概要
平成11年8月4日、厚生省医薬安全局安全対策課長通知(医薬安第92号)により、ソフトコンタクトレンズ用消毒剤の添付文書に記載する使用上の注意の内容と構成が示されました。本通知は、日本コンタクトレンズ協会が作成した自主基準をもとにしており、記載項目の順序から具体的な記載例まで詳細に規定されています。コンタクトレンズ関連製品を取り扱う業者は、今後の添付文書作成にあたり本基準に従うことが求められます。

弊社(一般社団法人薬事支援機構)の無料相談のお問い合わせは「こちら」のリンクから。
1. 背景と策定経緯
1.1 業界団体による自主基準が通知の基礎に
本通知の背景には、日本コンタクトレンズ協会が主体となって作成した「ソフトコンタクトレンズ用消毒剤の添付文書への記載事項に関する自主基準」があります。同協会では従来から「コンタクトレンズ適正使用に関する取扱説明書記載事項の自主基準」を制定しており、今回の消毒剤向け自主基準と合わせることで、コンタクトレンズ使用者の安全性向上を図るとしています。
厚生省は同協会からの報告を受け、当該自主基準を行政通知として発出しました。業界の自主的な取り組みを行政が後押しする形となっています。
1.2 通知の目的
ソフトコンタクトレンズ用消毒剤の使用方法を誤ると眼感染症等が生じ、重篤な場合には失明に至る可能性があります。正確な使用情報を消費者に伝えるため、添付文書の記載内容と構成を標準化することが本通知の目的です。
2. 添付文書の記載原則
2.1 基本的な作成方針
添付文書は一般消費者に対して必要な情報を提供する目的で作成します。内容からみて重要な事項を前に配列し、原則として同じ内容が複数の項目にわたって重複しないようにします。
表現は一般使用者が理解しやすいよう平易で簡潔にします。図表やイラストを適宜活用し、重要な内容はゴシック体を用いるなどの工夫が推奨されます。文字の大きさは、使用上の注意・効能効果・用法用量・保管に関する事項については原則8ポイント以上とします。
3. 記載項目と順序
3.1 12の標準記載項目
添付文書に記載する項目とその順序は以下のとおりです。
- 添付文書必読及び保管に関する事項
- 使用方法の遵守に関する事項
- コンタクトレンズの取り扱いに関する事項
- 消毒の必要性に関する事項
- 当該消毒剤の使用方法に関する事項
- 使用上の注意
- 効能又は効果
- 用法及び用量
- 成分
- 保管及び取り扱い上の注意
- 消費者からの問い合わせ先について
- 製造業者又は輸入販売業者及び販売業者の氏名又は名称及び住所
項目7・8・9については相互に順序を変更しても差し支えありません。
4. 各項目の具体的な記載要領
4.1 必読・保管と使用方法遵守の強調(項目1・2)
添付文書の冒頭には「ご使用前に必ずこの説明書をよくお読みください」等の文言を枠囲いで掲載します。使用方法を誤ると洗浄・消毒が不完全となり、眼感染症や角膜潰瘍、最悪の場合は失明につながる旨も枠囲いで強調します。
4.2 消毒の必要性の説明(項目4)
ソフトコンタクトレンズには涙液中のタンパク質や脂質が付着し、そのまま放置すると細菌やカビの繁殖につながることを記載します。毎日の洗浄・すすぎ・消毒の重要性を消費者が理解できるよう説明します。
4.3 使用上の注意の3区分(項目6)
使用上の注意は「守らなければならないこと」「してはいけないこと」「相談すること」の3つに区分して記載します。
「守らなければならないこと」には以下の6点を記載します。
- 用法及び用量を厳守する旨
- レンズ取り扱い前の手洗いの徹底
- 必ず中和を行う旨(過酸化水素製剤等の場合)
- 中和後の液に24時間以上保存した場合の再消毒義務(過酸化水素製剤等の場合)
- 消毒終了後の容器の乾燥・保管方法
- 小児が使用する場合の保護者による監督
「してはいけないこと」には以下の6点を記載します。
- 内服してはいけない旨
- 消毒液を直接眼に入れてはいけない旨(過酸化水素製剤等の場合)
- 容器先端をコンタクトレンズや指先に接触させてはいけない旨
- 煮沸消毒に使用してはいけない旨・他の消毒剤と混用してはいけない旨
- 薬液を再使用してはいけない旨
- 使用期限を過ぎたものを使用してはいけない旨
「相談すること」には以下の2点を記載します。
- 使用前に眼科医への相談が必要なケース(過去に目のアレルギー症状がある人、眼科治療中の人等)
- 消毒済みレンズ装用中・後に異常が生じた場合の対処法(直ちにレンズを外して眼科医に相談)
4.4 成分の記載方法(項目9)
有効成分の名称および分量、添加剤の使用目的(緩衝剤・安定化剤・等張化剤・pH調整剤等)、医薬部外品の表示指定成分の名称を記載します。
4.5 保管・取り扱い上の注意(項目10)
小児の手が届かない場所への保管、温度・日光・湿度に関する注意事項、他の容器への移し替え禁止を記載します。専用容器を使用する消毒剤については、当該消毒剤は他の容器では使用できない旨および当該容器は他の消毒剤では使用できない旨も記載します。
4.6 問い合わせ先の明示(項目11)
消費者が問い合わせ・相談を行う際の企業側の窓口・電話番号・対応時間を記載します。
5. 実務上の留意点
現在流通しているソフトコンタクトレンズ用消毒剤の添付文書が本通知の要件を満たしているかを確認し、不足している項目や記載順序の誤りがあれば修正します。過酸化水素製剤のような中和が必要な製品とそうでない製品では必要な記載内容が異なるため、通知中の「(過酸化水素製剤等の場合)」との注記を参考に、自社製品に該当する項目を漏れなく記載することが重要です。
まとめ
ソフトコンタクトレンズ用消毒剤の添付文書は、医薬安第92号通知に基づき、12の標準項目を適切な順序で記載することが求められます。特に「使用上の注意」は3区分での整理が必須であり、記載漏れや表現不備は安全性リスクだけでなく、薬機法対応上の不備にも直結します。
実務では、既存添付文書が現行基準に適合しているかの確認や、過酸化水素製剤など製品特性に応じた記載の最適化が重要です。しかし、通知要件の解釈や具体的な記載内容の落とし込みに悩むケースも少なくありません。
弊社(一般社団法人薬事支援機構)では、添付文書の記載内容チェック、薬機法対応の妥当性確認、PMDAを見据えた実務支援まで対応しております。ソフトコンタクトレンズ用消毒剤の表示・申請対応でお困りの際は、ぜひお気軽にご相談ください。初回30分の無料相談も承っております。