概要

本資料では、医療機器及び体外診断用医薬品の製造管理及び品質管理の基準に関する省令(QMS省令)のうち、「第26条〜第53条」に規定される製品実現に関する要求事項について解説します。
対象項目には、製品実現計画の策定、製品要求事項の明確化・照査、設計開発及び設計移管業務、購買工程と供給者管理、製造工程及びバリデーション、製品の識別・追跡管理、設備やソフトウェア管理までが含まれ、製品の品質確保とリスクマネジメントを体系的に行うための手順と記録管理が求められています。

5. 製品実現

5.1 製品実現計画(第26条)

製造販売業者等は、製品実現に必要な工程についての計画(以下「製品実現計画」という)を策定するとともに、確立しなければなりません。

製品実現計画と製品実現に必要な工程以外の工程に係る要求事項との整合性を確保しなければなりません。

製品実現に係る全ての工程における製品のリスクマネジメントに係る要求事項を明確にし、適切な運用を確立するとともに、これを文書化しなければなりません。

製品実現計画の策定に当たっては、次に掲げる事項を明確にしなければなりません。

  • 当該製品に係る品質目標及び製品要求事項
  • 当該製品に固有の工程(業務運営基盤及び作業環境を含む)、当該工程に係る文書の策定及び当該工程に要する資源の確保の必要性
  • 所要の検証、バリデーション、監視、測定、試験検査、取扱い、保管、流通及び追跡可能性(履歴、適用又は所在を追跡できる状態にあることをいう。以下同じ)の確保に係る業務であって当該製品に固有のもの並びに工程の次の段階に進むことを許可するための基準及び製品の出荷の可否を決定するための基準(以下「出荷可否決定等基準」という)
  • 製品実現に係る工程及びその結果としての製品が製品要求事項に適合していることを実証するために必要な記録

製品実現計画については、当該製品実現計画を実行するに当たって適した形式で文書化しなければなりません。

5.2 製品要求事項の明確化(第27条)

製造販売業者等は、次に掲げる事項を製品要求事項として明確にしなければなりません。

  • 当該製品に係る製品受領者要求事項(製品受領者への製品の送達及び製品受領者が製品を受領した後の業務に係る要求事項を含む)
  • 製品受領者が明示してはいないものの、製品受領者が当該製品についてあらかじめ指定し、又は意図した用途であって、製造販売業者等にとって既知のものに必要な要求事項
  • 法令の規定等のうち、当該製品に関するもの
  • 当該製品に係る医療機器等の安全かつ適正な使用又は操作のために必要な使用者に対する教育訓練に係る要求事項
  • その他製造販売業者等が必要と判断した当該製品に係る要求事項

5.3 製品要求事項の照査(第28条)

製造販売業者等は、製品を供給するに当たって、あらかじめ、製品要求事項の照査を実施しなければなりません。

照査を実施するに当たっては、次に掲げる事項を確認しなければなりません。

  • 当該製品に係る製品要求事項が定められ、文書化されていること
  • 製品受領者との取決め又は製品受領者からの指示における要求事項が従前に提示されたものと相違する場合においては、当該相違点について、製品受領者と合意していること
  • 法令の規定等に適合していること
  • 前条第四号の教育訓練を使用者が受けられるようにしている又は受けられるように計画していること
  • 各施設が、定められた要求事項に適合する能力を有していること

製品要求事項の照査の結果に係る記録及び当該照査の結果に基づきとった措置に係る記録を作成し、これを保管しなければなりません。

製品受領者が要求事項を書面で示さない場合においては、当該要求事項を受諾するに当たり、あらかじめ、その製品受領者要求事項の内容を確認しなければなりません。

製品要求事項が変更された場合においては、関連する文書が改訂されるようにするとともに、関連する構成員に対し変更後の製品要求事項を確実に周知し、理解させなければなりません。

5.4 情報等の交換(第29条)

製造販売業者等は、次に掲げる事項に関する製品受領者との間の相互の情報又は意見の交換のための実施要領を策定し、これを文書化しなければなりません。

  • 製品情報
  • 問合せ、契約及び注文の取扱い(これらの変更を含む)
  • 製品受領者からの意見(苦情を含む)
  • 第60条の3第2項に規定する通知書

法令の規定等に従い、厚生労働大臣、都道府県知事又は令第37条の23に規定する医療機器等適合性調査実施者と、相互の情報又は意見の交換のため意思疎通を図らなければなりません。

