概要

平成30年6月12日に発出された本通知(薬生機審発0612第4号)は、歯科用医療機器の製造販売承認申請等に際して添付すべき生物学的安全性評価等に関する資料の取扱いについて、国際標準化機構(ISO)規格および日本工業規格(JIS)との整合化を図るため、既存のガイドラインを改正したものです。適用期日は平成30年6月12日以降ですが、平成31年6月11日までは一部について経過措置が設けられています。

1. 生物学的安全性評価の基本原則

1.1 リスクマネジメントに基づくアプローチ

生物学的安全性評価は、JIS T 14971「医療機器-リスクマネジメントの医療機器への適用」のリスクマネジメントプロセスに基づいて行います。意図する使用目的および歯科用医療機器の安全性に関する特質を明確化し、既知または予見できるハザードを特定し、各ハザードのリスクを推定します。

試験で陽性結果が得られた場合でも、それは直ちに当該機器の不適を意味しません。陽性結果はハザードが検出されたことを示すものであり、安全性は総合的なリスク評価により判断されます。

1.2 国際基準の活用

生物学的安全性評価は、ISO 10993「医療機器の生物学的評価」規格群およびISO 7405(JIS T 6001)に準拠して行います。個々の機器の接触部位と接触期間に応じて必要な評価項目を選定し、適切な試験法を選定します。

2. 評価項目の選択基準

2.1 接触部位によるカテゴリ化

歯科用医療機器は接触部位に応じて分類されます。非接触機器は患者の身体に触れない機器、表面接触機器は皮膚・口腔粘膜・歯の硬組織の外面に接触する機器です。体内と体外とを連結する機器は口腔粘膜、歯の硬組織、歯髄組織または骨に侵入または接触するものです。体内植込み機器は軟組織、骨、歯髄象牙質系などに埋め込む歯科用インプラント等を指します。

2.2 接触期間によるカテゴリ化

接触期間は、累積24時間以内を一時的接触、24時間超~30日以内を短・中期的接触、30日超を長期的(永久)接触として分類します。複数のカテゴリにあてはまる場合は、より長時間のカテゴリを適用します。

2.3 主要評価項目

接触部位と接触期間に応じて、細胞毒性、遅延型過敏症(感作性)、皮膚刺激性、急性全身毒性、亜急性全身毒性、遺伝毒性、埋植試験などを評価します。体内植込み機器で長期的接触となるものは、より多くの評価項目が必要です。

3. 試験方法と試験試料

3.1 試験方法の選択

各試験法ガイダンスには評価項目ごとに多様な試験法が記述されています。どの試験法を選択すべきかは、試験の原理、感度、定量性、再現性などを勘案して決定します。細胞毒性試験では感度が高く定量性のある方法を、遅延型過敏症試験および遺伝毒性試験では抽出率の高い溶媒を選択することが重要です。

3.2 使用模擬試験

歯科用医療機器の中には使用模擬試験により評価すべきものがあります。歯髄・象牙質使用模擬試験、覆髄試験、根管充塡使用模擬試験、人工歯根使用模擬試験などがあり、各機器の特性に応じて適用します。

3.3 試験試料の選択

試験試料としては最終製品、製品、原材料があり、最終製品の安全性を評価できるかを検討して選択の科学的妥当性を示します。用時加工・調製される歯科材料については練和直後および硬化後の両方の状態での試験を考慮します。

4. 再評価が必要となる場合

供給元または規格の変更、原材料の種類・配合量・製造工程・滅菌方法の変更、用時加工・調製方法の変更、保存中の変化、使用目的の変更、有害事象に関する知見が得られた場合には、生物学的安全性評価を改めて行う必要があります。

ただし、溶出物の量が毒性学的見地から無視しうる場合や、その毒性が既知で受け入れられるものである場合など、生物学的安全性において同等と判断される場合には試験の再実施は不要です。

まとめ

本通知(薬生機審発0612第4号)は、歯科用医療機器の製造販売承認申請等における生物学的安全性評価の考え方を、ISO 10993群やISO 7405(JIS T 6001)と整合させる目的で改正した重要な通知です。接触部位・接触期間に応じた評価項目の選定、試験方法・試験試料の妥当性の説明、使用模擬試験の要否など、歯科材料・歯科機器特有の判断が求められます。

特に実務では、「どの試験項目を実施すべきか」だけでなく、「なぜその試験で足りるのか(不足しないのか)」を合理的に説明できるかが審査上のポイントになります。また、材料・工程・滅菌条件・配合などの変更時に、再評価が必要か/不要かの判断を誤ると、申請の手戻りや追加試験につながるリスクもあります。

弊社(一般社団法人薬事支援機構)では、歯科用医療機器・歯科材料に関する生物学的安全性評価(ISO10993/7405)の整理、申請用資料の作成支援、試験戦略(不足試験の回避・追加試験の最小化)などサポート可能です。承認申請前の確認、変更時の再評価判断、試験計画の妥当性チェックをご希望の方は、お気軽にお問い合わせください。

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