概要

令和7年11月7日、厚生労働省医薬局監視指導・麻薬対策課長から、都道府県等の薬務主管部(局)長に対して、家庭用医療機器の適正な広告に関する監視指導の強化を求める通知が発出されました。本通知は、医療機器の販売業者による家庭用電位治療器の虚偽・誇大広告事案を受けて発出されたもので、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(薬機法)に基づく適正な広告の徹底を求める内容となっています。同日付で一般社団法人日本ホームヘルス機器協会会長に対しても、業界全体での法令遵守体制の整備と適正な広告実施の周知徹底を求める通知が発出されています。

1. 本通知の背景と経緯

1.1 違反事案の発生

医療機器の販売業者が家庭用電位治療器について、薬機法第66条第1項の規定により禁止されている虚偽・誇大広告に該当する広告を行っていた事案が確認されました。この事案に対して、厚生労働省は薬機法第72条の5第1項の規定に基づく措置命令を実施しました。

1.2 通知発出の目的

本通知は、医療機器に対する国民の信頼を失墜させかねない違反事案の発生を受けて、家庭用医療機器に係る広告について適正な監視指導の実施を求めるために発出されました。「薬事監視指導要領」及び「薬局、医薬品販売業等監視指導ガイドライン」の改正について(令和3年7月30日付け薬生発0730第1号)の別添2「薬局、医薬品販売業等監視指導ガイドライン」を踏まえた監視指導の徹底が求められています。

2. 確認された違反事案の詳細

2.1 違反の具体的内容

当該販売業者は、全国各地の営業所に家庭用電位治療器を設置し、来場した一般消費者に対して広告を行っていました。その広告内容は、あたかも本件製品を継続して使用することにより、認証された使用目的又は効果だけでなく、他の特定の疾病又は症状も緩解又は治癒し、また、他の特定の疾病又は症状を予防できるかのように示すものでした。医療機器は、その安全性と有効性が科学的に確認された範囲内でのみ効能効果を標ぼうすることが認められており、それを超える広告は薬機法で厳格に禁止されています。

2.2 適用された法的措置

本事案において、当該販売業者に対しては、薬機法第72条の5第1項の規定に基づく措置命令が実施されました。薬機法第72条の5第1項は、厚生労働大臣又は都道府県知事等が、医療機器の製造販売業者や販売業者等に対して、業務の運営の改善に必要な措置を命じることができる旨を規定しています。本事案では、虚偽・誇大広告という重大な違反行為が認められたため、この規定に基づく措置命令が発出されました。

3. 家庭用医療機器の広告規制

3.1 薬機法における広告規制

薬機法第66条第1項では、医薬品、医療機器等の名称、製造方法、効能、効果又は性能に関して、明示的であると暗示的であるとを問わず、虚偽又は誇大な記事を広告し、記述し、又は流布することが禁止されています。家庭用医療機器は一般消費者が直接購入して使用する機器であるため、その広告内容が消費者の購買判断に大きな影響を与えます。広告内容の適正性を確保することは、消費者保護の観点から極めて重要です。

3.2 認証範囲を超える広告の禁止

医療機器は、その製品ごとに承認又は認証を受けた使用目的、効能又は効果の範囲内でのみ、その効果を広告することが認められています。家庭用電位治療器の場合、認証された効能効果は限定されており、それを超えて特定の疾病の治癒や予防を標ぼうすることは、たとえ暗示的な表現であっても薬機法違反となります。消費者に対して誤解を与える可能性のある表現は、慎重に避ける必要があります。

4. 監視指導の強化と業界への要請

4.1 行政当局への要請内容

厚生労働省は都道府県等の薬務主管部(局)長に対して、家庭用医療機器に係る広告について、「薬局、医薬品販売業等監視指導ガイドライン」を踏まえた適正な監視指導を実施することを要請しています。また、管轄区域内の医療機器販売業者に対して、薬機法に基づく広告規制の内容を周知徹底し、違反行為の未然防止を図ることも重要な要請事項です。

4.2 業界団体への周知徹底要請

同日付で発出された一般社団法人日本ホームヘルス機器協会会長宛ての通知(医薬監麻発1107第1号)では、本事案について一事業者が起こした不祥事と捉えるのではなく、業界全体として真摯に受け止めることの重要性が強調されています。協会の会員事業者に対して、家庭用医療機器に係る法令遵守体制の整備及び適正な広告の実施について周知徹底を図ることが要請されています。業界団体による自主的な取り組みは、行政による監視指導と相まって、家庭用医療機器の適正な広告の実現に寄与するものです。

まとめ

本通知は、家庭用電位治療器における虚偽・誇大広告事案を受け、家庭用医療機器全般の広告について薬機法に基づく監視指導を強化する方針を明確にした重要な行政対応です。特に、承認又は認証された効能効果の範囲を超えた表現や、特定の疾病の治癒・予防を想起させる広告は、意図の有無にかかわらず薬機法第66条違反と判断されるリスクが高く、販売業者・製造販売業者には一層慎重な対応が求められています。

一方で、広告に該当する範囲の判断や、説明会・体験イベント、WebサイトやSNSでの表現が適法かどうかについて、実務上の判断に悩む事業者は少なくありません。家庭用医療機器は一般消費者を対象とするため、広告表現が購買行動に与える影響が大きく、近年は行政・業界双方からのチェックも厳格化しています。

弊社(一般社団法人薬事支援機構)では、家庭用医療機器をはじめとする製品の広告表現について、薬機法や最新の行政通知を踏まえた実務的な確認・整理を行い、指導リスクを低減するための支援を提供しています。「この表現は広告違反にならないか」「販売現場での説明は問題ないか」など、少しでも不安がある場合は、問題が顕在化する前の事前相談が重要です。広告規制対応や社内ルール整備でお困りの際は、ぜひお気軽にお問い合わせください。

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