概要
本通知は、平成26年11月21日に厚生労働省大臣官房参事官(医療機器・再生医療等製品審査管理担当)から発出された「薬食機参発1121第41号」です。平成25年11月27日に公布された薬事法等の一部を改正する法律(平成25年法律第84号)による改正後の「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」(薬機法)が平成26年11月25日から施行されることに伴い、法第23条の2の13第1項の規定に基づく医療機器の製造販売届出の取扱いについて示されたものです。
本通知の適用により、従来の「医療機器の製造販売届出に際し留意すべき事項について」(平成17年3月31日付け薬食機発第0331002号)は廃止されました。一般医療機器(クラスI)の製造販売届出を行う際には、本通知に従って届出書の各欄を正確に記載する必要があります。
1. 製造販売届出書の基本的記載事項
医療機器製造販売届出書は、施行規則様式63の21(1)に基づいて作成します。届出書には多くの記載項目がありますが、まず基本的な事項について確認していきます。
1.1 製造販売業の許可に関する事項
届出を行う者は、自社が保有する製造販売業許可の種類を記載します。医療機器の製造販売業許可には第一種、第二種、第三種の3種類があり、一般医療機器の届出は第三種製造販売業許可でも行うことができます。
また、製造販売業許可番号とその許可年月日も正確に記載する必要があります。許可番号は都道府県コードと連番で構成されており、届出書の信頼性を担保する重要な情報です。
1.2 類別の記載方法
類別は、「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律施行令」別表第1に従って記載します。各類別への該当性については、いわゆる「クラス分類通知」(平成16年7月20日付け薬食発0720022号)の別添を参考にして判断します。
一品目が複数の類別にまたがる場合は、名称欄に記載する一般的名称から判断した類別を記載することとされています。例えば、複数の機能を持つ医療機器であっても、主たる機能に基づいて類別を決定します。
2. 名称欄と使用目的又は効果欄の記載要領
2.1 一般的名称の記載
一般的名称は、クラス分類通知の別添に記載される定義に基づいて記載します。一般的名称の定義への適合は、クラス分類通知の別紙1に示すクラス分類ルール等を踏まえて判断することが求められます。
一品目中に複数の一般的名称が含まれる場合であって、品目全体を総称した一般的名称がない場合は、主たる使用目的又は性能から判断した一般的名称を記載します。この場合、記載しなかった一般的名称は備考欄に記載する必要があります。
2.2 販売名の設定
販売名については、以下の要件を満たす必要があります。
- 当該医療機器の性能等に誤解を与え保健衛生上の危害を発生するおそれがないこと
- 医療機器としての品位を保つものであること
- 他の用途を想定させるような名称でないこと
原則として「一物一名称」ですが、妥当な理由により一物多名称のものを届け出る場合は、その説明資料を届出書に添付します。ただし、販売名ごとに製造販売届出を行う必要がある点に注意が必要です。
2.3 使用目的又は効果の記載
当該品目の使用目的又は効果について、クラス分類通知の一般的名称の定義の範囲内で記載します。定義の範囲を逸脱した使用目的を記載することはできません。逸脱する場合は、別の一般的名称を検討するか、承認申請が必要となる可能性があります。
3. 形状・構造・原理欄と原材料欄の記載要領
3.1 形状、構造及び原理の記載
この欄には、当該医療機器の外観形状、構造、原理、各構成部品又はユニット、電気的定格、各部の機能等を、どのような品目であるのか分かりやすく記載します。
「使用目的又は効果」に影響を与えることがない付帯的な機能を有する場合は、その内容を説明します。また、形状が粉状又は液状の医療機器については、形状としてその区別を記載することが求められます。
他の製造販売届出を行った医療機器との組合せである医療機器については、その医療機器の該当する一般的名称の定義から逸脱しない使用目的等である場合に限り、原則として省略することができます。この場合、当該欄には該当する構成医療機器の名称を記載し、構成医療機器に関する製造販売届出番号等の記載事項は「製造方法」欄に記載します。
