概要

2025年11月第4週は、国内・海外ともに革新的医療機器・AI医療機器に関する政策動向と製品開発が大きく進展した週でした。国内では厚生労働省が官民対話を開催し、革新的医療機器・再生医療等製品の創出に向けた制度整備・投資促進策を議論しました。また、NECと国立健康危機管理研究機構による電子カルテ操作を支援するAI技術の有効性検証が注目を集めました。海外では、米国でAI医療機器を中心とした510(k)取得が相次ぎ、CMSが心臓アブレーション処置の償還範囲を拡大するなど市場制度が進展。AI・SaMD関連のベンチャー投資も引き続き拡大基調にあり、2025年の医療DX・デジタルヘルス分野の活況を後押ししています。

1. 法改正・通知関連

厚生労働省/革新的医薬品・医療機器・再生医療等製品創出のための官民対話を開催

厚生労働省は2025年11月26日、再生医療イノベーションフォーラム(FIRM)等が参加する官民対話を開催しました。プログラム医療機器を含む革新的製品の創出方策、日本のバイオものづくりやスタートアップ投資の課題について議論が行われました。

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厚生労働省/薬事審議会 医療機器・体外診断薬部会の開催告知

厚生労働省は薬事審議会 医療機器・体外診断薬部会の開催を告知しました。

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2. 医療機器関連

シスメックス/完全子会社シスメックスメディカを吸収合併へ

シスメックス株式会社は2025年11月21日、完全子会社のシスメックスメディカ株式会社を吸収合併することを発表しました。検体検査機器のユニット組立を行う同社を吸収し、機器生産プロセスの最適化および効率性・生産性向上を図りました。合併効力発生日は2026年4月1日予定です。

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FDA承認AI医療機器/現状と課題の分析結果が発表

米国の研究チームがFDAにより承認された691件のAI/ML医療機器を分析した結果がJAMA Health Forumに発表されました。承認機器の96.7%が510(k)申請経路を使用し、放射線科分野が約8割を占めることが判明しました。試験デザインや人口統計情報の報告欠落など課題も指摘されました。

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学会・展示会情報

期間内に以下の医療機器関連学会が開催されました。断層映像研究会(第53回)が2025年11月21日〜22日に下関で、日本放射線腫瘍学会(第38回学術大会)が2025年11月27日〜29日に東京で、日本医療福祉設備学会(第54回)が2025年11月28日〜29日に東京で開催されました。

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3. SaMD関連(プログラム医療機器)

NEC・国立健康危機管理研究機構/AI電子カルテ操作支援技術の有効性を確認

国立健康危機管理研究機構とNECは2025年11月21日、AIを活用した医師の電子カルテ操作支援技術を共同開発し、その有効性を評価したと発表しました。Transformerモデルを活用し、医師個人の操作パターンから次の操作候補を高精度に予測・提示する技術により、電子カルテ操作に伴うマウス操作時間が約84%減少することを確認しました。

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4. 医療ベンチャー関連

カルディオインテリジェンス/シリーズBファーストクローズを完了

AI医療機器を開発するカルディオインテリジェンスは2025年11月20日、シリーズBファーストクローズで資金調達を実施したと発表しました。リード投資家は新日本科学、東海東京インベストメント、いわぎん事業創造キャピタルが参加しました(調達額非開示)。同社は2022年2月にプログラム医療機器(SaMD)「長時間心電図解析ソフトウェア SmartRobin AIシリーズ」を上市し、2025年11月時点で150超の医療機関に導入しています。資金は新製品開発、社内体制強化、海外展開に充当する予定です。

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5. 医療機器関連補助金

厚生労働省/2025年度補正予算案に医療機器関連施策

2025年11月21日の経済対策閣議決定に伴い、厚生労働省2025年度補正予算案に医療機器関連施策が盛り込まれました。医療機関のインフレ対応経費として約4,300億円、病床機能再編基金として約3,500億円(最大11万床の圧縮対応)、創薬力強化に向けたイノベーション推進として約442億円、医療・介護DX等の推進として約1,447億円が計上されました。具体的な補助金公募は国会での予算成立後に各都道府県・事業者を通じて実施予定です。

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6. 海外市況

Ceribell/新生児向けAI発作検出アルゴリズムでFDA 510(k)取得

Ceribellは2025年11月24日、新生児向けAI発作検出アルゴリズム「Clarity」でFDA 510(k)クリアランスを取得しました。早産児から成人まで全年齢層の発作検出が可能なAI搭載ポイントオブケアEEGとなります。

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Canon Medical Systems USA/AI搭載心臓インターベンション画像装置でFDA 510(k)取得

Canon Medical Systems USAは2025年11月25日、AI搭載心臓インターベンション画像装置「Alphenix / Evolve Edition with αEvolve Imaging」でFDA 510(k)クリアランスを取得しました。深層学習技術を活用したリアルタイム心臓イメージングが可能となります。

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Neuro Event Labs/Nelli発作モニタリングシステムでFDA 510(k)取得

Neuro Event Labsは2025年11月26日、Nelli発作モニタリングシステムでFDA 510(k)クリアランスを取得しました。世界初の非接触型AI駆動ビデオ・オーディオモニタリングシステムとなります。

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CMS/外来手術センターでの心臓アブレーションをカバー

CMSは2025年11月26日、外来手術センター(ASC)での心臓カテーテルアブレーション処置に対する支払いポリシーを最終決定しました。2026年1月1日から施行されます。Heart Rhythm Societyは「過去20年以上で最も重要な連邦進展」と評価しており、Abbott、Boston Scientific、Johnson & Johnson、Medtronicに恩恵をもたらすと予測されています。

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米国議会/AI医療機器向けMedicare償還経路の法案を提出

超党派議員は2025年11月26日、アルゴリズムベースの医療サービス向けMedicare償還経路を創設する法案を提出しました。AdvaMedは、FDA承認を受けたAI・機械学習を使用する医療機器に対する5年間の費用ベース償還を提案するものと説明しました。

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Cordance Medical/800万ドルのシード資金調達を完了

Cordance Medicalは2025年11月24日、800万ドルのシード資金調達を完了しました。血液脳関門を開く非侵襲的集束超音波プラットフォームの開発を進める予定です。

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ヘルステックVC投資/2025年に回復傾向

PitchBookのレポートによると、ヘルステック分野へのVC投資は2025年に回復傾向にあります。Q3までに前年総額を超過し、平均取引規模は過去最高の770万ドルに達しました。

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医療機器精密部品市場/2030年までに224億ドル規模へ

医療機器精密部品市場は2030年までに224億ドル規模に成長すると予測されています。CAGR 5.78%で成長し、CNC加工部品が最大シェア28%を占める見込みです。

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弊社について

一般社団法人薬事支援機構(RSO)は、「未来の医療を支える技術の実現をサポート」というビジョンのもと、医療機器の薬事領域に特化したコンサルティングサービスを提供しています。

SaMD(Software as Medical Device)、レーザー等の能動機器、カテーテルをはじめとした非能動医療機器など、幅広い医療機器を対象に、開発初期段階から承認申請後までの一貫した伴走型コンサルティングを行っています。

医療機器業界の複雑な規制環境において、お客様の製品が円滑に承認を得るためのプロフェッショナルなサポートを国内向けに展開。製品の特性や開発フェーズに合わせた最適なアドバイスと戦略を提供しています。
詳細なサービス内容や個別のご相談については、当サイト下部の問い合わせページよりお気軽にご連絡ください。

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    一般社団法人薬事支援機構は医療機器専門の薬事コンサルティング会社です。
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