概要

令和7年7月8日付で厚生労働省から発出された「基準適合証及びQMS適合性調査申請等の取扱いについて」の一部改正通知は、再製造単回使用医療機器に対するQMS調査の頻度等について重要な見直しを実施したものです。

この通知により、再製造単回使用医療機器の製造販売承認の条件として実施される定期確認調査について、承認取得後5年経過までの初期期間とそれ以降の期間で調査頻度を段階的に変更する新たな制度が導入されました。これまで原則として概ね1年に1回実施されていた調査頻度を見直し、承認取得から5年経過後は3年を超過しない期間ごとの調査に変更するなど、事業者の負担軽減と効率的な規制運用の両立を図っています。

また、例外的製造所における滅菌・保管工程の取扱いの明確化、新規承認を取得した再製造単回使用医療機器における調査頻度の特例規定の詳細化など、実務上重要な改正点が含まれています。

1. 再製造単回使用医療機器定期確認調査の頻度見直し

1.1 基本的な調査頻度の変更

今回の改正で最も重要な変更点は、再製造単回使用医療機器定期確認調査の頻度見直しです。従来は承認取得日から原則として概ね1年に1回の調査が求められていましたが、新制度では段階的なアプローチが採用されました。

承認取得から5年を経過するまでの期間は、従来通り原則として概ね1年に1回(初回の定期適合性調査の年を除く)の調査頻度を維持します。しかし、承認取得から5年経過後は、3年を超過しない期間ごとの調査に変更されます。この変更により、長期間の安全性実績を積んだ製品については調査頻度を軽減し、事業者の負担を軽減することが可能となります。

1.2 例外的製造所の取扱い明確化

改正により、例外的製造所(法施行規則第114条の32第1号又は第2号に規定する製造工程のみをする製造所)の取扱いが明確化されました。調査対象施設は、原則として製造販売業者等の主たる事務所及び全ての登録製造所としますが、例外的製造所については除外されます。

さらに、調査対象施設である登録製造所において滅菌又は最終製品に係る保管工程を行っている場合、これらの工程に係る活動の要求事項は調査対象としないことが明確化されました。ただし、調査実施者の判断により、必要に応じて当該工程に係る調査を実施する場合があることも規定されています。

2. 新規承認品目における調査頻度の特例

2.1 同一製造工程・組み合わせ品目の特例

新たに承認を取得した再製造単回使用医療機器について、製造販売業者等の主たる事務所並びに全ての登録製造所の組み合わせ及び製造工程が同一である他の再製造単回使用医療機器が既に存在し、当該他品目が承認取得から5年を経過し、かつ定期の適合性調査を受けて基準適合証が既に交付されている場合の特例が詳細化されました。

この場合、新規承認品目については承認取得日から3年を超過しない期間ごとに再製造単回使用医療機器定期確認調査を受けることが可能となります。この特例により、既に実績のある製造体制に基づく新規品目については、調査頻度の軽減が図られます。

2.2 中間時期の設定

3年を超過しない期間については、承認を取得した日から5年を経過するごとに受ける定期の適合性調査の中間の時期(2年半)を目安とすることが明確化されました。これにより、調査時期の予測可能性が向上し、事業者の計画的な対応が可能となります。

3. 実地調査の継続実施

3.1 実地調査実施の必要性

再製造単回使用医療機器の製造は、病原微生物その他疾病の原因となるものの不活化又は除去及び再製造工程における製品劣化の確認等、通常の医療機器と比べて製造管理及び品質管理に特に注意を要する特性があります。

このため、調査実施者は当分の間、原則として実地の調査を実施することが継続して規定されています。この方針は頻度見直し後も変更されておらず、再製造単回使用医療機器の特性を踏まえた適切な品質管理体制の確認が重視されています。

3.2 調査対象施設の範囲

調査対象施設については、原則として製造販売業者等の主たる事務所及び承認申請書に記載された全ての登録製造所とし、例外的製造所を除くことが明確化されました。調査実施者の判断により、必要に応じて、その他承認に係る再製造単回使用医療機器の製造に関係する施設を調査対象施設に加えることも可能です。

4. 証明書記載要領の改正

4.1 製造所欄の記載方法

再製造単回使用医療機器定期確認調査結果証明書の記載要領について、製造所欄の記載方法が明確化されました。定期確認調査を行った登録製造所のみを記載することとし、その他の記載要領は基準適合証に係る記載要領に準じることとされています。

従来は調査対象品目に係る承認書に記載された登録製造所を申請書に記載された順番に記載する方式でしたが、改正により実際に調査を行った登録製造所のみを記載する方式に変更されました。

4.2 QMS調査要領の更新

総合機構及び登録認証機関による調査の実施については、参照するQMS調査要領が更新されました。従来の令和2年8月31日付け通知から、令和6年6月12日付け通知に変更され、最新の調査要領に基づく調査実施体制の整備が求められています。

5. 施行日と経過措置

5.1 施行日の設定

本通知は令和7年7月8日から施行されます。ただし、平成29年7月31日付け通知における調査頻度等の記載については、施行の日から本通知における記載に読み替えて適用することとされており、既存の制度からの円滑な移行が図られています。

5.2 関係機関への周知

本通知の写しは、各地方厚生局長、独立行政法人医薬品医療機器総合機構理事長、主要な業界団体の会長、登録認証機関協議会代表幹事宛てに送付されており、関係者への確実な情報伝達が図られています。

まとめ

今回の通知改正は、再製造単回使用医療機器に対するQMS調査制度の合理化を図る重要な見直しです。承認取得から5年経過後の調査頻度を3年を超過しない期間ごとに変更することで、長期間の安全性実績を有する製品については事業者負担を軽減しつつ、初期段階での厳格な管理体制は維持するバランスの取れた制度設計となっています。


特に、例外的製造所の取扱い明確化、新規承認品目の特例規定、実地調査の継続実施など、実務上重要な点が詳細に規定されており、事業者においては新制度への適切な対応準備が必要です。

弊社では、今回の改正内容に基づくQMS調査対応や承認取得後の運用支援を含め、再製造単回使用医療機器に関する薬事コンサルティングサービスを提供しております。制度対応や実務面でのサポートが必要な場合は、ぜひお気軽にお問い合わせください

    お問い合わせはこちらから

    一般社団法人薬事支援機構は医療機器専門の薬事コンサルティング会社です。
    医療機器の薬事申請やQMSでお困りの際にはこちらからお問い合わせください。

    ご相談内容
    必須

    お名前
    必須

    メールアドレス
    必須

    お電話番号

    御社名
    必須

    メッセージ本文
    必須