概要
令和7年9月3日、厚生労働省医薬局医療機器審査管理課長より、医薬機審発0903第1号として希少疾病用医療機器の指定に関する通知が発出されました。本通知では、京セラ株式会社が申請した「義眼台 Eyestage PE」が希少疾病用医療機器として指定されたことが公表されています。希少疾病用医療機器制度は、患者数が少ない疾病に対する医療機器の開発を促進するための施策であり、薬機法第77条の2の規定に基づいて運用されています。

弊社(一般社団法人薬事支援機構)の無料相談のお問い合わせは「こちら」のリンクから。
1. 希少疾病用医療機器制度の概要
1.1 制度の目的
希少疾病用医療機器制度は、薬機法第77条の2第1項の規定に基づいて設けられた制度です。患者数が少なく市場性が低いために開発が進みにくい希少疾病を対象とした医療機器の開発を促進し、患者への治療機会を提供することを目的としています。国が希少疾病用医療機器として指定することで、開発支援措置を講じ、医療機器の実用化を後押しします。
1.2 希少疾病用医療機器の定義
希少疾病用医療機器とは、対象患者数が本邦において5万人未満であり、かつ医療上特にその必要性が高いと認められる医療機器を指します。医療上の必要性とは、代替する医療機器や治療法が存在しない、または既存の治療法と比較して有効性や安全性において明らかな改善が期待できることを意味します。
2. 指定要件と手続き
2.1 指定の要件
指定を受けるためには、対象患者数が本邦において5万人未満であり、医療上特にその必要性が高いことが求められます。また、開発計画が科学的に合理的であり、実現可能性が認められることも判断要素となります。
2.2 申請手続き
医療機器の製造販売を行おうとする者が、独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)を経由して厚生労働大臣に指定申請書を提出します。申請書には、医療機器の名称、使用目的、対象疾病の患者数に関する資料、医療上の必要性を示す資料、開発計画に関する資料などが含まれます。PMDAは申請資料の科学的妥当性について審査を行い、厚生労働大臣が指定の可否を決定します。指定が認められると、指定番号が付与され、各都道府県衛生主管部(局)長宛に通知が発出されます。
3. 今回の指定内容
3.1 指定番号と申請者
今回指定された希少疾病用医療機器の指定番号は(R7機)第37号です。申請者は京セラ株式会社であり、同社が開発した医療機器が希少疾病用医療機器として認められました。京セラ株式会社は、セラミックス技術を核とした事業を展開する企業であり、医療機器分野においても人工関節や歯科インプラントなどの製品開発で実績を有しています。
3.2 医療機器の概要
指定された医療機器の名称は「義眼台 Eyestage PE」です。本品の使用目的は、不足している眼窩内容積を補うために用いるとされています。眼窩とは眼球が収まっている骨性の空間を指し、外傷や腫瘍摘出、先天性の疾患などにより眼球を失った場合、眼窩内の容積が不足することがあります。義眼台は、眼球摘出後に眼窩内に埋植される人工物であり、義眼の動きをより自然にするとともに、眼窩の形態を維持する役割を果たします。
4. 希少疾病用医療機器指定のメリット
4.1 開発支援と優先審査
指定を受けることで、開発企業はPMDAによる優先的な開発相談を受けることができます。プロトコル相談や試験計画相談などを通じて、開発戦略に関する科学的助言を得ることが可能です。また、製造販売承認申請時には優先的な審査を受けることができ、通常の医療機器と比較して審査期間の短縮が図られます。
4.2 助成金制度
希少疾病用医療機器の開発を促進するため、国は研究開発費用に対する助成金制度を設けています。PMDAが実施する「希少疾病用医療機器の開発に係る試験研究費助成金」により、指定を受けた医療機器の開発に要する費用の一部が助成されます。助成対象となる費用には、非臨床試験費用、臨床試験費用、製造方法の確立に要する費用などが含まれます。
まとめ
希少疾病用医療機器制度は、患者数が少なく市場性の観点から開発が進みにくい医療機器について、指定要件を満たすことで優先審査や助成金などの支援を受けながら実用化を目指せる重要な制度です。今回の京セラ株式会社「義眼台 Eyestage PE」の指定事例は、対象患者数の考え方、医療上の必要性の整理、開発計画の妥当性が指定判断において重要であることを示しています。
一方で、実務上は「自社製品が希少疾病用医療機器に該当するのか」「患者数や医療上の必要性をどこまで根拠立てて説明すべきか」「PMDA相談や指定申請の進め方が分からない」といった悩みを抱える企業も少なくありません。指定の可否は初期戦略で大きく左右されるため、早期の検討と整理が重要です。
弊社(一般社団法人薬事支援機構)では、希少疾病用医療機器の該当性整理、指定要件の確認、PMDA相談戦略の立案、指定申請資料の作成支援など、実務に即したサポートを行っています。希少疾病用医療機器の指定や開発戦略でお悩みの際は、ぜひお気軽にお問い合わせください。