5.5 設計開発(第30条)

製造販売業者等は、製品の設計開発のための手順を文書化しなければなりません。

設計開発の計画(以下「設計開発計画」という)を策定するとともに、設計開発を管理しなければなりません。

設計開発計画を文書化し、保管するとともに、設計開発計画を変更する必要がある場合には、設計開発の進行に応じ更新しなければなりません。

設計開発計画の策定において、次に掲げる事項を文書化しなければなりません。

  • 設計開発の段階
  • 設計開発の各段階における適切な照査
  • 設計開発の各段階における適切な検証、バリデーション及び設計移管業務(設計開発からの工程出力情報について、あらかじめ、実際の製造に見合うものであるかどうかについて検証した上で、製造工程に係る仕様とする業務をいう。以下同じ)
  • 設計開発に係る部門又は構成員の責任及び権限
  • 設計開発において工程入力情報から工程出力情報への追跡可能性を確保する方法
  • 設計開発に必要な資源

5.6 設計開発への工程入力情報(第31条)

製造販売業者等は、設計開発を行う場合にあっては、製品要求事項に関連した次に掲げる設計開発への工程入力情報を明確にするとともに、当該工程入力情報に係る記録を作成し、これを保管しなければなりません。

  • 意図した用途に応じた機能、性能、使用性及び安全性に係る製品要求事項
  • 法令の規定等に基づく要求事項
  • 第26条第3項に規定するリスクマネジメントに係る工程出力情報たる要求事項
  • 従前の当該設計開発に類似した設計開発から得られた情報であって、当該設計開発への工程入力情報として適用可能な要求事項
  • その他設計開発に必要の要求事項

前項に規定する設計開発への工程入力情報について、その妥当性を照査し、承認しなければなりません。

製品要求事項について、漏れがなく、不明確ではなく、かつ、互いに相反することがないようにしなければなりません。

5.7 設計開発からの工程出力情報(第32条)

製造販売業者等は、設計開発からの工程出力情報について、次に掲げる条件に適合するものとしなければなりません。

  • 設計開発への工程入力情報に係る要求事項に適合するものであること
  • 購買、製造及びサービスの提供のために適切な情報を提供するものであること
  • 出荷可否決定等基準を含み、又は当該出荷可否決定等基準を参照できるものであること
  • 製品の安全かつ適正な使用方法又は操作方法に不可欠な当該製品の特性を規定しているものであること

設計開発からの工程出力情報を、設計開発への工程入力情報と対比した検証に適した形式にしなければなりません。

設計開発から工程の次の段階に進むことを許可するに当たり、あらかじめ、当該設計開発からの工程出力情報について承認しなければなりません。

設計開発からの工程出力情報の記録を作成し、これを保管しなければなりません。

5.8 設計開発照査(第33条)

製造販売業者等は、次に掲げる事項を目的とした設計開発に係る体系的な照査(以下「設計開発照査」という)を実施する上で必要な実施要領を文書に定め、その適切な段階において、設計開発計画及び当該実施要領に従い、設計開発照査を実施しなければなりません。

  • 設計開発の結果が全ての要求事項に適合することができるかどうかについて評価すること
  • 設計開発に問題がある場合においては、当該問題の内容を識別できるようにするとともに、必要な措置を提案すること

設計開発照査に、当該設計開発照査の対象となっている設計開発段階に関連する部門の代表者及び当該設計開発に係る専門家を参加させなければなりません。

設計開発照査の結果及びその結果に基づく全ての所要の措置の記録(当該設計開発照査の対象となっている設計開発、参加者及び実施日に係る情報を含む)を作成し、これを保管しなければなりません。

5.9 設計開発の検証(第34条)

製造販売業者等は、設計開発からの工程出力情報が設計開発への工程入力情報に係る要求事項に適合するものとするため、設計開発を検証する上で必要な実施要領を文書に定め、設計開発計画及び当該実施要領に従い、当該設計開発の検証(以下この条において「設計開発検証」という)を実施しなければなりません。

設計開発検証に係る計画(設計開発検証の方法〈設計開発検証に統計学的方法を用いる場合においては、検体の数の設定の根拠を含む〉及び判定基準を含む)を文書化しなければなりません。

