を訴求しています。
<参照記事>
- 【第25回新生児栄養フォーラム】頭蓋形状矯正ヘルメット『ベビーバンド』 ブースを出展
- https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000055.000113536.html
3. SaMD関連(プログラム医療機器)
厚労省、革新的プログラム医療機器の優先審査(試行的実施)に関する通知を発出
厚生労働省医薬局医療機器審査管理課長は2026年6月15日付(医薬機審発0615第1号)で、AI技術等の最先端デジタル技術を活用したプログラム医療機器(SaMD)の実用化を後押しする「優先的な審査等の試行的実施」に関する通知を発出しました。
我が国発の革新的SaMDを指定し優先的に承認審査を行う制度で、令和4年度からの試行実施を継続・整理する内容となっています。
<参照記事>
AIによる内視鏡外科情報手術支援システム「EIRL Surgery LC」が薬事承認を取得
大分大学・福岡工業大学・オリンパス・エルピクセルが開発したSaMD「EIRL Surgery LC」が、医薬品医療機器等法に基づく製造販売承認(承認番号 30800BZX00052000)を取得しました。
深層学習により腹腔鏡下胆嚢摘出術中の胆嚢周囲の解剖学的ランドマークをリアルタイムで認識し、胆道損傷の予防を支援する医療機器です。AIによる術中支援SaMDの国内承認事例として注目されています。
<参照記事>
- AIによる内視鏡外科情報手術支援システムが薬事承認を取得-大分大ほか
- https://www.qlifepro.com/news/20260617/endoscopic-surgical-information-and-surgical-support-system.html#
大腸がんスクリーニングAI「AIM4CRC」、FDAの早期実用化支援「TAPプログラム」に採択
Boston Medical Sciences(東京都中央区)の無下剤バーチャル内視鏡検査システム「AIM4CRC」が、2026年6月17日、FDAのTAP(Total Product Life Cycle Advisory Program)に採択されたと発表しました。
同製品は下剤を使わない非侵襲的な大腸がんスクリーニング用AI医療機器で、2026年5月にFDAのBreakthrough Device Designationを取得済みです。今回の採択で米国での臨床開発・保険償還戦略の構築が加速します。
<参照記事>
- Boston Medical Sciences社の「AIM4CRC」、米国FDAの早期実用化支援「TAPプログラム」に採択
- https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000010.000129637.html
英国発のがん早期発見AIツール、FDAに承認申請
英国で実績を上げたがん早期発見ツールを手がける「C the Signs(シー・ザ・サインズ)」が、患者の医療記録を分析してがん発症リスクを判定するAIツールについてFDAに承認申請したと2026年6月16日付で報じられました。
追加の検査や画像診断を行うことなくリスク患者を特定し、初期段階で専門医に紹介することを目的としています。FDAから「市場に類似製品の前例がない」と指摘されており、承認されれば米国初の医療機器となる見込みです。
<参照記事>
- AIが60秒でリスクを特定、英国で成果を上げた「がん早期発見ツール」がFDA承認申請
- https://www.newsweekjapan.jp/articles/-/325664?display=b
うつ病治療補助プログラム「リフトンD」、評価療養の対象に
DTアクシス(株)のスマートフォンアプリ型うつ病治療補助プログラム「リフトンD」が、プログラム医療機器(SaMD)として評価療養の対象になったと2026年6月16日付で報じられました。
評価療養の対象期間は2026年6月1日から2030年5月31日までです。保険外併用療養費制度を活用したSaMDの保険導入事例として、国内デジタル治療(DTx)の普及を後押しする動きとなります。
<参照記事>
- うつ病治療補助プログラム「リフトンD」、6月から評価療養の対象に(DTアクシス)[クローズアップHealth Tech]
- https://www.jmedj.co.jp/blogs/product/product_28704
FDAのAI医療機器承認、放射線分野が全体の76%を占める ― ベンダー別承認数ランキング公開
The Imaging Wireは2026年6月18日、FDAが承認したAI搭載医療機器のベンダー別ランキングを公開しました。FDAは2026年第1四半期までに累計1,524件のAI搭載医療機器を承認しており、うち放射線領域が1,164件(76%)を占めます。
