概要

厚生労働省は令和7年6月30日、「医薬品等輸入確認要領」の一部改正を発表しました。この改正は、行政手続のデジタル化・ペーパーレス化の推進と、急増する輸入確認手続件数への対応を目的としています。

改正の最大のポイントは、原則として医薬品等輸入確認情報システムによるオンライン申請を義務化することです。これにより、輸入確認手続の迅速化と効率化が期待されます。

本改正は令和7年7月1日から適用され、医薬品、医療機器、化粧品等を輸入する事業者や個人に大きな影響を与えることになります。

1. 改正の背景と目的

1.1 デジタル化の推進

政府全体で進められている行政手続のデジタル化・ペーパーレス化の一環として、医薬品等の輸入確認手続においても電子化が推進されることになりました。これまで書面による申請も可能でしたが、今後は特段の理由がない限り、オンライン申請が原則となります。

1.2 手続件数の急増への対応

近年、医薬品等の輸入確認手続件数が急激に増加しています。この状況下でも迅速かつ厳正に輸入確認を実施するため、システムの活用による業務効率化が不可欠となっています。

1.3 更なる利用促進

医薬品等輸入確認情報システムは既に運用されていますが、その利用率をさらに向上させることで、申請者・行政双方の負担軽減を図ります。

2. 主な改正内容

2.1 オンライン申請の原則化

改正の核心は、特段の理由がない場合は原則として医薬品等輸入確認情報システムによって輸入の確認を申請することが明記された点です。

これまでは書面による申請とオンライン申請が選択可能でしたが、今後は以下のような場合を除き、オンライン申請が必須となります。

  • システム障害等でオンライン申請が不可能な場合
  • 申請者側に真にやむを得ない事情がある場合
  • その他、地方厚生局が認める特別な事情がある場合

2.2 個人輸入における重点確認事項

個人輸入に関しては、以下の医薬品等について特に厳格な確認が行われます。

数量にかかわらず確認が必要な医薬品

  • 令和7年2月10日付け通知で指定された医薬品
  • 脳機能向上等を標ぼうする医薬品(スマートドラッグ等)

これらの医薬品を輸入する場合は、数量に関係なく必ず輸入確認が必要となります。

2.3 医療従事者による輸入

医療従事者が自己の患者の診断・治療用に輸入する場合も、以下の点が明確化されました。

  • 輸入した医薬品等の使用について患者への説明責任
  • 健康被害のおそれがある医薬品等については、その事実を把握した上での輸入判断
  • 一切の責任を医療従事者が負うことの確認

3. 申請手続の詳細

3.1 オンライン申請の流れ

  1. 医薬品等輸入確認情報システムへのアクセス
  2. 必要書類の電子ファイル準備
    • 申請書情報の入力
    • 添付書類のPDF化
    • invoice、航空運送状等のスキャン
  3. システムへの入力・アップロード
    • 品目情報、数量、輸入目的等の入力
    • 必要書類のアップロード
    • 内容確認後、申請送信
  4. 審査・確認
    • 地方厚生局による審査
    • 必要に応じて追加資料の要求
    • 問題なければ輸入確認番号の発行

3.2 書面申請が認められる場合

特段の理由により書面申請が認められる場合でも、従来通り以下の書類が必要です。

  • 輸入確認申請書(様式第97の3)正副2通
  • 目的に応じた添付資料各1通
  • 商品説明書、臨床試験計画書等

3.3 代行申請における注意点

輸入者本人以外が申請手続を代行する場合、新たに以下の対応が必要となります。

  • システム内での承認:輸入者本人がシステム内で代行者の申請内容を承認
  • 権限設定:代行者に対する申請権限の事前設定
  • 委任状の添付:書面申請の場合は従来通り委任状(様式10)が必要

4. 事業者・個人への影響と対応

4.1 事業者への影響

製造販売業者・製造業者

  • システム利用のための社内体制整備
  • 電子化に対応した文書管理体制の構築
  • 担当者へのシステム操作教育

輸入代行業者

  • 顧客(輸入者)との連携強化
  • システム上での権限管理の明確化
  • 電子化に対応した業務フローの見直し

4.2 個人輸入者への影響

  • インターネット環境の確保が必須
  • 基本的なPC操作スキルが必要
  • 電子ファイル(PDF等)の作成・管理能力

4.3 準備すべき事項

改正施行(令和7年7月1日)に向けて、以下の準備を推奨します。

  1. システム環境の確認
    • 推奨ブラウザの確認
    • PDFファイル作成環境の整備
    • スキャナー等の機器準備
  2. 操作習熟
    • システム操作マニュアルの確認
    • テスト環境での練習(可能な場合)
    • 問い合わせ先の確認
  3. 社内体制の整備(事業者の場合)
    • 責任者・担当者の明確化
    • 業務フローの見直し
    • 関連部署との連携体制構築

まとめ

今回の医薬品等輸入確認要領の改正は、行政手続のデジタル化を推進する中で、事業者・個人のいずれにとっても重要な制度変更となります。中でも「オンライン申請の原則化」や「個人輸入に関する厳格な確認事項の明確化」、「代行申請時の新たな手続」は、多くの関係者に実務対応の見直しを迫る内容です。

本改正への対応に不安がある方、申請実務について具体的なサポートが必要な方は、ぜひ弊社までお気軽にご相談ください。

  • システム操作の実務支援
  • 書面申請や代行申請の要件確認
  • 社内体制整備に関するアドバイス
  • 輸入に関する注意点の解説

等、改正への対応を丁寧にサポートいたします。

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