3.2 原材料の記載
原材料欄には、形状、構造及び原理欄において記載した内容との対応関係が明確となるように原材料等を正確に記載し、その規格を明らかにします。
血液・体液・粘膜等に接触(直接・間接を問わない)せず、かつ、性能に大きく影響しない部品又は材料については、簡潔な記載で差し支えないとされています。特に記載を要する原材料がない品目においては空欄とします。
4. 性能・安全性規格欄と使用方法欄の記載要領
4.1 性能及び安全性に関する規格
この欄には、品質、安全性及び有効性の観点から、本品の要求事項として求められる設計仕様のうち、「形状、構造及び原理」欄に該当しない事項を記載します。
これらの内容は、主に設計段階の検証により得られた製造販売時における当該品目の品質、安全性及び有効性を保証した内容です。品質、安全性(物理的・化学的・生物学的安全性を含む)及び有効性(性能、機能)の観点から求められる規格等を設定します。JIS規格、国際基準等、参照できる規格・基準がある場合はその規格・基準を記載します。
4.2 使用方法の記載
使用方法については順を追って、必要に応じ図解する等により、分かりやすく記載します。
未滅菌製品で使用に際して必ず滅菌した上で使用すべき製品にあっては、その旨及び滅菌方法、滅菌条件(薬剤、ガス等を含む)を記載します。
他の医療機器と組み合わせて使用する場合であって、有効性及び安全性の確保のために特定の条件を満たす機器と併用しなければならない場合は、組み合わせて使用する機器の条件を記載した上で、当該機器を含めた使用方法を説明します。
再滅菌を行って繰り返し使用することを前提とする医療機器にあっては、その旨と再滅菌の方法を記載することが必要です。
4.3 保管方法及び有効期間
特定の保管方法によらなければその品質を確保することが困難であるか、又は経時的に品質の低下をきたし有効期間を定める必要がある製品について記載します。有効期間が3年を超えるものについては有効期間の記載は要しません。
保管方法については、冷暗所等一定の条件の下に保管しなければ、変質、劣化等が起こり得る製品については、その保管方法、条件を記載します。
5. 製造方法欄と製造所欄の記載要領
5.1 製造方法の記載
製造方法欄には以下の事項を記載します。
各製造工程に係る登録製造所が単一でない場合等、各工程の関係について誤認が生じないよう、各登録製造所の関係について分かりやすく記載します。工程ごとの記載や工程フロー図等は原則として記載しなくてよいとされています。
工程の製造加工条件によって製品の使用目的、性能等が影響を受ける品目にあっては、登録製造所以外の施設が行う工程であっても、その製造加工条件の記載を行うか、若しくは「原材料」欄に加工の目的、加工後の仕様を記載します。
滅菌医療機器にあっては、滅菌方法、引用する滅菌バリデーション基準を記載します。本体と構成部品で滅菌が異なる場合は、それぞれの滅菌方法を明確にします。「製造販売する品目の製造所」欄に記載する滅菌方法が放射線又はその他である場合は、「製造方法」欄に滅菌方法を具体的に記載します。
構成部品単体で医療機器として製造販売届出を行っているものを組み込む場合、当該構成医療機器の製造販売業者の氏名、製造販売届出番号、販売名、並びに構成品の名称を記載します。
5.2 製造販売する品目の製造所欄
製造販売する品目に関して、登録を受けた製造所ごとに、製造所の名称、製造業登録番号、製造工程を記載します。
製造工程に関しては、施行規則第114条の8の各号に基づき、「主たる組立て」(第3号イ等)、「滅菌」(第3号ロ)、「保管」(第2号ロ等)の別を、該当する製造所ごとに記載します。また、滅菌については、放射線、EOG(エチレンオキサイドガス)、湿熱、その他の別を製造所ごとに記載します。
製造所欄の記載例として、通知の別紙では以下のようなパターンが示されています。
- 製造工程ごとに製造所が異なる場合(組立て、滅菌、保管が別々の工場)
- 一つの製造所で複数の製造工程を有する場合(組立てと保管が同一工場)
- 主たる組立ての登録製造所が2か所ある場合
5.3 備考欄の記載事項
備考欄には以下の事項を記載します。
製造販売業者自らが当該品目に係る製造販売届出番号を定め、記載します。製造販売届出番号は、製造販売業許可番号の後に製造販売届出順に000001番から連番で付番するなど16桁の品目固有の番号となるように付番します。6桁で番号が不足する場合などにおいては、数字の代わりにアルファベットを使用しても差し支えありません。
