概要
本記事では、平成26年11月20日に厚生労働省から発出された「医療機器の製造販売認証申請書の作成に際し留意すべき事項について」(薬食機参発1120第4号)について解説します。この通知は、医薬品医療機器等法(薬機法)第23条の2の23の規定に基づく医療機器の認証申請に関する細部の取扱いを定めたものです。
本通知は平成26年11月25日から適用され、それまでの旧通知(平成17年3月31日付け薬食機発第0331008号)を廃止しています。製造販売認証申請書の各欄における具体的な記載方法や、添付資料の取扱いについて詳細に規定されており、登録認証機関への認証申請を行う際の実務上の指針となっています。
1. 本通知の適用範囲と基本的な位置づけ
1.1 適用対象
本通知は、薬機法第23条の2の23の規定に基づく医療機器の認証申請に係る品目を対象としています。具体的には、厚生労働大臣が基準を定めて指定する管理医療機器(認証基準が定められた指定管理医療機器)が該当します。
1.2 関連通知との関係
本通知は、平成26年11月20日付薬食発1120第8号医薬食品局長通知「医療機器の製造販売認証申請について」の細部の取扱いを定めたものです。製造販売認証申請を行う際には、局長通知と本通知を併せて参照する必要があります。
2. 製造販売認証申請書の記載事項
2.1 類別欄・名称欄の記載方法
類別欄には、医薬品医療機器等法施行令別表第1に従って該当する類別を記載します。一品目が複数の類別にまたがる場合は、名称欄に記載する一般的名称から判断した類別を記載することとされています。
名称欄における一般的名称は、クラス分類通知の別添に記載される定義に基づき記載します。一品目中に複数の一般的名称が含まれる場合で、品目全体を総称した一般的名称がない場合は、最も高リスクに分類される医療機器の一般的名称、または主たる使用目的・性能から判断した一般的名称を記載します。
販売名については、当該医療機器の性能等に誤解を与え保健衛生上の危害を発生するおそれがないものであり、かつ医療機器としての品位を保つものでなければなりません。他の用途を想定させるような名称は認められません。原則として一物一名称ですが、妥当な理由により一物多名称のものを申請する場合は、説明資料を添付し、販売名ごとに製造販売認証申請を行う必要があります。
2.2 使用目的又は効果欄・形状構造及び原理欄
使用目的又は効果欄には、当該品目の使用目的又は効果を認証基準の範囲内で適切に記載します。必要に応じて、適応となる患者と疾患名、使用する状況、期待する結果等についても記載します。
形状、構造及び原理欄には、当該医療機器の外観形状、構造、原理、各構成部品又はユニット、電気的定格、各部の機能等を分かりやすく記載します。使用目的又は効果に影響を与えない付帯的な機能を有する場合は、その内容を説明します。形状が粉状又は液状の医療機器については、その区別を記載します。
既に認証を受けた医療機器、または製造販売届出を行った医療機器との組み合わせである場合は、その医療機器の認証されている使用目的等から逸脱しない範囲であれば、原則として記載を省略できます。この場合、当該欄には該当する構成医療機器の名称と、既認証品または届出品である旨を記載し、認証番号等は製造方法欄に記載します。
2.3 原材料欄・性能及び安全性に関する規格欄
原材料欄には、形状、構造及び原理欄において記載した内容との対応関係が明確となるように原材料等を正確に記載し、その規格を明らかにします。血液・体液・粘膜等に接触せず、かつ性能に大きく影響しない原材料については簡潔な記載で差し支えありません。特に記載を要する原材料がない品目においては空欄とします。
ウシ等由来原材料については、生物由来原料基準(平成15年厚生労働省告示第210号)及び関連通知に従い、原産国、部位、処理方法、必要に応じてTSE資料に関する情報その他の品質・安全性確保の観点から必要な事項を記載します。ヒト及び動物由来原料についても、その由来、ドナースクリーニングの内容その他必要な事項を記載します。
性能及び安全性に関する規格欄には、品質、安全性及び有効性の観点から本品の要求事項として求められる設計仕様のうち、形状、構造及び原理に該当しない事項を記載します。これらの内容は主に設計段階の検証により得られた製品の品質、安全性及び有効性を保証した内容であり、認証基準及び基本要件基準への適合性の観点から求められる規格等を設定します。
2.4 使用方法欄・保管方法及び有効期間欄
使用方法については順を追って、必要に応じ図解する等の方法により分かりやすく記載します。未滅菌品で使用に際して必ず滅菌した上で使用すべき医療機器については、その旨及び滅菌方法、滅菌条件を記載します。
他の医療機器と組み合わせて使用する場合で、有効性及び安全性の確保のために特定の条件を満たす機器と併用しなければならない場合は、組み合わせて使用する機器の条件を記載した上で、当該機器を含めた使用方法を説明します。再滅菌を行って繰り返し使用することを前提とする医療機器については、その旨と再滅菌の方法を記載します。