ベンダー別ではGE HealthCare(130件)が首位で、Siemens Healthineers(95件)、Philips(58件)が続きます。2026年第1四半期の承認数は92件で、前四半期比28%増と承認ペースが加速しています。
<参照記事>
- Top 10 AI Vendors by FDA Approvals
- https://theimagingwire.com/2026/06/17/top-10-radiology-ai-vendors-by-number-of-fda-authorizations/
4. 医療ベンチャー関連
慶大発スタートアップLIFESCAPES、総額6億円を調達 — 脳卒中後の手指麻痺リハビリBMIを社会実装へ
慶應義塾大学発のニューロリハビリテーション企業LIFESCAPESが、第三者割当増資により総額6億円を調達しました。脳卒中などによる重度の上肢(手指)麻痺のリハビリを支援するBMI(ブレイン・マシン・インターフェース)技術を開発しており、複数のVCが参加しました。調達資金はマレーシアを起点としたASEAN市場への海外展開、医師主導治験の推進、自由診療モデルの事業開発に充当します。
<参照記事>
- 重度手指麻痺のリハビリを支援するBMI技術を開発する「LIFESCAPES」が6億円調達
- https://sogyotecho.jp/news/20260615lifescapes/
医療・介護向けAI/DXのウェルモ、約6.8億円を調達 — 営業体制を倍増し導入加速
医療・介護領域に特化したAI・DXサービスを開発するウェルモが、約6.8億円の資金調達を実施しました。藤田学園(藤田医科大学を運営)や東海東京フィナンシャル・ホールディングス系の投資ファンドなどが出資しました。調達資金は営業人員を125名から250名へ倍増させ、AI活用による介護業務支援システムの導入拡大に充てます。
<参照記事>
- 医療介護領域に特化したAI・DXサービスを開発するウェルモ、約6.8億円の資金調達を実施。累計調達額は約55.6億円に
- https://www.nishinippon.co.jp/item/1505372/
HMNC Brain Health、5,000万ドルのシリーズB初回クローズ — MEDICEと欧州展開で戦略提携
臨床段階の神経科学企業HMNC Brain Healthが、5,000万ドルのシリーズB資金調達の初回クローズを発表しました。欧州のメンタルヘルス特化型製薬企業MEDICEがリード投資家となり、戦略的提携も締結しました。同社は治療抵抗性うつ病向けの経口ケタミン製剤「Ketabon(KET01)」などを開発しており、MEDICEはKET01の欧州における独占販売権を取得しました。
<参照記事>
- HMNC Brain Health announces $50 million first closing of Series B financing and a strategic partnership with MEDICE
- https://www.manilatimes.net/2026/06/15/tmt-newswire/globenewswire/hmnc-brain-health-announces-50-million-first-closing-of-series-b-financing-and-a-strategic-partnership-with-medice/2365458
中南米のAI医療スタートアップTelepatia、a16zから3,300万ドルを調達
ラテンアメリカで臨床向けAIプラットフォームを展開するTelepatiaが、Andreessen Horowitz(a16z)主導で3,300万ドルを調達しました。AIによる診療記録作成・臨床意思決定支援・各種「AIヘルスケア従業員」スイートを提供します。すでに約1,400万人の患者をカバーしており、2027年までに中南米の医師約95万人への導入を目指しています。
<参照記事>
- Telepatia secures $33M to expand AI healthcare platform across Latin America
- https://www.mobihealthnews.com/news/telepatia-secures-33m-expand-ai-healthcare-platform-across-latin-america
AI×バイオの新研究ラボRadical Numerics、5,000万ドルのシードで始動 — がん診断など医療応用へ