設計開発検証の対象とされた製品に係る医療機器等が他の機械器具等と一体的に使用又は操作される医療機器等である場合においては、当該一体的に使用又は操作される状態を維持したまま設計開発検証を実施しなければなりません。

設計開発検証の結果及び結論の記録(当該結果及び結論に基づき所要の措置をとった場合においては、その記録を含む)を作成し、これを保管しなければなりません。

5.10 設計開発バリデーション(第35条)

製造販売業者等は、設計開発された製品を、あらかじめ規定された機能若しくは性能又は意図した用途に係る要求事項に適合するものとするため、設計開発のバリデーション(以下この条において「設計開発バリデーション」という)を行う上で必要な実施要領を文書に定め、設計開発計画及び当該実施要領に従い、設計開発バリデーションを実施しなければなりません。

設計開発バリデーションに係る計画(設計開発バリデーションの方法〈設計開発バリデーションに統計学的方法を用いる場合においては、検体の数の設定の根拠を含む〉及び判定基準を含む)を文書化しなければなりません。

設計開発を行った製品から選択した製品(製品を代表するものに限る)について設計開発バリデーションを実施しなければなりません。

初回の製造に係る一群の医療機器等及びロット(これらと同等であるものを含む)から前項の製品の選択を行うとともに、当該選択の根拠の記録を作成し、これを保管しなければなりません。

設計開発に係る医療機器等が法第23条の2の5第3項の厚生労働省令で定める医療機器等である場合又は法第23条の2の9第4項の厚生労働省令で定める医療機器等である場合においては、これらの規定に基づき行う資料の収集及び作成を、設計開発バリデーションの一部として実施しなければなりません。

設計開発に係る医療機器等が法第23条の2の5第3項の厚生労働省令で定める医療機器等である場合においては、製造販売業者等が当該資料の収集及び作成を目的として行った当該設計開発に係る医療機器等に係る製品の送達は、製品の出荷とみなさない。

設計開発バリデーションの対象とされた製品に係る医療機器等が他の機械器具等と一体的に使用又は操作される医療機器等である場合においては、当該一体的に使用又は操作される状態を維持したまま設計開発バリデーションを実施しなければなりません。

製品の出荷を行うに当たり、あらかじめ、設計開発バリデーションを完了しなければなりません。ただし、当該製品に係る医療機器等の使用時の組立て又は設置の後でなければ設計開発バリデーションを行うことができない場合においては、当該医療機器等を使用する製品受領者への受渡しまでに設計開発バリデーションを行わなければなりません。

設計開発バリデーションの結果及び結論の記録(当該結果及び結論に基づき所要の措置をとった場合においては、その記録を含む)を作成し、これを保管しなければなりません。

5.11 設計移管業務(第35条の2)

製造販売業者等は、設計移管業務(次に掲げる業務を含む)に係る手順を文書化しなければなりません。

  • 製造工程に係る仕様を決定する前に、設計開発からの工程出力情報が実際の製造に見合うものであるかを適切に検証していることを確認すること
  • 前号の製造工程を経ることによって適合製品(製品要求事項に適合する製品をいう。以下同じ)を適切に製造できることを確認すること

設計移管業務を行った場合においては、その結果及び結論を記録し、これを保管しなければなりません。

5.12 設計開発の変更の管理(第36条)

製造販売業者等は、設計開発の変更に関する手順を文書化しなければなりません。

設計開発の変更を実施する場合においては、当該変更が医療機器等の意図した用途に応じた機能、性能、安全性及び使用性並びに法令の規定等の適合性に及ぼす影響の有無及び程度を検証しなければなりません。

設計開発の変更を識別しなければなりません。

設計開発の変更を実施する場合においては、あらかじめ、当該変更の照査、検証、バリデーション及び承認を実施しなければなりません。ただし、バリデーションを実施しないことについて正当な理由があるときは、この限りでない。

照査の範囲を、設計開発の変更が、構成部品等、工程内の製品、既に引き渡された製品、リスクマネジメントに係る工程入力情報又は工程出力情報及び製品実現に係る工程に及ぼす影響の評価を含むものとしなければなりません。

設計開発の変更、当該変更の照査及び所要の措置に係る記録を作成し、これを保管しなければなりません。

5.13 設計開発に係る記録簿(第36条の2)

