概要
平成11年3月30日、厚生省医薬安全局審査管理課長通知(医薬審第630号)により、新たに制定された塩化ビニル樹脂製血液セット基準・月経処理用タンポン基準・非吸収性プラスチック製縫合糸基準に基づく承認申請の具体的な手続きが示されました。新規申請の記載方法から経過措置の期限まで、実務に直結する内容が盛り込まれています。平成11年10月1日以降の申請には新基準の適用が原則となります。

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1. 背景と通知の位置づけ
1.1 局長通知との関係
本通知は、同日付けで発出された医薬発第399号厚生省医薬安全局長通知(以下「局長通知」)の補完として位置づけられます。局長通知が新基準の内容と全体的な方針を示したのに対し、本通知は承認申請書の具体的な記載方法や移行期間の詳細を規定しています。両通知を合わせて確認することが必要です。
なお、本通知は平成11年6月1日付けの事務連絡により一部改正されています。
1.2 新旧基準の移行
旧42条基準(昭和40年・45年告示)が廃止され、新基準が通知として制定されました。旧基準は法令に基づく告示(強制基準)でしたが、新基準は承認に際して準ずべき基準として通知で定められたものです。新基準に適合しないものについては個別資料の提出により対応することができますが、原則として新基準に従った申請が求められます。
2. 承認申請書の記載方法
2.1 形状・構造及び寸法欄
「形状、構造及び寸法」欄の概要欄には、「本品は、塩化ビニル樹脂製血液セット基準(平成11年3月30日医薬発第399号)に適合する」等の旨を記載します。新基準に適合していることを申請書上で明示するための記載です。
2.2 原材料又は成分及び分量欄
「原材料又は成分及び分量」欄には、当該医療用具の材質について規格を設定し、物性および生物学的安全性の面から一定の材質を特定できるよう記載します。使用する材料の品質が審査において確認できるよう、具体的な記載が求められます。
2.3 規格及び試験方法欄
「規格及び試験方法」欄には、各基準ごとに原則として以下の要求事項に適合する旨を記載します。
塩化ビニル樹脂製血液セット基準については、6.4.4(導管の目視検査)、6.5(採血針)、6.12(気密度試験)、6.13(耐圧試験)、第7章(化学的要求事項)、第9章(無菌性の保証)、第10章(エンドトキシン試験)が対象です。
月経処理用タンポン基準については、第5章(物理的要求事項)、第6章(化学的要求事項)および第8章(無菌性の保証)が対象です。
非吸収性プラスチック製縫合糸基準については、4.1(寸法)、4.2(引張り強さ)、4.3(針付縫合糸の引き抜き強さ)および第6章(無菌性の保証)が対象です。
なお、記載にあたっては平成9年12月26日医薬審第555号審査管理課長通知「医療用具の製造(輸入)承認申請書における「規格及び試験方法」欄の設定について」の内容に十分注意することが求められています。
2.4 製造方法欄(滅菌関係)
「製造方法」欄における滅菌に関する記載については、平成10年3月31日医薬審第347号審査管理課長通知「滅菌医療用具の製造(輸入)承認申請における滅菌に関する取扱いについて」に従います。無菌性の保証についてもこの通知が基準です。
2.5 適合表の添付
原材料規格に係る要求事項、「規格及び試験方法」欄に規定した要求事項および生物学的要求事項以外の要求事項については、別紙例のような適合表を添付します。適合表は基準の各項目について「適合・不適合・非適用」を明記する形式です。血液セット基準については、基本的要求事項から包装に至る全項目が対象となります。
2.6 生物学的要求事項
これまで同様の用途に使用された経験がない新規材料を使用する場合には、平成7年6月27日薬機第99号医療機器開発課長通知「医療用具の製造(輸入)承認申請に必要な生物学的試験のガイドラインについて」の「医療用具及び医用材料の基礎的な生物学的試験のガイドライン」に従い、必要な生物学的試験の資料を提出します。
3. 経過措置と移行期限
3.1 新基準の適用開始日
各基準の適用範囲に該当する医療用具については、平成11年9月30日までは従前の旧42条基準に適合するものとして承認申請することも差し支えありません。ただし、平成11年10月1日以降に承認申請するものについては、原則として新基準に準拠して申請する必要があります。
旧基準に適合するものとして承認申請を行った場合、承認後に何らかの承認事項一部変更承認申請を行う際には合わせて新基準に準じた整備を行います。
3.2 旧42条基準を準用して承認を受けている製品
各基準の適用範囲外であるものの、旧42条基準を準用して承認を受けている医療用具についても、直ちに承認事項一部変更承認申請を行う必要はありません。ただし、今後何らかの承認事項一部変更承認申請を行う場合には合わせて適切な記載に整備することが求められます。また、平成11年9月30日までは旧基準を準用した申請も可能ですが、平成11年10月1日以降は新基準を準用する等、適切な記載とすることが求められます。
3.3 新基準への非適合品の取扱い
平成11年10月1日以降においても、新基準に適合しないものについては、局長通知の記の1に示されたとおり、個別に有効性・安全性・品質等についての資料の提出を求め、これに基づき審査・承認を行う仕組みは維持されます。
まとめ
本件の実務対応で最も重要なのは、承認申請書において新基準への適合を明確に記載し、適合表を漏れなく整備すること、そして平成11年10月1日以降は新基準への準拠が原則となる点を確実に押さえることです。特に、規格及び試験方法欄や原材料記載、滅菌条件の整理は、審査で差が出やすい重要ポイントです。
また、既存品については一部変更承認申請のタイミングで対応可能とはいえ、どのタイミングで新基準へ切替えるべきかの判断や、どこまで記載を見直すべきかで迷うケースが多く見られます。誤った対応は審査遅延や差戻しのリスクにも直結します。
弊社(一般社団法人薬事支援機構)では、血液セット・タンポン・縫合糸を含む各種医療機器の承認申請書作成支援、新基準対応レビュー、適合表作成支援など様々なサポートをしています。初回30分の無料相談も実施しておりますので、申請方針の確認や記載内容に不安がある場合は、お気軽にご相談ください。