保管方法及び有効期間欄には、特定の保管方法によらなければ品質を確保することが困難であるか、経時的に品質の低下をきたし有効期間を定める必要がある製品について記載します。有効期間が3年以上のものについては有効期間の記載は不要です。
3. 製造方法欄と製造所欄の記載要件
3.1 製造方法欄の記載事項
製造方法欄では、各製造工程に係る登録製造所が単一でない場合等、各工程の関係について誤認が生じないよう、各登録製造所の関係について分かりやすく記載します。工程ごとの記載や工程フロー図等は原則として記載不要ですが、組合せ医療機器に関しては構成品の滅菌状況等の確認が必要なため、工程フロー図等の記載が必要です。
滅菌医療機器については、滅菌方法と引用する滅菌バリデーション基準を記載します。本体と構成部品で滅菌が異なる場合は、それぞれの滅菌方法を明確にします。
ヒト及び動物由来原料を使用して製造する場合は、製造工程中の細菌、真菌、ウイルス等の不活化・除去処理の方法、その他の品質・安全性確保の観点から必要な事項を記載します。
構成部品単体で医療機器として認証を取得しているもの又は製造販売届出を行っているものを組み込む場合は、当該構成医療機器の製造販売業者の氏名、認証番号、販売名、並びに構成部品の名称を記載します。当該構成医療機器が滅菌品である場合は、最終製品の滅菌方法に加えて組み合わせる前の滅菌方法も記載します。
3.2 製造販売する品目の製造所欄
製造販売する品目の製造所欄には、登録を受けた製造所ごとに製造所の名称、製造業登録番号、製造工程を記載します。製造工程については、施行規則第114条の8の各号に基づき、「設計」「主たる組立て」「滅菌」「保管」の別を該当する製造所ごとに記載します。
滅菌については、放射線、EOG(エチレンオキサイドガス)、湿熱、その他の別を製造所ごとに記載します。製造所の登録申請中の場合は、その旨を記載します。
本通知の別紙1には、製造工程ごとに製造所が異なる場合、一つの製造所で複数の製造工程を有する場合、主たる組立ての登録製造所が2か所ある場合、設計を行う施設が製造販売業者の主たる事務所と同一の場所である場合などの記載例が示されています。
4. 備考欄の記載事項と変更申請の考え方
4.1 備考欄に記載すべき事項
備考欄には、クラス分類通知によるクラス分類を記載します。複数の一般的名称を含む品目の場合は最も高いクラス分類を記載し、名称欄に記載しなかった一般的名称も備考欄に記載します。
また、特定保守管理医療機器に該当する場合、単回使用の場合、新規原材料を含有する場合、生物由来材料等を含有する場合はその旨を記載します。
認証事項一部変更認証申請の場合は、変更理由及び変更内容の具体的内容を比較表の形式により記載し、当該製造販売認証の経過表を記載します。
その他、添付文書案の添付、申請者の製造販売業許可番号・許可の区分・主たる事業所の所在地、QMS適合性調査の有無・申請提出予定先等を記載します。QMS適合性調査を省略する場合は、その根拠及び有効な基準適合証番号・交付年月日を記載し、基準適合証の写しを添付します。
4.2 認証事項一部変更と新規認証申請の判断
本通知の別紙2には、認証事項の変更に際して一部変更認証申請で対応できる場合と、新規認証申請が必要な場合の事例が示されています。
原則として一部変更認証申請で対応できるのは、医療機器の本質等に影響を与えない変更であり、組合せ医療機器の構成品の追加等の変更、本質等に影響を与えない原材料・原材料成分の変更、本質等に影響を与えない場合の製造方法の追加・変更、使用目的又は効果の追加・変更、滅菌方法の追加・変更、販売名の変更などが該当します。
一方、構造、原材料、性能等に係る変更のうち上記に該当しないもの、および販売名の追加は、原則として新規認証申請が必要です。
まとめ
本通知(薬食機参発1120第4号)は、医療機器の製造販売認証申請書を作成する際の実務ルールを具体的に示した重要な指針です。類別・一般的名称の選定、使用目的や形状構造の記載、原材料と性能規格の整合性、製造所・製造工程の明確化など、申請書全体の一貫性が審査の円滑化に直結します。
特に、組合せ医療機器、滅菌医療機器、生物由来原料を含む製品では、記載漏れや判断誤りが指摘事項につながりやすく、認証事項一部変更で対応可能か、新規認証申請が必要かの判断も専門的知見が求められます。自己判断で進めた結果、差戻しや再申請となるケースも少なくありません。
弊社(一般社団法人薬事支援機構)では、製造販売認証申請書の記載内容チェック、認証区分の整理、登録認証機関対応を含めた実務支援を行っています。
「この変更は一部変更で足りるのか」「申請書の書き方が基準に合っているか不安」といったお悩みがあれば、ぜひお気軽にお問い合わせください。