製造販売業者等は、製品又は類似製品グループごとに、設計開発に係る要求事項への適合を証明する記録及び設計開発の変更の記録並びに設計開発において参照した資料に係る記録簿を作成し、これを保管しなければなりません。

5.14 購買工程(第37条)

製造販売業者等は、購買物品等が自らの規定する購買物品等に係る要求事項(以下「購買物品等要求事項」という)に適合するようにするための手順を文書化しなければなりません。

次に掲げる事項を考慮して、購買物品等の供給者の評価及び選定に係る基準を定めるとともに、当該基準に従って供給者を評価し、及び選定しなければなりません。

  • 購買物品等要求事項に適合する購買物品等を供給する能力
  • 購買物品等の供給に係る実績
  • 購買物品等が製品の品質に及ぼす影響
  • 医療機器等の意図した用途に応じた機能、性能及び安全性に係るリスク

購買物品等の供給者に対する監視及び再評価に係る計画を策定しなければなりません。

計画に基づき、供給者の購買物品等の供給に係る実績を監視するとともに、当該監視の結果を考慮して、供給者を再評価しなければなりません。

供給された購買物品等について、購買物品等要求事項への不適合が判明した場合においては、当該不適合によるリスクに応じて、供給者と協力して必要な措置をとらなければなりません。

評価及び選定並びに監視及び再評価の結果に係る記録を作成し、これを保管しなければなりません。

5.15 購買情報(第38条)

製造販売業者等は、購買物品等に関する情報(以下「購買情報」という)を明確にし、かつ、購買情報に次に掲げる購買物品等要求事項を含めなければなりません。

  • 購買物品等の仕様
  • 購買物品等の受入れ、購買物品等の供給者の事業所における手順、工程並びに設備及び器具に係る要求事項
  • 購買物品等の供給者の構成員の適格性の確認に係る要求事項
  • 購買物品等の供給者の品質管理監督システムに係る要求事項

購買物品等の供給者に対し購買物品等要求事項を提示するに当たり、あらかじめ、当該購買物品等要求事項の妥当性を確認しなければなりません。

購買物品等要求事項のほか、購買物品等要求事項への適合性に影響を及ぼす変更を供給者が当該製造販売業者等にあらかじめ通知することについて、書面で合意した内容を購買情報に含めなければなりません。

第48条第2項の規定により手順書で定めた事項に従い、関連する購買情報が記載された文書及び記録を作成し、これを保管しなければなりません。

5.16 購買物品等の検証(第39条)

製造販売業者等は、購買物品等が購買物品等要求事項に適合している状態を確保するため、試験検査その他の検証に係る手順を確立し、これを実施しなければなりません。

購買物品等の変更に当たっては、当該変更が製品実現に係る工程又は医療機器等に及ぼす影響を検証しなければなりません。

自ら又は関連する製品受領者が購買物品等の供給者の事業所において購買物品等の検証を実施することとしたときは、当該検証の方法及び購買物品等の供給者からの出荷の可否の決定の方法について、購買情報の中で明確にしなければなりません。

購買物品等の検証の記録を作成し、これを保管しなければなりません。

5.17 製造及びサービス提供の管理(第40条)

製造販売業者等(限定第三種医療機器製造販売業者を除く)は、製品の製造及びサービスの提供について、当該製品を製品の仕様に係る要求事項に適合させるための計画を策定するとともに、次に掲げる条件その他の適切な条件の下で実施し、監視し、及び管理しなければなりません。

  • 製造手順書及び製造管理方法を定めた文書を利用できること
  • 当該製品の製造及びサービスの提供に見合う業務運営基盤を整備していること
  • 工程指標値及び製品の特性の監視及び測定を実施していること
  • 監視及び測定のための設備及び器具が利用でき、かつ、当該設備及び器具を使用していること
  • 手順書及び要求事項を記載した文書に定められた包装及び表示に係る作業を実施していること
  • この省令の規定に基づき、工程の次の段階に進むことの許可、市場への出荷の決定、製品受領者への製品の送達及び製品受領者が製品を受領した後の業務を行っていること

製品の各ロットについて、第48条第2項の規定により手順書に規定した範囲の追跡を可能とし、かつ、製造数量及び出荷決定数量を識別できるようにした記録を作成し、これを保管しなければなりません。

製造販売業者等は、前項の規定により作成した製品の各ロットについての記録を検証し、承認しなければなりません。

5.18 製品の清浄管理(第41条)

