概要
医療令和8年1月20日から、医療機器の非臨床試験に係る適合性書面調査の手続きが新ルールへ移行します。PMDAが令和7年12月25日付け理事長通知(薬機発第9065号)を発出し、承認申請(一部変更承認申請を含む)における非臨床試験データの信頼性調査手続きが見直されました。
今回の改正では、根拠資料をゲートウェイシステムから提出できるようになったほか、資料返却後の資料詳細目録の再提出が不要となり、申請者とPMDAとの連絡手段も電子メール・電話へ統一されるなど、実務負担の軽減につながる変更が盛り込まれています。
本記事では、新旧通知の変更点、適合性書面調査の手続きの流れ、ゲートウェイシステム利用時の注意点、申請者が施行日までに準備すべき実務対応について分かりやすく解説します。

1. 背景と目的
1.1 改正の経緯
旧通知の運用開始から3年が経ち、PMDA側の組織再編やオンライン申請(四課長通知)の普及など、前提が大きく変わりました。今回の改正は、手続きの合理化と明確化を目的としています。
1.2 主な変更点
旧通知からの実質的な差分は以下のとおりです。
- 根拠資料等の提出方法にゲートウェイシステムを追加
- 根拠資料返却後の資料詳細目録の送付を不要化
- 連絡手段を電子メールまたは電話に一本化(FAX中心の運用を見直し)
- 組織再編に伴い「医療機器調査・基準部」→「医療機器調査部」へ名称変更
- 様式・記載要領の整備
ゲートウェイシステム(https://esg.pmda.go.jp/…)はオンライン申請ですでに使われている提出基盤で、それを書面調査の根拠資料提出にも開放した形です。
2. 主要要件と手続きフロー
2.1 調査着手前の確認(ステップ1)
審査担当部(医療機器審査第一部・第二部、再生医療製品等審査部、プログラム医療機器審査部のいずれか)が別紙様式1で調査対象資料を申請者に連絡します。申請者は根拠資料の提出時期を回答します。
2.2 信頼性資料の機構への提出(ステップ2)
改良医療機器(臨床なし)と後発医療機器の場合に限り、申請時に審査用資料の写し(STED・別添資料)を別紙様式2で先出し提出できます。先出しすれば後段の副本提出(ステップ3)の一部を省略できます。なお、オンライン申請済みの場合はこの先出し自体が不要です。
2.3 副本等の機構への提出(ステップ3)
ステップ1の確認後、申請者は別紙様式4「副本等の提出について」と別紙様式3「信頼性調査依頼書」を添えて、副本等をA4・2穴ファイルで審査業務部に提出します。
副本等の中身は次の4種です。
- ア 調査対象に対応する部分の副本
- イ 添付文書(案)
- ウ 添付資料(STED)1.2開発の経緯・1.4外国における使用状況の写し
- エ 引用部位の写し
オンライン申請済みの品目は、副本等(ア〜エ)の提出が不要になり、別紙様式4・3のみをゲートウェイシステム経由で出します。提出と同時に、専用アドレス md_nonclinical@pmda.go.jp へ初回連絡メールを送る運用が必須です。件名は「初回連絡(システム受付番号)」、本文に①システム受付番号、②申請日、③会社名、④担当者名を書きます。
2.4 資料詳細目録(案)の確認と根拠資料の提出(ステップ4)
初めて適合性書面調査を受ける申請者などは、別紙様式3のチェックボックスで資料詳細目録(案)の事前確認を希望できます。希望した場合、医療機器調査部から別紙様式7で目録作成と根拠資料提出の依頼が来ます。申請者はおおむね4週間以内に、次の資料を提出します。
- 別紙様式8「根拠資料送付書」
- 別紙様式6「資料詳細目録」
- 根拠資料等(原則として原本)
- 郵送・宅配便の場合は返却用の着払い伝票
2.5 提出方法は2択(ステップ4の続き)
根拠資料の提出ルートは次の2通りです。