スタンフォード大の研究者らが「生成ゲノミクス」を基盤に設立したAIラボRadical Numericsが、5,000万ドルのシード資金で正式に始動しました。Emergence Capitalがリードし、Obvious Ventures、Triatomic Capitalなどが参加しました。生物全般を「読み・書き・設計する」マルチモーダルAIモデルを開発し、がん診断などのヘルスケア応用とAI生成病原体検知(バイオ防衛)の両面を狙っています。
<参照記事>
- AI Lab Radical Numerics Launches with $50M Seed Round To Build General Biological Intelligence
- https://finance.yahoo.com/sectors/healthcare/articles/ai-lab-radical-numerics-launches-130000718.html?guccounter=1
5. 医療機器が関連する補助金
令和8年度「優れた医療機器の創出に係る産業振興拠点強化事業」公募(情報更新)
AMEDの「医療機器・ヘルスケアプロジェクト」の一環で、革新的医療機器の開発からデジタル・ロボット技術応用まで幅広い領域を対象に、人材育成拠点・スタートアップ支援拠点・オープンイノベーションコア拠点の3分野を支援する公募です。分野3(オープンイノベーションコア拠点)は年間上限111,300千円規模です。公募期間は令和8年6月25日(木)13時まで継続中で、6月18日付で公募情報が更新されました。
<参照記事>
- 令和8年度 「優れた医療機器の創出に係る産業振興拠点強化事業」に係る公募について
- https://www.amed.go.jp/koubo/03002/01/B_00015.html
令和8年度「循環器疾患・糖尿病等生活習慣病対策実用化研究事業」採択課題の公表
循環器疾患・糖尿病等の生活習慣病の予防・治療の質向上を目指す実用化研究事業について、6月16日に採択課題が公表されました。エビデンス創出研究から発症機構・治療標的の基礎研究まで7区分にわたり、計21課題が採択されました。臨床研究・データ利活用・ライフコース視点の研究など多様なアプローチが選定されています。
<参照記事>
- 令和8年度 「循環器疾患・糖尿病等生活習慣病対策実用化研究事業」の採択課題について
- https://www.amed.go.jp/koubo/03005/02/C_00011.html
令和7年度「臨床研究・治験推進研究事業」(3次公募)採択課題の公表
医師主導治験の実施や臨床研究・治験のプロトコル作成を支援する事業の3次公募について、6月17日に採択課題が公表されました。くも膜下出血から希少小児疾患まで幅広い対象疾患を扱う11課題が「臨床研究・医師主導治験のプロトコル作成」区分で採択されました。
<参照記事>
- 令和7年度 「臨床研究・治験推進研究事業」(3次公募)の採択課題について
- https://www.amed.go.jp/koubo/03001/04/C_00003.html
令和8年度「革新的がん医療実用化研究事業」(2次公募)
がん予防、診断・治療技術開発、新規薬剤・治療法開発、標準治療確立の4分野を対象に、基礎研究成果の非臨床・臨床段階への橋渡しを重視する公募の2次募集です。若手育成枠(年間上限7,700〜10,000千円)を含み、公募期間は令和8年6月30日(火)正午までです。6月17日付で公募情報が更新されました。
<参照記事>
- 令和8年度 「革新的がん医療実用化研究事業」に係る公募(2次公募)について
- https://www.amed.go.jp/koubo/03005/02/B_00019.html
令和8年度「難治性がん克服フラッグシッププログラム」公募(情報更新)
AMEDがん領域(革新的がん医療実用化研究事業および次世代がん医療加速化研究事業)の枠組みで、難治性がんの克服を目指すフラッグシッププログラムに係る公募です。若手研究者枠を含み公募中で、6月19日付で公募情報が更新されました。
<参照記事>
- 令和8年度 「AMEDがん領域 (革新的がん医療実用化研究事業及び次世代がん医療加速化研究事業) 難治性がん克服フラッグシッププログラム」に係る公募について
- https://www.amed.go.jp/koubo/03005/02/B_00018.html
6. 海外市況
Medtronic、神経血管デバイスのScientia Vascularを5.5億ドルで買収完了
Medtronicは脳卒中治療向けガイドワイヤ技術を手がけるScientia Vascularの買収(約5.5億ドル)を完了しました。同社の血栓除去デバイスを補完するアクセスデバイスを獲得し、脳内の到達困難な領域への施術を可能にします。Geoff Martha CEOは「すべての神経血管手技をMedtronicで始められる」と述べ、1〜3億ドル規模を中心とするM&A戦略の継続を示しました。