製造販売業者等(限定第三種医療機器製造販売業者を除く)は、その製品が次の各号のいずれかに該当する場合においては、当該製品の清浄及び汚染管理に係る要求事項を文書化しなければなりません。

  • 製品の滅菌又は使用若しくは操作がなされる前に、当該製造販売業者等又は当該製品の製造を行う者による清浄が行われる場合
  • 当該製造販売業者等が未滅菌のまま供給(出荷を含む)し、滅菌又は使用若しくは操作がなされる前に、使用者が清浄を行う場合
  • 当該製造販売業者等による滅菌前又は製品受領者による使用若しくは操作前に清浄を行うことができないものの、使用又は操作中の清浄が重要である場合
  • 使用者が未滅菌で使用又は操作を行うものの、使用又は操作中の清浄が重要である場合
  • 当該製造販売業者等がその製造中に、製造用物質を除去することとしている場合

前項第一号及び第二号の清浄を行う場合においては、第25条第2項及び第3項の要求事項を清浄化工程よりも前の工程に適用しないことができる。

5.19 設置業務(第42条)

製造販売業者等は、施行規則第114条の55第1項に規定する設置管理医療機器に係る製品又はこれに類する医療機器を取り扱う場合においては、他の方法によることが適切であることを示すことができる場合を除き、医療機器の設置及び当該設置の検証に係る可否の決定基準を含む要求事項を明確にし、当該要求事項に係る適切な運用を文書化しなければなりません。

前項の場合において、製品受領者要求事項により当該製造販売業者等又は当該製造販売業者等があらかじめ指定した者以外の者が医療機器の設置及び当該設置の検証を実施することができることとされている場合にあっては、当該設置及び設置の検証に係る要求事項を文書化し、当該設置及び設置の検証を実施する者に対して、提供しなければなりません。

実施された第一項の医療機器の設置及び当該設置の検証(製造販売業者等又は製造販売業者等があらかじめ指定した者が実施したものに限る)の記録を作成し、これを保管しなければなりません。

5.20 附帯サービス業務(第43条)

製造販売業者等は、附帯サービス業務の実施があらかじめ定められた要求事項である場合においては、当該業務の実施及び当該要求事項への適合状況に係る検証のための手順に係る体系を文書化しなければなりません。また、必要がある場合には、参照する試料及び測定の手順についても、併せて文書化しなければなりません。

次に掲げる目的を達成するため、実施した附帯サービス業務(他者が実施した附帯サービス業務を含む)の記録を分析しなければなりません。

  • 製品受領者からの意見が苦情であるかどうか判断すること
  • 品質管理監督システムの改善のための工程入力情報とすること(当該改善が必要である場合に限る)

附帯サービス業務を実施した場合(附帯サービス業務を他者が実施した場合を含む)においては、当該附帯サービス業務に係る記録を作成し、これを保管しなければなりません。

5.21 滅菌医療機器等の製造管理に係る特別要求事項(第44条)

滅菌医療機器等を取り扱う製造販売業者等は、各滅菌ロットについて、その滅菌工程の工程指標値の記録を作成し、これを保管しなければなりません。

滅菌医療機器等を取り扱う製造販売業者等は、前項の記録を、製品の各製造ロットまで追跡することが可能なものとしなければなりません。

5.22 製造工程等のバリデーション(第45条)

製造販売業者等は、実施した製品の製造及びサービスの提供に係る工程について、それ以降の監視若しくは測定では当該工程の結果たる工程出力情報を検証することができない場合又は当該工程出力情報を検証しない場合においては、当該工程について、バリデーションを行わなければなりません。

前項の規定によりバリデーションの対象とされた工程が製品実現計画に定めた結果を得ることができることについて、バリデーションによって実証しなければなりません。

第1項の規定によりバリデーションの対象とされた工程について、次に掲げる事項に係るバリデーションの手順を文書化し、これに基づく適切な運用を確立しなければなりません。

  • 当該工程の照査及び承認のための判定基準
  • 設備及び器具の承認並びに構成員に係る適格性の確認
  • 方法、手順及び判定基準
  • 統計学的方法(検体の数の設定の根拠を含み、バリデーションに統計学的方法を用いる場合に限る)
  • 第9条(第3項を除く)に規定する記録に係る要求事項
  • 再バリデーション(製造手順を変更した場合等において、再度バリデーションを行うことをいう。以下同じ)
  • 再バリデーションの判定基準
  • 当該工程の変更の承認