- ア 郵便または宅配便:新霞が関ビル6階のPMDA審査業務部 業務第二課宛て。外箱に「医療機器適合性書面調査に係る資料」と明記
- イ ゲートウェイシステム:(https://esg.pmda.go.jp/…)から「FD申請様式外提出」機能で送信
ゲートウェイ利用時の留意点として、提出名称欄に販売名(略称可)と13桁のシステム受付番号を含めること、提出者名欄は法人名を入れること(担当者名にしない)、通信欄に機構側担当者名・申請者側担当者名・信頼性ID(D+6桁)を入れることなどが指示されています。
2.6 照会対応と調査終了(ステップ5・7)
医療機器調査部から文書で照会事項が来たら、文書で回答します。根拠資料の追加提出が必要な場合は調査担当者の指示に従います。調査が終わるとその旨を申請者に連絡します。
2.7 根拠資料の返却(ステップ8)
郵送・宅配便で出した根拠資料は、調査終了後、申請者が同封した発送伝票で返却されます。ゲートウェイシステム経由で出した資料は、機構側でシステム上から削除されるため返却作業は発生しません。電子提出のほうが返送リスクと事務工数の両方を抑えられる設計です。
3. 実務対応と注意点
3.1 申請者が準備すべきもの
施行日(令和8年1月20日)以降に新規で副本等を提出する案件では、次の準備が必要です。
- 別紙様式3・4・6・8の最新版を機構HP「各種様式ダウンロード>審査業務関連>調査申請関係」から入手
- 専用メールアドレス md_nonclinical@pmda.go.jp を社内連絡網に登録
- ゲートウェイシステム経由を選ぶ場合は、四課長通知に基づくアカウント・電子証明書の準備
- 信頼性ID(D+6桁)の社内管理(複数案件並走時の取り違え防止)
3.2 GLP試験を含む場合の追加対応
GLP適合施設で実施したGLP試験が調査対象に含まれるときは、平成26年11月21日付け薬食審査発1121第9号通知に従い、GLP適合性調査の結果報告書や最終報告書(写)を根拠資料として提出します。資料詳細目録の記載も、提出した最終報告書(写)と一致させます。
3.3 調査中断のリスク
機構は次の場合に調査を中断します。
- 申請後に承認申請資料の内容・添付の要否が変更されたり、変更予定の状態になり、調査対象が確定できないとき
- 資料詳細目録や根拠資料が適切な期間内に出てこないとき
中断は審査全体のスケジュール遅延に直結します。社内で根拠資料を集める部署(信頼性保証・QA・開発)の動きが鈍いと、ここで詰まります。おおむね4週間という提出期限を守れる体制を、申請前に組んでおくことが実務上の最大ポイントです。
まとめ
令和8年1月20日施行で、医療機器の非臨床試験に係る適合性書面調査の手続きが刷新されます。実務へのイン令和8年1月20日施行の改正により、医療機器の非臨床試験に係る適合性書面調査では、ゲートウェイシステムによる電子提出への対応や提出資料・連絡方法の見直しなど、承認申請実務に影響する変更が行われます。承認申請のスケジュールを円滑に進めるためには、新手続きに合わせた社内運用や提出体制を早めに整備することが重要です。
特に、非臨床試験の信頼性調査では、資料詳細目録の作成、根拠資料の準備、ゲートウェイシステムの運用、GLP関連資料の整理など、事前準備の質が審査スケジュールを左右します。制度を正しく理解し、PMDAの要求事項を踏まえて対応することで、調査中断や手戻りのリスクを低減できます。
弊社(一般社団法人薬事支援機構)では、医療機器の承認申請に関する薬事コンサルティングをはじめ、非臨床試験の信頼性調査対応、STED・申請資料のレビュー、PMDA対応、薬機法・QMSに関するご相談まで幅広く支援しております。医療機器の承認申請や適合性書面調査への対応でお困りの際は、ぜひ弊社までお気軽にお問い合わせください。