<参照記事>
- Medtronic closes Scientia Vascular takeover, continuing M&A streak
- https://www.medtechdive.com/news/medtronic-closes-scientia-vascular-takeover-continuing-ma-streak/822876/
医療機器M&A、過去10年で最高だった2025年に続き勢い維持=PwC
PwCのレポートによると、医療機器業界のM&Aは過去10年で最高水準だった2025年に続き、2026年上半期も勢いを保ち、取引総額は365億ドルに達しました。Boston ScientificによるPenumbra買収やDanaherによるMasimo買収が市場を牽引しました。戦略的買い手が高成長カテゴリーを追求し、プライベートエクイティが低下したバリュエーションを取り込む形で、地政学リスクやサプライチェーン懸念を抱えつつも年末まで活発な取引が続くと予測しています。
<参照記事>
- Medtech M&A maintains momentum following decade-high 2025: PwC
- https://www.medtechdive.com/news/medtech-ma-maintains-momentum-following-decade-high-2025-pwc/823113/
Distalmotion、米国展開強化へDexterロボットの婦人科適応をFDAで追加取得
スイスの手術ロボット企業Distalmotionは、Dexterロボット手術システムについて婦人科領域の追加適応をFDAから取得しました。従来の子宮摘出術に加え、骨盤臓器脱や子宮内膜症切除を治療する3つの再建術がカバーされます。コンパクトで可搬性の高いDexterを外来手術センター(ASC)に展開し、1台で複数手技に対応させて稼働率と業務効率を高める戦略を後押しします。
<参照記事>
- Distalmotion, in US push, adds more robotic gynecology indications
- https://www.medtechdive.com/news/distalmotion-in-us-push-adds-more-robotic-gynecology-indications/823196/
FDA、乳房生検針の供給不足が2027年まで継続と警告
FDAは、乳房生検針の供給不足が2027年3月まで続くとの見通しを示しました。HologicがBreveraシステム向け9ゲージ針を汚染リスクを理由に1月に市場撤去したことが背景にあります。医療機関には針ゲージの多様化、供給元の拡大、廃棄の最小化といった節約策が推奨されました。がん診断のタイミングに影響しうる事態で、Hologicは「製造シフトを拡大している」として供給回復を図っています。
<参照記事>
- FDA warns breast biopsy needle shortage to continue into 2027
- https://www.medtechdive.com/news/fda-warns-breast-biopsy-needle-shortage-to-continue-into-2027/823154/
Penumbra、血栓除去デバイス「Thunderbolt」で欧州CEマーク取得
Penumbraは、コンピュータ支援型の真空血栓除去デバイス「Thunderbolt」で欧州CEマークを取得し、脳卒中治療向けに欧州での販売が可能になりました。変調吸引により血栓除去を加速し、脳組織への血流を回復させます。1月に約145億ドルでPenumbraの買収に合意したBoston Scientificがグローバル販売網を活用できる点が重要で、アナリストは同デバイスが買収後に約1億ドルの増収をもたらしうると見込んでいます。
<参照記事>
- Penumbra wins CE mark for Thunderbolt clot removal tech
- https://www.medtechdive.com/news/penumbra-bags-ce-mark-for-clot-removal-technology/823239/
FDA、Zoll Medicalに品質問題で警告書
FDAはZoll Medicalに対し、複数の機器カテゴリーにわたる品質・コンプライアンス上の不備を指摘する警告書(2026年4月30日付)を発出しました。査察では731シリーズおよびZ Vent人工呼吸器のMRI適合性問題による不具合、除細動電極や苦情処理手順に関する懸念が明らかになりました。Zollは人工呼吸器の不具合に関する苦情を27件として記録していたが、調査官は2016〜2024年に50件の苦情を確認し、当局への過少報告が組織的に行われていた可能性が示されました。