その他、特定保守管理医療機器に該当する場合はその旨、単回使用の場合はその旨、新規原材料を含有する場合はその旨を記載します。複数の一般的名称が含まれる場合は、「名称」欄に記載しなかった一般的名称を記載します。
当該品目が他の医療機器の一部として他の品目の製造工程において使用される場合は、「製造専用として使用されうる医療機器」と記載します。
また、当該品目の外観が把握できるような写真を添付すること、当該品目が該当する一般医療機器の定義に該当することについて説明した資料を添付することが求められます。
6. その他の留意事項
6.1 添付文書案の添付
製造販売届出には、施行規則第114条の47第3項の規定に基づき当該製品の添付文書案を添付する必要があります。添付文書は使用者に対する重要な情報提供手段であり、届出時点で案を準備しておく必要があります。
6.2 新医療機器である一般医療機器の取扱い
一般医療機器の一般的名称の定義の範囲内のものであっても、新医療機器に該当するものに関しては、製造販売承認申請が必要です。当該新医療機器の承認時において使用成績評価の対象とされた品目については、当該調査期間の終了後、承認整理を行うとともに、製造販売届出を行います。
6.3 鋼製小物等の品目の考え方
メス、ピンセット、縫合針等(いわゆる鋼製小物)のように、その使用者の使いやすさの向上を目的に使用者の求めに応じて形状に変化を付けることが前提のものについては、その材質に変更がない限りにおいて、当該品目が対象とする使用部位が変更にならない範囲において、1品目として取り扱って差し支えないとされています。ただし、当該品目が対象とする使用部位を特定しておく必要があります。
6.4 届出事項の変更と品目の廃止
製造販売届出事項に変更があった場合、届け出なければならない変更の範囲については、製造販売承認における承認事項の一部変更の範囲及び軽微変更届での範囲に準じた取扱いとなります。
製造販売届出を行った品目について製造販売を廃止した際は、医療機器製造販売届出事項変更届(施行規則様式第40)の変更事項に当該品目の製造販売を廃止した旨を記載した上で、廃止後30日以内に独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)に提出します。
6.5 基本要件基準への適合
製造販売届出される医療機器については、基本要件基準(法第41条第3項に基づき厚生労働大臣が定める医療機器の基準)に適合している必要があります。
当該品目の届出を行った製造販売業者は、「医療機器の製造販売承認申請書添付資料概要作成の手引きについて」(平成17年2月16日付け通知)を参考に、当該品目に係る技術文書の概要(Summary Technical Documentation:STED)を作成し、製造販売業者の主たる事業所及び当該品目の製造所において保管することが望ましいとされています。
一般医療機器に関しても、品目によっては、別途通知により基本要件基準への適合の判断基準を示す場合があることに留意が必要です。
まとめ
本通知「医療機器の製造販売届出に際し留意すべき事項について」は、一般医療機器(クラスI)の製造販売届出を行うすべての事業者にとって、実務の基準書ともいえる重要な通知です。届出書の各欄について、記載すべき内容や考え方が詳細に示されており、形式的な手続きであっても誤りや解釈違いが許されない点に注意が必要です。
特に、一般的名称の選定、使用目的又は効果の記載範囲、販売名の妥当性判断、製造所欄の工程整理、基本要件基準やSTED対応の考え方は、実務上つまずきやすいポイントです。クラスIであっても、内容次第では承認・認証が必要となるケースや、後日の指摘・差戻しにつながるリスクも存在します。
弊社(一般社団法人薬事支援機構)では、医療機器の製造販売届出の可否判断、届出書記載内容の確認・修正、一般的名称の整理、基本要件基準・技術文書対応まで、実務に即した支援を行っています。
「この製品は届出で本当に問題ないのか」「記載内容が通知の趣旨に合っているか不安」といった場合は、早い段階でのご相談がトラブル防止につながります。製造販売届出やクラスI該当性の判断でお悩みの方は、お気軽に弊社までお問い合わせください。