製造及びサービスの提供にソフトウェアを使用する場合にあっては、当該ソフトウェアの適用に係るバリデーション及び再バリデーションの手順を文書化しなければなりません。

前項のソフトウェアを製造及びサービスの提供のために初めて使用するとき並びに当該ソフトウェア又はその適用を変更するときは、あらかじめ、バリデーションを行わなければなりません。ただし、当該ソフトウェア又はその適用の変更前にバリデーションを行う必要がない正当な理由を示すことができる場合においては、当該ソフトウェア又はその適用の変更後にバリデーションを行えば足りるものとする。

製造及びサービスの提供へのソフトウェアの使用に伴うリスク(当該ソフトウェアの使用が製品に係る医療機器等の機能、性能及び安全性に及ぼす影響を含む)に応じて、当該ソフトウェアのバリデーション及び再バリデーションを行わなければなりません。

バリデーション又は再バリデーションの結果及び結論の記録(当該結果及び結論に基づき所要の措置をとった場合においては、その記録を含む)を作成し、これを保管しなければなりません。

5.23 滅菌工程及び無菌バリアシステムに係る工程のバリデーション(第46条)

滅菌医療機器等を取り扱う製造販売業者等は、滅菌工程及び無菌バリアシステムに係る工程のバリデーションに係る手順を文書化しなければなりません。

滅菌工程若しくは無菌バリアシステムに係る工程を初めて実施する場合又は当該滅菌医療機器等若しくは当該工程を変更する場合においては、あらかじめ、バリデーションを行わなければなりません。ただし、当該工程の実施前又は変更前にバリデーションを行う必要がない正当な理由を示すことができる場合においては、この限りでない。

滅菌医療機器等を取り扱う製造販売業者等は、滅菌工程及び無菌バリアシステムに係る工程のバリデーション又は再バリデーションの結果及び結論の記録(当該結果及び結論に基づき所要の措置をとった場合においては、その記録を含む)を作成し、これを保管しなければなりません。

5.24 識別(第47条)

製造販売業者等は、製品の識別に係る手順を文書化するとともに、製品実現に係る全ての段階において、適切な手段により、製品を識別しなければなりません。

製品実現に係る全ての段階において、監視及び測定に係る要求事項に照らして製品の状態を識別しなければなりません。

試験検査に合格した製品(許可された特別採用の下で出荷の決定がなされたものを含む)のみが出荷され、又は当該製品が使用され、操作され、若しくは設置されるようにするために、製品の状態を、製造、保管、設置及び附帯サービス業務に係る全ての段階において識別できるようにし、これを維持しなければなりません。

当該製造販売業者等に返却された製品について、適合製品から明確に識別されるようにするための手順を文書化しなければなりません。

5.25 追跡可能性の確保(第48条)

製造販売業者等は、製品及び構成部品等の追跡可能性の確保に係る手順を文書化しなければなりません。

前項の規定により文書化した手順において、法令の規定等に基づき、製品及び構成部品等ごとに、追跡可能性の確保の範囲及び保管すべき記録を定めなければなりません。

5.26 植込医療機器に係る製品の追跡可能性の確保(第49条)

製造販売業者等は、構成部品等又は作業環境の条件によって植込医療機器に係る製品が製品要求事項に適合しなくなるおそれがある場合においては、当該構成部品等及び作業環境の条件を前条第2項に基づいて記録するとともに、これらの条件全てに係る記録の追跡可能性を確保しなければなりません。

製造販売業者等は、植込医療機器に係る製品の出荷後の追跡可能性を確保するため、当該製品を取り扱う販売業者等(販売業者又は貸与業者をいう。以下同じ)に、当該製品の流通に係る記録を作成させるとともに、これを保管させなければなりません。

製造販売業者等は、当該製品について法第23条の2の5第7項若しくは第9項若しくは第23条の2の6の2第2項の規定による調査、法第23条の2の10の2第4項の規定による調査、法第23条の2の23第4項若しくは第6項の規定による調査又は法第69条第1項、第4項、第5項若しくは第6項の規定による立入検査等を受けた場合その他厚生労働大臣、都道府県知事又は令第37条の23に規定する医療機器等適合性調査実施者から求めがあった場合に、前項の記録を提示できるように販売業者等に保管させておかなければなりません。

