概要
平成26年11月25日に発出された通知「一般的名称のいずれにも該当しない医療機器及び体外診断用医薬品の一般的名称の取扱いについて」について解説します。医薬品医療機器等法では、医療機器及び体外診断用医薬品(以下「医療機器等」)は一般的名称ごとにリスク分類等を定め、必要な規制を行うこととしています。本通知は、これまでの一般的名称通知に示されている名称に該当しない新規の医療機器等の一般的名称をどのように取り扱うかについて明確にしたものです。医薬品医療機器等法における承認及び認証に係る製造管理及び品質管理の方法に係る基準への適合性調査の製品群区分による省略に係る規定の導入に伴い、新たな指針が示されました。
1. 背景と経緯
1.1 法的根拠と規制の枠組み
平成25年11月27日に公布された「薬事法等の一部を改正する法律」(平成25年法律第84号)によって改正された「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」(昭和35年法律第145号、以下「医薬品医療機器等法」)において、医療機器等の取扱いが定められています。医療機器等は、厚生労働大臣が指定する一般的名称ごとに高度管理医療機器、管理医療機器、一般医療機器としてのリスク分類等が定められ、それに応じた規制が行われています。
1.2 従来の取扱いと新規定の導入
従来、一般的名称のいずれにも該当しない医療機器等の取扱いについては、平成19年2月8日付けの事務連絡(以下「旧事務連絡」)において示されていました。しかし今回、医薬品医療機器等法において、承認及び認証に係る製造管理及び品質管理の方法に係る基準への適合性調査の製品群区分による省略に係る規定が導入されたことから、新たな対応が必要となりました。これに伴い、平成26年9月11日付けの通知において、「医療機器及び体外診断用医薬品の製品群の該当性について」の取扱いが示されました。
2. 新たな一般的名称創設の手続き
2.1 申請方法と必要資料
医薬品医療機器等法に基づき製造販売承認申請される医療機器等のうち、申請時に一般的名称通知に示されている一般的名称のいずれにも該当しないと考えられるものについては、申請と同時に以下の資料を独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)に提出することが求められています。
提出すべき資料は次の通りです。
- 一般的名称通知に示されている一般的名称のいずれにも該当しないと考える理由
- 一般的名称(案)、その定義(案)及びクラス分類(案)並びにその判断理由
- 医療機器又は体外診断用医薬品の分類等(案)及びその判断理由
これらの資料は別紙様式によって提出する必要があります。
2.2 分類等の詳細
医療機器の場合、分類等には以下の項目の該当性とその判断理由を記載します。
- 特定保守管理医療機器
- 設置管理医療機器
- 特定医療機器
- QMS適否(限定一般医療機器への該当性、クラスⅠ医療機器に限る)
- 製品群(クラスⅡ以上の医療機器に限る)
- 修理区分
- 生物由来製品及び特定生物由来製品等
体外診断用医薬品の場合は、以下の項目の該当性とその判断理由を記載します。
- 大分類
- 中分類
- 検査項目等
3. 様式と記載要領
3.1 別紙様式の構成
別紙様式には以下の項目を記入します。
- 申請品目の販売名
- 申請者名
- 承認申請年月日
- システム受付番号
- 一般的名称通知に示されている一般的名称のいずれにも該当しないと考える理由
- 新設を希望する一般的名称について
- 一般的名称(案)
- 一般的名称の定義(案)
- クラス分類(案)
- 医療機器又は体外診断用医薬品の分類等(案)
- 担当者連絡先
- 備考
3.2 記載上の注意点
記載にあたっては、以下の点に留意する必要があります。
- 一般的名称通知に示されている一般的名称及びその定義に該当しない理由については、海外での取扱いも含めて、できる限り詳細かつ具体的に記入すること。必要に応じて、参考資料を添付することが推奨されています。
- クラス分類については、そのクラス分類となる根拠として、適用されるクラス分類ルール及びその判断理由についても記載すること。これは別紙で詳細に記述することも可能です。
- 医療機器または体外診断用医薬品の分類等については、該当する全ての区分と判断理由を明記すること。これも別紙で詳細に記述することが可能です。
4. 適用範囲
4.1 通知の適用範囲
本通知は、新たに製造販売等の承認申請がなされる医療機器等のうち、既存の一般的名称に該当しないものを対象としています。既に承認または認証を受けている医療機器等の一般的名称を変更する場合も、定義の変更を含めて本通知の対象となります。
本通知の発出に伴い、平成19年2月8日付けの旧事務連絡は廃止されます。また、旧事務連絡を引用している関連通知については、本通知の発出日以降は本通知の内容に従った取扱いとなります。
まとめ
今回の通知は、従来の一般的名称通知に該当しない新規の医療機器や体外診断用医薬品に対し、どのように新たな一般的名称を設定・提案すべきかについて、明確な手続きと指針を提示したものです。これにより、製造販売承認申請における審査の透明性や効率性の向上が期待されるとともに、製品群区分に基づく適合性調査の省略規定の導入によって、申請者側の実務的な負担軽減にもつながる重要な改正と言えます。
しかしながら、実際の申請においては、既存名称に該当しない理由の根拠付けや、名称案・定義案・クラス分類案に加えて、該当する分類区分ごとの判断理由を含む詳細かつ専門的な資料の作成が必要となるため、制度への深い理解と確かな実務対応力が求められます。
弊社では、医療機器等の一般的名称に関する戦略的な提案支援から、PMDA提出用の各種資料の作成・レビュー、当局との事前相談に向けた準備まで、幅広いご支援が可能です。制度対応や申請に関してお困りの際は、ぜひお気軽に弊社までお問い合わせください。