概要
平成10年11月10日付の事務連絡(厚生省医薬安全局審査管理課)により、規制緩和として承認不要医療用具の範囲をさらに拡大する検討が進んでいることが示されました。 同年3月30日には薬事法施行規則の改正により一部品目が承認不要化されています。 今回はさらに30品目(案)の承認不要化を検討しており、都道府県等の意見を募集しています。 対象品目には、補聴器(空気電導式)、各種検査機器(眼底検査機器・視野計・脈波計等)、医用不織布ガーゼ、人工呼吸器付属品などが含まれます。 意見は平成10年11月末までに審査管理課あてに提出が必要であり、これ以外に承認不要化すべき品目についても意見を募集しています。

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1. 背景と経緯
1.1 医療用具の規制緩和の流れ
1990年代後半、日本では医療用具(現在の医療機器)に関する規制緩和が政策的に推進されていました。 医療用具のうちリスクが比較的低いものについては、承認を不要とすることで企業の負担を軽減し、製品の速やかな市場投入を実現することが目的とされていました。 特に、安全性が確立されており、使用方法も広く普及している製品については、承認手続きを義務付けることの合理性が問い直されました。
1.2 平成10年3月の施行規則改正
まず平成10年3月30日付で薬事法施行規則の一部が改正され、一部の医療用具について承認不要化の措置が講じられました。 今回の事務連絡は、その後のさらなる規制緩和の検討状況を示すものです。 追加30品目(案)の承認不要化を具体的に検討中であることを都道府県等に通知し、意見を求めています。
2. 承認不要化の検討対象品目(30品目案)
2.1 補聴器(空気電導式)4品目
補聴器については、空気電導式のものに限定して4種類が承認不要化の検討対象となっています。
- ポケット型補聴器(空気電導式)
- 耳掛け型補聴器(空気電導式)
- 耳穴型補聴器(空気電導式)
- 眼鏡型補聴器(空気電導式)
空気電導式に限定しているのは、骨導式に比べてリスクが低いと判断されているためです。 補聴器は日常的に使用される製品であり、承認不要化により市場への供給が迅速化されることが期待されます。
2.2 検査機器関連(眼科・内臓機能・脈波等)
検査機器については、診断機能を持たないものや体表面にのみ接触するものを中心に多数の品目が対象となっています。
眼科系検査機器として以下が対象です。
- 眼底検査機器
- 視野計
- 他覚式屈折視力検査機器
- 自覚式屈折視力検査機器
内臓機能検査系として以下が対象です。
- 心電図電話伝送装置
- 光刺激装置・音刺激装置(脳波計関連)
- 脳波データ処理装置(診断機能を有しないものに限る)
- 生体現象データ処理装置(診断機能を有しないものに限る)
- 心音計、心拍数計、脈拍数計、脈波計
センサー類として以下が対象です。
- 体温・いびき・体動・脈波・呼吸のセンサー(体表面にのみ接触するもの)
- パルスオキシメーター用センサー(体表面にのみ接触するもの)
2.3 その他の品目
その他にも以下の品目が承認不要化の検討対象として挙げられています。
- 医用不織布ガーゼ(基準に適合するものに限る等一定の条件を付す予定)
- 人工呼吸器の付属品(医療用コンプレッサーおよび呼吸回路に限る)
- 温浴療法用装置
- ベッド型マッサージ器・空気圧式マッサージ器
- 麻酔器の付属品(スタイレットおよび気道コネクタに限る)
- 電気刺激装置用電極(健常な皮膚にのみ接触するものに限る)
- 回転式肺活量計
- 骨セメント用ベントチューブ
- 人工鼻
- 鼻用酸素補給用カニューレ
3. 意見募集の概要と対応
3.1 意見提出の方法と期限
都道府県等からの意見は、以下の要領で提出します。
- 提出先: 厚生省医薬安全局審査管理課
- 提出方法: 郵便またはFAX(FAX: 03-3597-9535)
- 提出期限: 平成10年11月末まで
- 記載事項: 意見の内容および理由
別紙に掲げる品目以外に承認不要化すべき品目がある場合は、当該医療用具の概要がわかるパンフレット等を添付して意見を提出することが求められています。
3.2 品目追加意見の提出にあたっての留意点
別紙リスト以外の品目について承認不要化を求める意見を提出する場合は、以下の観点から論拠を整理することが効果的です。
- 製品のリスクレベルが低い根拠(体表面接触のみ、侵襲性なし等)
- 使用方法が確立されており安全性が実証されていること
- 主要国(米国・EU等)での規制状況との比較
- 国内での使用実績と不具合発生状況
3.3 今後の手続き
今回の事務連絡は意見募集の段階であり、意見収集後に薬事法施行規則の改正手続きが進められる見通しです。 実際に承認不要化が実施される際は、改めて施行規則の改正と都道府県への通知が行われます。 対象品目の製造販売業者や輸入業者は、施行規則改正の動向を注視し、承認不要化後の手続きへの準備を進めることが有効です。
4. 承認不要化の影響と実務対応
4.1 対象品目を製造販売する業者への影響
今回の検討対象品目を製造販売している業者にとって、承認不要化は手続きの簡素化と市場投入スピードの向上をもたらします。 承認申請には費用・時間・人員が必要であり、それらの負担が軽減されることで、より柔軟な製品開発・販売戦略が可能になります。 一方で、承認不要となった場合でも、製造販売業の許可および製品の安全性・品質の確保義務は引き続き課されます。
4.2 「条件付き」承認不要化に注意
今回の検討対象品目には、様々な条件が付されているものが多くあります。 代表的な条件として「基準に適合するものに限る」「診断機能を有しないものに限る」「体表面にのみ接触するものに限る」「空気電導式のものに限る」等が挙げられます。 これらの条件を満たさない製品は引き続き承認が必要となるため、自社製品が条件を充足するかどうかの確認が不可欠です。 施行規則改正時に公表される基準の内容を詳細に確認し、必要であれば審査管理課に照会することが推奨されます。
まとめ
今回の事務連絡では、補聴器や検査機器など30品目の承認不要化が検討されていることが示され、医療機器分野における規制緩和の流れがさらに加速しています。対象製品を取り扱う企業にとっては、承認申請の要否判断や市場投入戦略の見直しが重要な経営課題となります。
一方で、今回の承認不要化は「診断機能を有しない」「体表面接触に限る」などの条件付きで適用される点に注意が必要です。条件を誤って解釈した場合、意図せず承認対象となり、無承認リスクや行政指導につながる可能性もあります。自社製品が該当するかどうかは、通知内容・基準・仕様の精査を踏まえて慎重に判断する必要があります。
弊社(一般社団法人薬事支援機構)では、承認不要該当性の判断、PMDA相談対応、QMS体制整備まで一貫して支援しております。「この製品は承認不要になるのか?」「条件に該当しているか確認したい」といったご相談は、初回30分無料で対応可能です。規制緩和のタイミングをビジネスチャンスに変えるためにも、ぜひお気軽にご相談ください。