製造販売業者等は、植込医療機器に係る製品の荷受人の氏名及び住所(法人にあっては、名称及び所在地)を記録し、これを保管しなければなりません。

5.27 製品受領者の物品等(第51条)

製造販売業者等は、製品等に使用し、又は組み込むために提供された製品受領者の物品等(製品受領者が所有権を有する知的財産、情報等を含む)を管理し、又は使用している間、当該物品等を識別し、検証し、保護し、及び防護しなければなりません。

前項の物品等を紛失し、若しくは損傷した場合、又は前項の物品等が使用に適さないことが判明した場合においては、製品受領者にその内容を報告するとともに、記録を作成し、これを保管しなければなりません。

5.28 製品の保持(第52条)

製造販売業者等は、製造から処理、保管、取扱い及び流通までの間における製品及び構成部品等の適合性の保持(識別、取扱い、包装、保管及び保護を含む)に係る手順を文書化しなければなりません。

製造から流通までの間、製品又は構成部品等を変質、汚染又は損傷から保護するため、次に掲げるいずれかの措置をとらなければなりません。

  • 製品を保護するために必要な包装又は梱包の仕様を定め、当該包装又は梱包を用いること
  • 製品の適合性を保持するための特別な条件に係る要求事項を文書に定めること(製品又は構成部品等が包装又は梱包によって適合性を保持することができないものである場合に限る)

前項第二号の特別な条件が要求される場合においては、当該条件について管理するとともに、これを記録しなければなりません。

5.29 設備及び器具の管理(第53条)

製造販売業者等は、製品の製品要求事項への適合性の実証に必要な監視及び測定並びに当該監視及び測定のための設備及び器具を明確にしなければなりません。

前項の監視及び測定について、実施可能で、かつ、当該監視及び測定に係る要求事項と整合性のとれた方法で実施するための手順を文書化しなければなりません。

監視及び測定の結果の妥当性を確保するために必要な場合においては、監視及び測定のための設備及び器具を、次に掲げる条件に適合するものとしなければなりません。

  • あらかじめ定めた間隔で、又は使用の前に、計量の標準まで追跡することが可能な方法により校正又は検証がなされていること。ただし、当該標準が存在しない場合においては、校正又は検証の根拠について記録すること
  • 所要の調整又は再調整がなされているとともに、その記録が作成され、及び保管されていること
  • 校正の状態が明確になるよう、校正の状態について識別できるようにされていること
  • 監視及び測定の結果を無効とする操作から保護されていること
  • 取扱い、維持及び保管の間、損傷及び劣化から保護されていること

校正及び検証について、その内容を手順書に定め、当該手順書に従い、実施しなければなりません。

監視及び測定のための設備及び器具の、監視及び測定に係る要求事項への不適合が判明した場合においては、従前の監視及び測定の結果の妥当性を評価し、記録しなければなりません。

前項の場合において、当該監視及び測定のための設備及び器具並びに前項の不適合により影響を受けた製品について、適切な措置をとらなければなりません。

監視及び測定のための設備及び器具の校正及び検証の結果の記録を作成し、これを保管しなければなりません。

監視及び測定のためにソフトウェアを使用する場合においては、当該ソフトウェアの適用に係るバリデーションの手順を文書化しなければなりません。

監視及び測定のためにソフトウェアを初めて使用するとき並びに当該ソフトウェア又はその適用を変更するときは、あらかじめ、バリデーションを行わなければなりません。ただし、当該ソフトウェア又はその適用の変更前にバリデーションを行う必要がない正当な理由を示すことができる場合においては、当該ソフトウェア又はその適用の変更後にバリデーションを行えば足りるものとします。

監視及び測定へのソフトウェアの使用に伴うリスク(当該ソフトウェアの使用が製品に係る医療機器等の機能、性能及び安全性に及ぼす影響を含む)に応じて、当該ソフトウェアのバリデーション及び再バリデーションを行わなければなりません。

バリデーションの結果及び結論の記録(当該結果及び結論に基づき所要の措置をとった場合においては、その記録を含む)の記録を作成し、これを保管しなければなりません。

次回解説内容

次回の記事では、測定、分析及び改善(第54条~第64条)について解説します。

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