概要

本通知は、医薬品医療機器等法(薬機法)に基づき、すでに製造販売の承認を取得していた医療機器が、新たに認証基準が定められたことにより「指定高度管理医療機器」または「指定管理医療機器」に移行する場合の手続きを定めたものです。

医療機器の規制区分が承認から認証に変更される場合、製造販売業者は登録認証機関に対して認証申請を行う必要があります。本通知では、この移行手続きを円滑に進めるため、認証申請書の作成方法、添付すべき資料、QMS適合性調査の取扱い、認証番号の付与方法など、実務上必要な事項が詳細に規定されています。

特に、すでに製造販売の実績がある医療機器については、添付資料の一部が簡略化されており、承認から認証への移行に伴う事業者の負担軽減が図られています。

1. 本通知の適用範囲

1.1 対象となる医療機器

本通知の適用対象は、以下の条件をすべて満たす医療機器です。

まず、法第23条の2の5第1項の規定に基づき、すでに製造販売の承認を取得していることが前提となります。なお、旧薬事法第14条第1項に基づく承認を取得していた医療機器も対象に含まれます。

次に、法第23条の2の23第1項の規定に基づき、厚生労働大臣が基準を定めて指定する高度管理医療機器または管理医療機器として新たに指定されたものであることが必要です。

本通知では、これらの条件を満たす医療機器を「対象医療機器」と定義しています。

1.2 移行の背景

医療機器の規制においては、リスクに応じた合理的な審査制度が求められています。承認制度は厚生労働大臣(実務上はPMDA)による審査が必要ですが、認証制度では民間の登録認証機関による審査で製造販売が可能となります。

認証基準が新たに整備された医療機器については、より効率的な認証制度への移行が可能となり、審査の迅速化と事業者の負担軽減につながります。

2. 認証申請書の作成

2.1 使用する様式

対象医療機器の認証申請については、医薬品医療機器等法施行規則第115条第1項の規定により、同令様式第64(1)または(3)を使用します。

申請書は正副2通を作成し、登録認証機関に提出する必要があります。

2.2 申請書の記載方法

認証申請書の記載にあたっては、以下の2つの通知に基づいて作成します。

一つ目は「医療機器の製造販売認証申請書の作成に際し留意すべき事項について」(平成26年11月20日付け薬食機参発1120第4号)です。

二つ目は「医療機器の製造販売認証申請書添付資料の作成に際し留意すべき事項について」(平成27年2月10日付け薬食機参発0210第1号)であり、本通知では「添付資料通知」と呼ばれています。

2.3 備考欄への記載事項

承認から認証への移行申請であることを明確にするため、認証申請書の備考欄には「承認からの移行に係る認証申請」と記載することが求められています。

この記載により、登録認証機関は当該申請が本通知に基づく移行申請であることを識別でき、適切な審査手続きを行うことができます。

3. 添付資料の要件

3.1 製造販売実績がある場合の基本的な考え方

対象医療機器の認証申請において、すでにその製造販売が認められ、現に製造販売の実績がある場合には、添付資料について特別な取扱いが適用されます。これは、承認審査において品質・有効性・安全性がすでに確認されていることを踏まえた合理的な措置です。

3.2 現承認内容と同一の場合の添付資料

認証申請される品目が現承認内容と同一の場合(軽微な変更を認証申請書の記載事項に適合するように整備するための変更を行う場合を含む)には、以下の資料を添付します。

添付資料通知に示す資料として、規格への適合宣言(資料番号4.1)、認証基準に適合することを証明する資料(資料番号4.3)、および添付文書(案)(資料番号5.)の3点が必要です。

また、基本要件基準への適合性を説明する資料として、製造販売されていたことを示す以下の資料を併せて添付します。承認書の写し、法第12条の規定に基づく製造販売業許可証の写し、そして申請に係る医療機器についてのQMS省令(平成16年厚生労働省令第169号)に規定する記録のうち、出荷可否判定記録や製造工程における試験・検査の記録など、作業実施年月日や責任技術者・作業責任者等の署名・捺印があるものの写しその他の当該申請に係る医療機器の製造販売の実績を示す資料が求められます。