<参照記事>
- Zoll receives FDA warning letter over quality concerns
- https://www.medtechdive.com/news/zoll-receives-fda-warning-letter-over-quality-concerns/823298/
7. 弊社ブログ記事
【2025年改正】副作用等報告通知が改正|医療機器メーカーが確認すべき不具合報告の実務
令和7年8月26日付け医薬発0826第4号により、副作用等報告の取扱いを定めた局長通知(平成26年10月2日付け薬食発1002第20号)が改正されました。
改正の中心は要指導医薬品の未知・非重篤副作用定期報告の代替報告化ですが、本通知は副作用等報告の全体構成を最終改正版として再整理する位置づけで、医療機器の不具合報告(15日/30日報告、定期報告)も改めて整理されています。
医療機器メーカーに直接の手続変更はないものの、報告様式・提出先を再確認し市販後安全管理の運用点検を行う好機です。
<参照記事>
- 【2025年改正】副作用等報告通知が改正|医療機器メーカーが確認すべき不具合報告の実務
- https://blog.rso.or.jp/%e3%80%902025%e5%b9%b4%e6%94%b9%e6%ad%a3%e3%80%91%e5%89%af%e4%bd%9c%e7%94%a8%e7%ad%89%e5%a0%b1%e5%91%8a%e9%80%9a%e7%9f%a5%e3%81%8c%e6%94%b9%e6%ad%a3%ef%bd%9c%e5%8c%bb%e7%99%82%e6%a9%9f%e5%99%a8/
遠赤外線血行促進用衣のQ&A改訂|既存製品の自主点検が必要に
厚労省が令和7年8月18日付で家庭用遠赤外線血行促進用衣のQ&Aを改訂し、「衣類の一部分のみに遠赤外線機能を持つ製品は医療機器として認められない」と明記しました。
プリント加工やシール貼付で部分的に機能を付与した製品が対象外となります。
メーカーは既存届出製品の自主点検(形状要件・全体輻射の確認)、広告表現の違反チェック、必要に応じた届出変更・取下げ、認められない効能効果表示の削除が求められます。
<参照記事>
- 遠赤外線血行促進用衣のQ&A改訂|既存製品の自主点検が必要に
- https://blog.rso.or.jp/%e9%81%a0%e8%b5%a4%e5%a4%96%e7%b7%9a%e8%a1%80%e8%a1%8c%e4%bf%83%e9%80%b2%e7%94%a8%e8%a1%a3%e3%81%aeqa%e6%94%b9%e8%a8%82%ef%bd%9c%e6%97%a2%e5%ad%98%e8%a3%bd%e5%93%81%e3%81%ae%e8%87%aa%e4%b8%bb/
違法な美容医療の判断基準を厚労省が明確化|立入検査・処分の流れを解説
厚生労働省は、無資格者による診断、看護師のみの施術、メール・チャットのみの診療などを「違法な例」として明示し、これまで曖昧だった判断基準を明確化しました。
医療機器メーカーは販売先での不適正使用(自社製品が医師の指示なしで運用されていないか)を確認する必要があります。
あわせて症例写真や効能表現を医療広告ガイドラインに照らして点検し、無資格運営施設への販売を避けるべきです。
<参照記事>
- 違法な美容医療の判断基準を厚労省が明確化|立入検査・処分の流れを解説
- https://blog.rso.or.jp/%e9%81%95%e6%b3%95%e3%81%aa%e7%be%8e%e5%ae%b9%e5%8c%bb%e7%99%82%e3%81%ae%e5%88%a4%e6%96%ad%e5%9f%ba%e6%ba%96%e3%82%92%e5%8e%9a%e5%8a%b4%e7%9c%81%e3%81%8c%e6%98%8e%e7%a2%ba%e5%8c%96%ef%bd%9c%e7%ab%8b/
弊社について
一般社団法人薬事支援機構(RSO)は、「未来の医療を支える技術の実現をサポート」というビジョンのもと、医療機器の薬事領域に特化したコンサルティングサービスを提供しています。
SaMD(Software as Medical Device)、レーザー等の能動機器、カテーテルをはじめとした非能動医療機器など、幅広い医療機器を対象に、開発初期段階から承認申請後までの一貫した伴走型コンサルティングを行っています。
医療機器業界の複雑な規制環境において、お客様の製品が円滑に承認を得るためのプロフェッショナルなサポートを国内向けに展開。製品の特性や開発フェーズに合わせた最適なアドバイスと戦略を提供しています。