3.3 承認内容から一部変更される場合の添付資料

認証申請される品目が承認内容から一部変更される場合には、上記3.2の資料に加え、添付資料通知に示す添付資料のうち変更部分に係るものを添付する必要があります。

ただし、一部変更の結果、新規の認証申請が必要となるような変更の場合は、本通知の対象外となります。そのような場合には、通常の新規認証申請の手続きに従って申請を行うことになります。

3.4 軽微変更の取扱い

法第23条の2の5第12項および法第23条の2の23第7項に規定する軽微な変更については、認証申請書の記載事項に適合するように整備するための変更として、現承認内容と同一の場合に準じた取扱いが認められています。

4. QMS適合性調査

4.1 調査申請の原則

製造販売認証申請に際しては、法第23条の2の23第3項の規定による調査(QMS適合性調査)の申請を併せて行うことが原則です。

QMS適合性調査は、医療機器の製造管理および品質管理が適切に行われているかを確認するための重要な手続きであり、認証取得の要件となっています。

4.2 基準適合証を有する場合の取扱い

有効な基準適合証の交付を受けている場合には、QMS適合性調査の申請は不要です。

基準適合証は、過去のQMS適合性調査において適合が確認されたことを証明する書類であり、その有効期間内であれば、同一の製造所で製造される医療機器について調査が省略できます。

4.3 実務上の留意点

QMS適合性調査は認証申請と同時に行うことが効率的であり、スケジュール管理においては両方の手続きを並行して進めることが重要です。また、製造所が複数ある場合には、それぞれの製造所についてQMS適合性調査の要否を確認する必要があります。

5. 認証番号と承認整理

5.1 認証番号の付与方法

本通知に基づき認証された場合の認証番号については、従前の承認番号がそのまま認証番号となります。

通常、製造販売認証に関する認証番号の取扱いについては「指定管理医療機器等の認証番号について」(平成17年6月28日付け薬食機発第0628001号)により示されていますが、本通知による移行の場合は承認番号を継続使用することで、トレーサビリティの確保と事務手続きの簡素化が図られています。

認証される高度管理医療機器においても、この取扱いが準用されます。

5.2 承認の整理

認証を取得した後は、製造販売の承認を速やかに整理することが求められています。承認と認証が併存する状態は規制上好ましくないため、認証取得後は遅滞なく承認の整理手続きを行う必要があります。

5.3 登録認証機関の責務

登録認証機関は、本通知に基づき認証を行った場合、承認番号を認証番号として取り扱います。

また、申請者に対し、製造販売の承認を速やかに整理するよう促す責務があります。

さらに、法第23条の5第1項の規定に基づく報告書(認証の報告)においては、本通知に基づく認証である旨を明示して独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)に提出することが求められています。これにより、PMDAは承認から認証への移行状況を適切に把握することができます。

5.4 旧通知の廃止

本通知の適用に伴い、平成22年6月1日付け薬食機発0601第1号通知は廃止されました。従前の通知に基づいて手続きを行っていた事業者は、本通知の内容に従って対応する必要があります。

まとめ

本通知(薬食機参発0309第1号)は、承認を取得していた医療機器が新たな認証基準の制定により認証制度へ移行する場合の実務対応を明確に示した重要な通知です。認証申請書の備考欄への記載方法、添付資料の簡略化要件、QMS適合性調査の取扱い、承認番号を引き継ぐ認証番号の考え方など、承認から認証への移行に特有の留意点が整理されています。

特に実務では、「承認内容と同一と判断できる範囲」や「一部変更に該当するか否か」、またQMS適合性調査の要否判断を誤ると、登録認証機関からの照会や申請遅延につながるケースが少なくありません。制度上は簡略化が図られている一方で、個々の製品仕様や変更履歴に応じた慎重な整理が求められます。

弊社(一般社団法人薬事支援機構)では、承認から認証への移行可否の整理、必要資料の判断、登録認証機関との事前相談対応、QMS適合性調査の実務支援まで一貫してサポートしています。
「自社製品が本通知の対象となるか判断できない」「どこまで添付資料を省略できるのか不安」といったお悩みがありましたら、お気軽にお問い合わせください。実務経験に基づき、最適な進め方をご提案します。

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